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第2章
第2章 1
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金属同士がぶつかり合う音が響く。
第21闘技場。今回のランク戦で唯一使われていない闘技場だ。
「違う、そうじゃない。そこは──」
今日俺が一緒に鍛練をしているのは、ティナや茜達ではなくスミスとして、今回のランク戦でパーティーを組んだ三人だ。と言っても、いつも駄弁っているメンツが集まっただけで、特段緊張するようなことはない。だが、普段パーティーを組むことの無いスミスは、人数が多いため、仲の良い友人とバラバラになった所も多くないようだった。そう考えると、このパーティーはかなり運が良いと言えるだろう。
「なぁレイ。何で俺は女子からモテないんだろうな」
スルトが俺を見て、突然そう嘆き始める。スルト・ウィンブレイド。スミスとして名を馳せるウィンブレイド家の長男で、魔術や剣を使わせても、腕は相当立つのだが、典型的なバカで本当に脳まで筋肉なんじゃないかと疑うレベルの戦法しかできないバカだ。
「知るか。それよりも今はあっちを見ろ。そして研究しろ」
「はぁ~、鳳のお坊ちゃんは研究熱心なことで!俺にはもうあいつらがどこで戦ってるのかもわかんねぇよ」
スルトは、目の前に広がる森林を見て、自嘲気味に笑う。
この学園の闘技場は、空間操作魔術と立体ホログラム投影技術が合わさった、『空間投影型闘技場』になっている。空間を操作し、空間を拡張、変形させる空間操作魔術。その全てを立体投影し、本物と錯覚させる立体ホログラム投影技術。この二つの技術を組み合わせると、より臨場感のある戦闘ができ、模擬戦や他校との親善試合、勿論学園での授業でも使われている。
そして、今日この闘技場を使って模倣したのは森林だった。この森林を投影したのは、残り二人のメンバーの能力を図るためだったのだが、予想以上の強さに、驚きを隠せなかった。
「少し行ってくる」
スルトに一言声をかけ、森の中を駆ける。そして、恐らく二人が衝突する位置で、腰に差した日本刀と剣を構える。
「そこまでッ!!」
「「えぇ!?」」
かけ声と金属同士のぶつかる音、そして、少女達の驚きの声が重なる。俺が剣を振った先には、近接戦闘ができるように改造された弓と苦無が剣に受け止められる形でたたずんでいる。勿論その持ち主達も。
「お前達の実力は分かった。二人とも想像以上だ。……特にリア、弓で苦無と互角に戦える奴なんてそうそういない。それだけ鍛練してきた証拠だ」
リア・ヴァンフレア。普段は感情表現の乏しく、無口だが、その分戦闘中は冷静に立ち回ることができる。だが、その分感情を表現することが苦手なのか、喜んでいる時などに多いが、若干誘っているように見えるいうか、幼いというか、なんと言ったら良いのかわからないが、とにかく、男にとっては色々と怖いものだ。
「ありがとう。頑張って練習した甲斐があった」
一言褒めてやると、もっと褒めて、と言うようにリアが腕に抱きついてくる。頭を撫でてやると、幸せそうに目を細め、さらに身体を預けてくる。その影響で、二つの大きな柔らかいものが腕だけでなく背中にまで押し付けられる。
これが怖いのだ。最初は誘っているのかと思っていたが、そうでないと分かってしまってからは、あまり強く言えずに困っている。
「リア。あんまりそうやってくっつくのはよくない。……そういうのは好きな人にやるものだ。誤解されることも多くはないと思うからな」
そう言うと、リアは俺に抱きつくのをやめ、いつもの無表情に戻る。
出来るだけやんわりと注意をしたが、顔に出ていないだけで、リアは結構しょげているように見える。
「ごめんなさい。今度からは、レイ以外にはしないように気を付ける」
俺にもあんまりしない方が良いんだけどな。と、苦笑しながら話を続けるべく口を開く。
「それじゃあここからは、俺を含めて実戦練習だ。全員まとめてかかってこい」
ニヤリと笑い、俺は森の深くへ飛び込んだ。
第21闘技場。今回のランク戦で唯一使われていない闘技場だ。
「違う、そうじゃない。そこは──」
今日俺が一緒に鍛練をしているのは、ティナや茜達ではなくスミスとして、今回のランク戦でパーティーを組んだ三人だ。と言っても、いつも駄弁っているメンツが集まっただけで、特段緊張するようなことはない。だが、普段パーティーを組むことの無いスミスは、人数が多いため、仲の良い友人とバラバラになった所も多くないようだった。そう考えると、このパーティーはかなり運が良いと言えるだろう。
「なぁレイ。何で俺は女子からモテないんだろうな」
スルトが俺を見て、突然そう嘆き始める。スルト・ウィンブレイド。スミスとして名を馳せるウィンブレイド家の長男で、魔術や剣を使わせても、腕は相当立つのだが、典型的なバカで本当に脳まで筋肉なんじゃないかと疑うレベルの戦法しかできないバカだ。
「知るか。それよりも今はあっちを見ろ。そして研究しろ」
「はぁ~、鳳のお坊ちゃんは研究熱心なことで!俺にはもうあいつらがどこで戦ってるのかもわかんねぇよ」
スルトは、目の前に広がる森林を見て、自嘲気味に笑う。
この学園の闘技場は、空間操作魔術と立体ホログラム投影技術が合わさった、『空間投影型闘技場』になっている。空間を操作し、空間を拡張、変形させる空間操作魔術。その全てを立体投影し、本物と錯覚させる立体ホログラム投影技術。この二つの技術を組み合わせると、より臨場感のある戦闘ができ、模擬戦や他校との親善試合、勿論学園での授業でも使われている。
そして、今日この闘技場を使って模倣したのは森林だった。この森林を投影したのは、残り二人のメンバーの能力を図るためだったのだが、予想以上の強さに、驚きを隠せなかった。
「少し行ってくる」
スルトに一言声をかけ、森の中を駆ける。そして、恐らく二人が衝突する位置で、腰に差した日本刀と剣を構える。
「そこまでッ!!」
「「えぇ!?」」
かけ声と金属同士のぶつかる音、そして、少女達の驚きの声が重なる。俺が剣を振った先には、近接戦闘ができるように改造された弓と苦無が剣に受け止められる形でたたずんでいる。勿論その持ち主達も。
「お前達の実力は分かった。二人とも想像以上だ。……特にリア、弓で苦無と互角に戦える奴なんてそうそういない。それだけ鍛練してきた証拠だ」
リア・ヴァンフレア。普段は感情表現の乏しく、無口だが、その分戦闘中は冷静に立ち回ることができる。だが、その分感情を表現することが苦手なのか、喜んでいる時などに多いが、若干誘っているように見えるいうか、幼いというか、なんと言ったら良いのかわからないが、とにかく、男にとっては色々と怖いものだ。
「ありがとう。頑張って練習した甲斐があった」
一言褒めてやると、もっと褒めて、と言うようにリアが腕に抱きついてくる。頭を撫でてやると、幸せそうに目を細め、さらに身体を預けてくる。その影響で、二つの大きな柔らかいものが腕だけでなく背中にまで押し付けられる。
これが怖いのだ。最初は誘っているのかと思っていたが、そうでないと分かってしまってからは、あまり強く言えずに困っている。
「リア。あんまりそうやってくっつくのはよくない。……そういうのは好きな人にやるものだ。誤解されることも多くはないと思うからな」
そう言うと、リアは俺に抱きつくのをやめ、いつもの無表情に戻る。
出来るだけやんわりと注意をしたが、顔に出ていないだけで、リアは結構しょげているように見える。
「ごめんなさい。今度からは、レイ以外にはしないように気を付ける」
俺にもあんまりしない方が良いんだけどな。と、苦笑しながら話を続けるべく口を開く。
「それじゃあここからは、俺を含めて実戦練習だ。全員まとめてかかってこい」
ニヤリと笑い、俺は森の深くへ飛び込んだ。
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