月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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古代遺跡の出来事

第二話 冒険者

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月の魔女と呼ばれるまで

第二話冒険者

開拓村から150km離れたシルバール王国第三の都市ウエストエンド。

冒険者ギルドの大型支部が置かれたこの町は人口5万を超える大都市だ。その都市の中心部にある冒険者ギルドで、一つのパーティーがとある依頼を受けようとしていた。

「開拓村側の古代遺跡に邪教の集団の影あり、調査求むか」

「リーダー、これ受けるの?あたしたち、Cランクに上がったばかりで力量が心許ないよ?」

リーダーと呼ばれた10代後半の少年に、十代半ばの少女がクエストに必要な力量を考えて否定的な声をかける。

「なんだよ、面白そうじゃねえか。邪教の集団、猛者の集まりだろ?戦ってみてえじゃねえか」

「あんたみたいに、あたしは戦闘狂じゃないの。孤児院のこともあるし、まだ死ねないって分かってくれない?」

「確かに、ミリアが言うことも分かる。が、俺たちにはものすごく必要な物がある。それはお金だ」

「ランクアップ試験で、今まで使ってた武器とかぼろぼろになったわ。今は間に合わせだから、下手なクエストを受けられないはずよ」

こうやって、話すパーティ。荒野の狼のメンバー、リーダーのパウエル、盗賊のミリア、戦士ガレム、神官ヘレナの四人パーティー。

ウエストエンドでも新進気鋭のパーティーだ。冒険者になって数ヶ月で、Cランクに上がった実力派でもある。

「ランクアップ試験で、消耗した武器防具の代品を買った結果。今の俺たちは金欠だ」

「それは分かっているけど、あたしの鋼鉄の短剣もなければガレムのグレートアックスもない状態で、無理できるわけがないでしょう?第一、お金がないのに無理できると思ってるの?」

「確かに、鉄製のハンドアックスだけじゃちょっとな。金さえあれば、魔鉄のハンドアックスとか欲しいけどよ」

「チェインメイルを破壊されて、今は間に合わせのハードレザーメイルですわ。クエストを受けるにしろ、無茶できる状態ではないわ」

ガレムが血の気が多いのに対して、ミリアは現状を認識している。ヘレナもだが、男性が押せ押せなのに対して女性側が冷静と言うちょっと変わったパーティーでもある。

ウエストエンドの冒険者の質は、西方としては最高峰に位置する。Aランク冒険者パーティーも何組かある時点で、かなり良い方である。実際、シルバール王国冒険者ギルドのナンバーツー。

ナンバーワンはいうまでもなく王都シルバールの冒険者ギルド。

冒険者ランクは上がっていける最高がAランクで、複数の国家に認められればその上のA+に上がることが出来る。が、今はA+の冒険者はいないためAが最高であった。

十代でCランクはかなり優秀といえる。しかもなって半年ならば尚更だ。

そんなパウエルたち荒野の狼のメンバーに、一人の男がそのうちのヘレナにぶつかる。

「っと、失礼。お嬢さん、大丈夫かい?」

「ええ。でも、危ないですわね!」

ヘレナがそういったところで、男の目が光る。そう、この男は邪神の眷属であった。

四人ともを巻き込む目の魔力。そう、意思を操作する邪眼で四人の意識を弄る。

「あの依頼を受けてくれるね。君たちが古代遺跡に来ることを楽しみにしている」

邪神の眷属は、ある意味の支度を終えたような表情を浮かべてすっと空間魔法で消える。

この時代、空間魔法は過去の遺物。操れる物は人間では居ないのだった。
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