11 / 22
第2章
第2章 1
しおりを挟む
金属同士がぶつかり合う音が響く。
第21闘技場。今回のランク戦で唯一使われていない闘技場だ。
「違う、そうじゃない。そこは──」
今日俺が一緒に鍛練をしているのは、ティナや茜達ではなくスミスとして、今回のランク戦でパーティーを組んだ三人だ。と言っても、いつも駄弁っているメンツが集まっただけで、特段緊張するようなことはない。だが、普段パーティーを組むことの無いスミスは、人数が多いため、仲の良い友人とバラバラになった所も多くないようだった。そう考えると、このパーティーはかなり運が良いと言えるだろう。
「なぁレイ。何で俺は女子からモテないんだろうな」
スルトが俺を見て、突然そう嘆き始める。スルト・ウィンブレイド。スミスとして名を馳せるウィンブレイド家の長男で、魔術や剣を使わせても、腕は相当立つのだが、典型的なバカで本当に脳まで筋肉なんじゃないかと疑うレベルの戦法しかできないバカだ。
「知るか。それよりも今はあっちを見ろ。そして研究しろ」
「はぁ~、鳳のお坊ちゃんは研究熱心なことで!俺にはもうあいつらがどこで戦ってるのかもわかんねぇよ」
スルトは、目の前に広がる森林を見て、自嘲気味に笑う。
この学園の闘技場は、空間操作魔術と立体ホログラム投影技術が合わさった、『空間投影型闘技場』になっている。空間を操作し、空間を拡張、変形させる空間操作魔術。その全てを立体投影し、本物と錯覚させる立体ホログラム投影技術。この二つの技術を組み合わせると、より臨場感のある戦闘ができ、模擬戦や他校との親善試合、勿論学園での授業でも使われている。
そして、今日この闘技場を使って模倣したのは森林だった。この森林を投影したのは、残り二人のメンバーの能力を図るためだったのだが、予想以上の強さに、驚きを隠せなかった。
「少し行ってくる」
スルトに一言声をかけ、森の中を駆ける。そして、恐らく二人が衝突する位置で、腰に差した日本刀と剣を構える。
「そこまでッ!!」
「「えぇ!?」」
かけ声と金属同士のぶつかる音、そして、少女達の驚きの声が重なる。俺が剣を振った先には、近接戦闘ができるように改造された弓と苦無が剣に受け止められる形でたたずんでいる。勿論その持ち主達も。
「お前達の実力は分かった。二人とも想像以上だ。……特にリア、弓で苦無と互角に戦える奴なんてそうそういない。それだけ鍛練してきた証拠だ」
リア・ヴァンフレア。普段は感情表現の乏しく、無口だが、その分戦闘中は冷静に立ち回ることができる。だが、その分感情を表現することが苦手なのか、喜んでいる時などに多いが、若干誘っているように見えるいうか、幼いというか、なんと言ったら良いのかわからないが、とにかく、男にとっては色々と怖いものだ。
「ありがとう。頑張って練習した甲斐があった」
一言褒めてやると、もっと褒めて、と言うようにリアが腕に抱きついてくる。頭を撫でてやると、幸せそうに目を細め、さらに身体を預けてくる。その影響で、二つの大きな柔らかいものが腕だけでなく背中にまで押し付けられる。
これが怖いのだ。最初は誘っているのかと思っていたが、そうでないと分かってしまってからは、あまり強く言えずに困っている。
「リア。あんまりそうやってくっつくのはよくない。……そういうのは好きな人にやるものだ。誤解されることも多くはないと思うからな」
そう言うと、リアは俺に抱きつくのをやめ、いつもの無表情に戻る。
出来るだけやんわりと注意をしたが、顔に出ていないだけで、リアは結構しょげているように見える。
「ごめんなさい。今度からは、レイ以外にはしないように気を付ける」
俺にもあんまりしない方が良いんだけどな。と、苦笑しながら話を続けるべく口を開く。
「それじゃあここからは、俺を含めて実戦練習だ。全員まとめてかかってこい」
ニヤリと笑い、俺は森の深くへ飛び込んだ。
