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古代遺跡の出来事
第四話 冒険者たち2(2019年2月11日修正)
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月の魔女とよばれるまで
第四話 冒険者たち2(2019年2月11日修正)
開拓村が滅亡した翌日、冒険者パーティー荒野の狼は別ルートから古代遺跡にたどり着いていた。大きい遺跡を前に、パーティーメンバーは遺跡を見上げるしかない。
「ここが、古代遺跡か。大きいというのもあるが、とてつもなく雰囲気があるな。厳かと言うか」
「確かにそんな感じ。妙に、威圧感を感じるのよね。ここに邪教の集団が居るのなら、あたしたちじゃ危ないどころの話じゃなくなるよ」
「俺としては、ここに猛者がいるならそれだけで十分だぜ」
「ガレム、戦闘狂みたいなことを言わない。それでなくても、ここは難易度が高いって開拓村近くの町の冒険者ギルドから口を酸っぱくして言われたでしょう」
ヘレナがガレムをたしなめる。それを見つつ、パウエルは古代遺跡から感じる気配から厳しいかも知れない事を感じていた。
「Dランクで来るのは自殺行為だったか?」
「Cランクでもきついって言われてるって聞いたよ?出来れば鋼鉄以上の武器は必須だって」
「鉄のハンドアックスじゃ、ちょいと辛いかもしれねえなあ」
「わたくしも鋼鉄のメイスを折られてるから、今は鉄のメイスしかないわ。とりあえず、中に入りましょう」
ヘレナの言葉に、パウエルたちは頷く。
古代遺跡一階は、モンスターの数も少なく質も高くないようだ。入ってすぐに現れたのがEランクモンスターコボルドだったからだ。
「コボルドなら、別段Dランクでも問題ない気がするが・・・」
「一階だから、そこまで強いのが居ないのかも?奥に行けば行くほど強くなるのはダンジョンと一緒って事なんだろうね」
パウエルの言葉にミリアが観察して手に入れた情報を口にする。気配が探れる距離に、強いモンスターは居ないのが感じられるからだ。
盗賊として、ミリアは気配察知大と生命探知中と隠形中、聞き耳中に罠探知中に罠解除大を持っている。実際、Cランク上がりたてとは言え、そこまでスキルを持っている人間は少ない。
特に、生命探知は覚えるのが大変なため重宝していた。モンスターの気配もそうだが、強大な相手も生命探知の範囲内なら分かるため、避けることも出来るからだった。
パウエルも剣を扱うだけに、気配察知は持っている。が、ミリアほど研ぎ澄まされたものではない為、相対する敵の動きを察知するのに使う程度だ。剣技中と剣の扱い中を持つ為、剣の扱いはかなり上手い。盾防御小も持つことから、鉄で補強された木製のラウンドシールドを片腕に装備していた。
ガレムは、パワータイプの戦士だけに、筋力増強中と体力増強中を持つがそれ以外増強スキルを持たない。完全なる脳筋なのだ。斧扱い中を持つため、大型の斧だろうが扱うことが出来ることから火力が一番高い。
ヘレナは神官として四年ほどとまだ信仰がそこまで強くない。魔力自体はこの世界の人間としては多い方だが、それでもヒール10回が限界だ。ヒールの治癒力も打撲などを癒やすのが限界で、大怪我には対応できない。スキルとしては、治癒魔法小、魔力操作小、メイスの扱い中、盾の扱い小と神官戦士の様相と言える。
この世界では、スキルは大中小で表示される。ごくまれに、大を超える能力を得ることがある。その場合は極と記されることもあるが、滅多にない。それほどまでに、スキルの進化はかなり困難だった。
古代遺跡一階を難なく移動し、下り階段を見つける。
「地下か・・・。ミリア、何か感じるか?」
「一階とは比べられないほど、モンスターの気配が強いかな。もしかしたらCランクモンスターがいるかも?」
「まあ、それなら楽しめそうだな」
「ガレム、体力を使い切ったら勝てるものも勝てなくなるわ。自重して」
「ったく、ヘレナは気にしすぎなんだよ」
「貴方に言われたくはないわ。気にしなさすぎでしょう?」
「また始まった。性格的なものだろうから、仕方ないんだろうけどね」
