最弱の少年は、最強の少女のために剣を振る

白猫

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第1章

第1章 7 (三人称)

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「あの、理事長先生?事情を説明して下さいますか?」
 ここは、レイが出て行ってすぐの理事長室。そこでクレアは、クヴィナの首元に剣を当てていた。
「いきなりメールで、何があっても私の味方であることを誓って私の部屋にこい、とか送ってきて、来てみたら悪役させられて、なんなんです?」
 クレアの口元は引きつり、眉間には青筋が浮かんでいる。そんなクレアをしっかりと見つめてクヴィナは高らかに宣言する。
「甥っ子に名誉挽回のチャンスを与えただけだ!!」
「ほんと貴方の愛情は斜め上をいきますね!?」
 「もうこいつ駄目だ」と呟き項垂れているクレアに、クヴィナは、上機嫌に話を続ける。
「良いじゃないか、私も、君も、あいつ(の剣)に惚れた仲じゃないか。もうこのご時世じゃあ天下一品!もう惚れない理由がないじゃないか!」
「貴方マジでなんなんですか?私を巻き込まないでくださいよ!今まで嫌われないように頑張ってたのに絶対嫌われたじゃないですか!最後にわざわざ文章まで指定されたと思ったら完全に怒らせたじゃないですか!殺すって言われたんですよ!私の恋は始まる前に破れましたよ!」
 ヤケになって必要のないことまでしゃべってしまっているクレアを、クヴィナはニヤニヤと見ている。
「なら聞くが、お前はレイに勝てるのか?」
 認めたくはないが、クレアは、自分が勝てるとは思えなかった。ソードマスターの位に就いていながら弱気だとはクレアも思っているが、それほどまでにレイは強かった。実際、レイが戦ったウィザードナイトの生徒はその位の中ではトップクラスの実力者だったのだ。戦争に駆り出されるほどの実力があり、感情的だがその状態でも冷静な判断ができる。そんな人からレイは一撃も食らわずに勝利して見せたのだ。
「…………あーもう!なんで私ばかりこんな損な役回りなんですか?分かりましたよ!全力で勝ちに行って負けてきますよ!」
 もう投げやりになっているクレアに、クヴィナは追い打ちをかけるようにぼそりと呟いてみせた。
「クレア君はレイに惚れ込んでいるようだからなぁ。今日のことを謝るチャンスにもなる良い機会だなぁ。私は剣のことを言ったのに」
「ッ!!~~~~ッ!」
 声にならない叫びをあげているクレアを一層ニヤニヤとした顔で見ているクヴィナに、最後の抵抗にクレアは拳銃を撃つ。その顔は真っ赤で目は潤んでいる。そのままへたり込むと、すんすんと、泣き始めた。
 レイが部屋を出て行ってから崩れ始めていたお姉様の仮面が完全に崩れ去っていくのが誰から見ても分かった。
 しばらくして、クレアは力なく立ち上がると、小声で「失礼しました」と言って部屋をあとにした。
 その小さな背中を見ながら、クヴィナはクレアに聞こえないように呟いた。
「素直な方が可愛く見えるんだけどなぁ」
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