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第3章
第3章 2
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レイが寮に戻ってきて五分ほど、私に正座させられたレイは、いつものような雰囲気ではなく、母親に怒られた子供のようになっていた。
「で、謝りに行ったらどうやって修練にいれてくださいってなるの!」
「……ごめんなさい」
私の一挙手一投足すべてに怯えるようなその態度はレイと別人だと錯覚するほどだ。だが、今ばかりは私も心を鬼にしなければいけない!
「負担が増えるのはレイ一人だけど、こっちにも色々都合があるんだよ!?」
レイとあんまり話せないとか、レイに直接剣技教えてもらえないとか、レイにくっつけないとか!他にも色々!
「いや、その、だから、さっきから言ってるけど──」
「私はレイに──」
「話を聞いて、ティナ!」
「は、はひ」
びっくりした。まさか肩をつかまれると思ってなかった。一応事情は知ってるけど、レイにここまで強引にさせるってなんなのクレア先輩。まあ掴まれたのは嬉しいけど!
「最初は失敗したと思ったんだ、でも、俺は魔術は出来ないから教えることも出来ない。茜と葵先輩は固有魔術は使うが魔術はあまり使わない。でもクレア先輩は魔術をよく使うだろ?しかも、ティナの固有魔術のように複数のものを同時に操るようなものだ。……これなら、もっとティナの修練の幅も広がると思って、断りに戻らず帰ってってきたんだが……」
そういうことじゃないんだけど、こう言っている間までそんな悲しそうにされるとこっちが折れなきゃいけないみたいになってくるじゃん!
「……もういいよ!じゃあクレア先輩も一緒にやろう。その、私のためなんでしょ?レイにちゃんと活躍してるところも見て欲しいし……」
だんだん言ってて恥ずかしくなってきた。何言ってるんだろう。なんか突き放すみたいな態度になってるし!
「そのかわり!クレア先輩についてあとで詳しく教えて!それとクレア先輩と一対一で話せるような時間を作って!」
「い、いやでもクレア先輩一応生徒会長で──」
「いいから!それだけ仲がいいんだからそれぐらいとれるでしょ!」
「は、はい。分かりました」
なんか条件まで出してレイ脅してるし!
自分で色々言っておいてだが既に後悔している。相手が女の子だからといって過剰に反応しすぎてることに自覚はある。レイがこの話を持ってきたというのもあるのだと思うけど……。
「もう少し自分を抑えなきゃなぁ」
近くに居るレイにも聞こえない程だったが、声が漏れてしまった。
この学園にきて、人とふれあうことが多くなってから、今までよりもレイと一緒にいる時間が減ったことで、今まではなかった今日のように感情が爆発するような事が何度か怒っている気がする。
これがレイが私を守るって言ってくれた理由なのかは分からない。けれど、その中のひとつには入っていそうだ。
「あの、ティナ?大丈夫か?」
不安げに揺れるレイの瞳と視線が絡まる。私が倒れたときと、似たような目だ。まるで唯一の宝物をとられそうになった子供のような、今にも泣いてしまいそうな。
「うん、大丈夫。いつも心配かけてごめんね」
この目を見るたび、愛しくなってくる。剣に全てを捧げていたレイの心は、私には人より若干幼く見える。本人が無意識にそれを隠そうとしていることも。
本当は今だって抱きしめたい。この場で告白して、そのままいけるところまでいってしまいたい。でもきっとそれは、今のままでは禁忌なのだと思う。レイはきっと快諾してくれるだろう。そして、私を傷つけないようにどこまでも優しくしてくれるだろう。レイが死ぬその日まで、きっと私に縛られてしまうだろう。
「大丈夫ならいいんだ。じゃあ俺はクレア先輩に予定聞いてくるから、ティナはここで待っててくれ。分かり次第メールで伝えるから」
安堵したように微笑んで、レイはドアの向こうに消えた。今度は表情に出なかったみたいでよかった。
口ではレイが心配だから、なんて言っているけれど、結局自分が一人になりたくないだけなのかもしれないと考えたことも何度もある。否定は出来ない。だってレイが助けてくれなければ、今頃こんな風にレイを守るなんて言えなかったんだから。
レイにリヴェラヴィアの剣術を教えて貰わなかったら。
レイが私が同じ道を進むことを拒んだら。
レイがこんな風に近くにいてくれなかったら。
レイが、いなかったら。
私がどんなことをしているのか、絶対に知りたいとは思わない。
思いっ切り、両の頬を叩く。痛くて涙が出そうになるが、ぐっと堪えて笑顔を作る。
「こんなウジウジしてちゃダメ!私らしく、笑顔で行こう!」
気合いを入れて、沈んだ気持ちを吹き飛ばす。明るく、笑顔で。レイに恩返しを出来る日を目指して頑張っていこう。
テーブルの上にあった携帯が振動する。レイからのメールだ。
「『クレア先輩、話があるなら今から来てください。とのことなので今から生徒会室に向かってくれ』って、えぇ!?今から!?」
生徒会長に会うのに心の準備とかさせてくれないの!?という言葉を飲み込み、後で少しレイに文句を言ってやろうと考えながら、私は部屋を出た。
「で、謝りに行ったらどうやって修練にいれてくださいってなるの!」
「……ごめんなさい」
私の一挙手一投足すべてに怯えるようなその態度はレイと別人だと錯覚するほどだ。だが、今ばかりは私も心を鬼にしなければいけない!
「負担が増えるのはレイ一人だけど、こっちにも色々都合があるんだよ!?」
レイとあんまり話せないとか、レイに直接剣技教えてもらえないとか、レイにくっつけないとか!他にも色々!
「いや、その、だから、さっきから言ってるけど──」
「私はレイに──」
「話を聞いて、ティナ!」
「は、はひ」
びっくりした。まさか肩をつかまれると思ってなかった。一応事情は知ってるけど、レイにここまで強引にさせるってなんなのクレア先輩。まあ掴まれたのは嬉しいけど!
「最初は失敗したと思ったんだ、でも、俺は魔術は出来ないから教えることも出来ない。茜と葵先輩は固有魔術は使うが魔術はあまり使わない。でもクレア先輩は魔術をよく使うだろ?しかも、ティナの固有魔術のように複数のものを同時に操るようなものだ。……これなら、もっとティナの修練の幅も広がると思って、断りに戻らず帰ってってきたんだが……」
そういうことじゃないんだけど、こう言っている間までそんな悲しそうにされるとこっちが折れなきゃいけないみたいになってくるじゃん!
「……もういいよ!じゃあクレア先輩も一緒にやろう。その、私のためなんでしょ?レイにちゃんと活躍してるところも見て欲しいし……」
だんだん言ってて恥ずかしくなってきた。何言ってるんだろう。なんか突き放すみたいな態度になってるし!
「そのかわり!クレア先輩についてあとで詳しく教えて!それとクレア先輩と一対一で話せるような時間を作って!」
「い、いやでもクレア先輩一応生徒会長で──」
「いいから!それだけ仲がいいんだからそれぐらいとれるでしょ!」
「は、はい。分かりました」
なんか条件まで出してレイ脅してるし!
自分で色々言っておいてだが既に後悔している。相手が女の子だからといって過剰に反応しすぎてることに自覚はある。レイがこの話を持ってきたというのもあるのだと思うけど……。
「もう少し自分を抑えなきゃなぁ」
近くに居るレイにも聞こえない程だったが、声が漏れてしまった。
この学園にきて、人とふれあうことが多くなってから、今までよりもレイと一緒にいる時間が減ったことで、今まではなかった今日のように感情が爆発するような事が何度か怒っている気がする。
これがレイが私を守るって言ってくれた理由なのかは分からない。けれど、その中のひとつには入っていそうだ。
「あの、ティナ?大丈夫か?」
不安げに揺れるレイの瞳と視線が絡まる。私が倒れたときと、似たような目だ。まるで唯一の宝物をとられそうになった子供のような、今にも泣いてしまいそうな。
「うん、大丈夫。いつも心配かけてごめんね」
この目を見るたび、愛しくなってくる。剣に全てを捧げていたレイの心は、私には人より若干幼く見える。本人が無意識にそれを隠そうとしていることも。
本当は今だって抱きしめたい。この場で告白して、そのままいけるところまでいってしまいたい。でもきっとそれは、今のままでは禁忌なのだと思う。レイはきっと快諾してくれるだろう。そして、私を傷つけないようにどこまでも優しくしてくれるだろう。レイが死ぬその日まで、きっと私に縛られてしまうだろう。
「大丈夫ならいいんだ。じゃあ俺はクレア先輩に予定聞いてくるから、ティナはここで待っててくれ。分かり次第メールで伝えるから」
安堵したように微笑んで、レイはドアの向こうに消えた。今度は表情に出なかったみたいでよかった。
口ではレイが心配だから、なんて言っているけれど、結局自分が一人になりたくないだけなのかもしれないと考えたことも何度もある。否定は出来ない。だってレイが助けてくれなければ、今頃こんな風にレイを守るなんて言えなかったんだから。
レイにリヴェラヴィアの剣術を教えて貰わなかったら。
レイが私が同じ道を進むことを拒んだら。
レイがこんな風に近くにいてくれなかったら。
レイが、いなかったら。
私がどんなことをしているのか、絶対に知りたいとは思わない。
思いっ切り、両の頬を叩く。痛くて涙が出そうになるが、ぐっと堪えて笑顔を作る。
「こんなウジウジしてちゃダメ!私らしく、笑顔で行こう!」
気合いを入れて、沈んだ気持ちを吹き飛ばす。明るく、笑顔で。レイに恩返しを出来る日を目指して頑張っていこう。
テーブルの上にあった携帯が振動する。レイからのメールだ。
「『クレア先輩、話があるなら今から来てください。とのことなので今から生徒会室に向かってくれ』って、えぇ!?今から!?」
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