ガレムとヘレナの言い合いに、パウエルとミリアが苦笑を浮かべる。
まだこの時は、パウエルたちも余裕があった。まだ、この時は。
第四話 冒険者たち2(2019年2月11日修正)
開拓村が滅亡した翌日、冒険者パーティー荒野の狼は別ルートから古代遺跡にたどり着いていた。大きい遺跡を前に、パーティーメンバーは遺跡を見上げるしかない。
「ここが、古代遺跡か。大きいというのもあるが、とてつもなく雰囲気があるな。厳かと言うか」
「確かにそんな感じ。妙に、威圧感を感じるのよね。ここに邪教の集団が居るのなら、あたしたちじゃ危ないどころの話じゃなくなるよ」
「俺としては、ここに猛者がいるならそれだけで十分だぜ」
「ガレム、戦闘狂みたいなことを言わない。それでなくても、ここは難易度が高いって開拓村近くの町の冒険者ギルドから口を酸っぱくして言われたでしょう」
ヘレナがガレムをたしなめる。それを見つつ、パウエルは古代遺跡から感じる気配から厳しいかも知れない事を感じていた。
「Dランクで来るのは自殺行為だったか?」
「Cランクでもきついって言われてるって聞いたよ?出来れば鋼鉄以上の武器は必須だって」
「鉄のハンドアックスじゃ、ちょいと辛いかもしれねえなあ」
「わたくしも鋼鉄のメイスを折られてるから、今は鉄のメイスしかないわ。とりあえず、中に入りましょう」
ヘレナの言葉に、パウエルたちは頷く。
古代遺跡一階は、モンスターの数も少なく質も高くないようだ。入ってすぐに現れたのがEランクモンスターコボルドだったからだ。
「コボルドなら、別段Dランクでも問題ない気がするが・・・」
「一階だから、そこまで強いのが居ないのかも?奥に行けば行くほど強くなるのはダンジョンと一緒って事なんだろうね」
パウエルの言葉にミリアが観察して手に入れた情報を口にする。気配が探れる距離に、強いモンスターは居ないのが感じられるからだ。
盗賊として、ミリアは気配察知大と生命探知中と隠形中、聞き耳中に罠探知中に罠解除大を持っている。実際、Cランク上がりたてとは言え、そこまでスキルを持っている人間は少ない。
特に、生命探知は覚えるのが大変なため重宝していた。モンスターの気配もそうだが、強大な相手も生命探知の範囲内なら分かるため、避けることも出来るからだった。
パウエルも剣を扱うだけに、気配察知は持っている。が、ミリアほど研ぎ澄まされたものではない為、相対する敵の動きを察知するのに使う程度だ。剣技中と剣の扱い中を持つ為、剣の扱いはかなり上手い。盾防御小も持つことから、鉄で補強された木製のラウンドシールドを片腕に装備していた。
ガレムは、パワータイプの戦士だけに、筋力増強中と体力増強中を持つがそれ以外増強スキルを持たない。完全なる脳筋なのだ。斧扱い中を持つため、大型の斧だろうが扱うことが出来ることから火力が一番高い。
ヘレナは神官として四年ほどとまだ信仰がそこまで強くない。魔力自体はこの世界の人間としては多い方だが、それでもヒール10回が限界だ。ヒールの治癒力も打撲などを癒やすのが限界で、大怪我には対応できない。スキルとしては、治癒魔法小、魔力操作小、メイスの扱い中、盾の扱い小と神官戦士の様相と言える。
この世界では、スキルは大中小で表示される。ごくまれに、大を超える能力を得ることがある。その場合は極と記されることもあるが、滅多にない。それほどまでに、スキルの進化はかなり困難だった。
古代遺跡一階を難なく移動し、下り階段を見つける。
「地下か・・・。ミリア、何か感じるか?」
「一階とは比べられないほど、モンスターの気配が強いかな。もしかしたらCランクモンスターがいるかも?」
「まあ、それなら楽しめそうだな」
「ガレム、体力を使い切ったら勝てるものも勝てなくなるわ。自重して」
「ったく、ヘレナは気にしすぎなんだよ」
「貴方に言われたくはないわ。気にしなさすぎでしょう?」
「また始まった。性格的なものだろうから、仕方ないんだろうけどね」
ガレムとヘレナの言い合いに、パウエルとミリアが苦笑を浮かべる。
まだこの時は、パウエルたちも余裕があった。まだ、この時は。
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