第21闘技場。今回のランク戦で唯一使われていない闘技場だ。
「違う、そうじゃない。そこは──」
今日俺が一緒に鍛練をしているのは、ティナや茜達ではなくスミスとして、今回のランク戦でパーティーを組んだ三人だ。と言っても、いつも駄弁っているメンツが集まっただけで、特段緊張するようなことはない。だが、普段パーティーを組むことの無いスミスは、人数が多いため、仲の良い友人とバラバラになった所も多くないようだった。そう考えると、このパーティーはかなり運が良いと言えるだろう。
「なぁレイ。何で俺は女子からモテないんだろうな」
スルトが俺を見て、突然そう嘆き始める。スルト・ウィンブレイド。スミスとして名を馳せるウィンブレイド家の長男で、魔術や剣を使わせても、腕は相当立つのだが、典型的なバカで本当に脳まで筋肉なんじゃないかと疑うレベルの戦法しかできないバカだ。
「知るか。それよりも今はあっちを見ろ。そして研究しろ」
「はぁ~、鳳のお坊ちゃんは研究熱心なことで!俺にはもうあいつらがどこで戦ってるのかもわかんねぇよ」
スルトは、目の前に広がる森林を見て、自嘲気味に笑う。
この学園の闘技場は、空間操作魔術と立体ホログラム投影技術が合わさった、『空間投影型闘技場』になっている。空間を操作し、空間を拡張、変形させる空間操作魔術。その全てを立体投影し、本物と錯覚させる立体ホログラム投影技術。この二つの技術を組み合わせると、より臨場感のある戦闘ができ、模擬戦や他校との親善試合、勿論学園での授業でも使われている。
そして、今日この闘技場を使って模倣したのは森林だった。この森林を投影したのは、残り二人のメンバーの能力を図るためだったのだが、予想以上の強さに、驚きを隠せなかった。
「少し行ってくる」
スルトに一言声をかけ、森の中を駆ける。そして、恐らく二人が衝突する位置で、腰に差した日本刀と剣を構える。
「そこまでッ!!」
「「えぇ!?」」
かけ声と金属同士のぶつかる音、そして、少女達の驚きの声が重なる。俺が剣を振った先には、近接戦闘ができるように改造された弓と苦無が剣に受け止められる形でたたずんでいる。勿論その持ち主達も。
「お前達の実力は分かった。二人とも想像以上だ。……特にリア、弓で苦無と互角に戦える奴なんてそうそういない。それだけ鍛練してきた証拠だ」
リア・ヴァンフレア。普段は感情表現の乏しく、無口だが、その分戦闘中は冷静に立ち回ることができる。だが、その分感情を表現することが苦手なのか、喜んでいる時などに多いが、若干誘っているように見えるいうか、幼いというか、なんと言ったら良いのかわからないが、とにかく、男にとっては色々と怖いものだ。
「ありがとう。頑張って練習した甲斐があった」
一言褒めてやると、もっと褒めて、と言うようにリアが腕に抱きついてくる。頭を撫でてやると、幸せそうに目を細め、さらに身体を預けてくる。その影響で、二つの大きな柔らかいものが腕だけでなく背中にまで押し付けられる。
これが怖いのだ。最初は誘っているのかと思っていたが、そうでないと分かってしまってからは、あまり強く言えずに困っている。
「リア。あんまりそうやってくっつくのはよくない。……そういうのは好きな人にやるものだ。誤解されることも多くはないと思うからな」
そう言うと、リアは俺に抱きつくのをやめ、いつもの無表情に戻る。
出来るだけやんわりと注意をしたが、顔に出ていないだけで、リアは結構しょげているように見える。
「ごめんなさい。今度からは、レイ以外にはしないように気を付ける」
俺にもあんまりしない方が良いんだけどな。と、苦笑しながら話を続けるべく口を開く。
「それじゃあここからは、俺を含めて実戦練習だ。全員まとめてかかってこい」
ニヤリと笑い、俺は森の深くへ飛び込んだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる