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古代遺跡の出来事
第23話 姿見の部屋での休憩
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月の魔女とよばれるまで
第23話 エーベルとの再会
ミリアと出会った場所から、戻ってきた沙更だがあれ以降モンスターに出くわすことはなかった。
沙更も魔法をある程度使い慣れることが出来たことで、自身の魔力に影響を与えていた。が、本人はそのことに気付いていなかった。
魔力切れを起こさない魔法士など、火力の切れない砲台のようなものである。それに、沙更が扱う魔法はウォーターカッターを除いて全て初級魔法で構成されている。
だが、その初級魔法ですらCランクモンスターを翻弄出来る程の威力を持っている。その時点で、魔法士として異質と言うしか無かった。
再度、姿見の部屋まで戻ってくる。魔方陣に沙更が魔力を込めるとその魔力に反応して、扉がゆっくりと開いていく。
その光景を見て、ミリアがポツリと呟く。
(これって、セーナちゃんと会ってなかったら依頼を完遂できなかったんじゃ・・・)
実際、魔方陣は大量の魔力を使って一時的に無効化するか沙更の魔力もしくはエーベルの魔力でなければ稼働しない仕組みになっていた。そういう点でもミリアの考えは当たっていたことになる。
姿見の部屋に戻ってくると沙更が口を開いた。
「もし、疲れているのならここの部屋と魔方陣の部屋はモンスターがいないので、休憩や食事をするといいかもしれません」
「えっ、それって!?」
その言葉に反応したミリアに、沙更は説明する。
「入る前に魔方陣が描かれていた扉がモンスターの侵入を阻止してくれています。だから、ここは休憩するには良いと思うのです」
モンスターの襲撃がなければ、気を張ること無く休むことが出来る。それに、鉄の武器でそれを通用しない相手を倒した時点で消耗はかなりのものだろう。
いかに沙更のヒールで癒やしたとは言え、失った血は戻っていないのだからここで休んで欲しいと沙更は思う。
「治癒士という以前に、ヒールで傷は癒やしましたが血を失ったままです。少しでも休んで欲しいというのもあります」
沙更が気遣ってくれていることに、四人は気付く。治癒魔法は傷を癒やせても血を戻すことまでは出来ない。それは、治癒士にとっての常識だからだ。
それに、血を失ったままでは本来の動きをすることも出来なくなる。それ故に、沙更が休憩や睡眠を取って欲しいと言っていることに気付いたのだ。
「確かに魔方陣を描いた扉で防げるのかもしれないが、本当にモンスターは来ないのか?」
パウエルが戸惑ったように沙更に声をかける。
「心配するのも分かりますし、普通のダンジョンで安全地帯もあまりないでしょうからそう思うのもわかります。パウエルさんたちで、交代で休んではどうですか?私は、隣の魔方陣の部屋に用があります。それに、得体の知れない人間がいると気が休まりませんしね」
沙更はそう言って、魔方陣の部屋に通じる扉を開けてその場から出て行く。
それを見ていた四人は、沙更の気遣いを感じざるを得なかった。
「俺たちを心配してくれたのは分かる。それにしても、彼女何者なんだ?」
「確かに気になるのは分かるけど、あそこまで気遣いされて逆に意地を張っても馬鹿らしいよ?セーナちゃんが、誰であっても助けてくれてるのは確かなんだから」
「ミリア、お前あの子のこと気に入ってるだろ。お前が気に入ったなら警戒する必要性は無しだな。善悪というか、危険に関しての嗅覚は凄いのを知ってるからな」
「ガレムも興味津々ってところじゃないの?いつもなら、魔法士自体胡散臭せえって言ってるのに妙に優しい目をしてるじゃない」
「なっ、ヘレナ。気付いてやがったのか」
少し焦ったようにガレムがそう言うとヘレナがニヤニヤしている。ミリアは、ガレムにもそういうところがあるのかと若干驚く。基本的に、身体を動かすことと強者と戦うことを楽しみにしている脳筋にしか見えないからだ。
「ガレムがそう言う反応するの珍しい。まあ、そういう点ではあたしもかな。孤児院の子たちよりも気になっていると言うか、ちょっとね」
ミリアがそう言うとパウエルは納得の表情をする。孤児院出身であり、孤児院のために冒険者をしているからだ。古びた孤児院は、ミリアの稼ぎでなんとかなっていると言って良い。なので、なかなか自分の装備の更新が出来ていなかった。
唯一、相棒にしていた鋼鉄の短剣もCクラスにランクアップする試験の時に折ってしまい。間に合わせで、鉄の短剣を使っているのもお金に余裕が無かったからだ。
現在の荒野の狼に金銭はほぼ残っていない。それ故、こんな自分たちの能力を超える難易度のクエストを受けたと言う側面があった。
「どちらにしろ、あの子に俺たちは感謝を伝えなきゃいけない。ここまで案内してくれたことと言い、あれだけのモンスターを一人で相手させたりしたわけだしな」
パウエルとしても、沙更に恩義は感じていた。あのまままたモンスターに遭遇していれば、全員死んでいたのは確実だったからだ。それがこうやって生き延びているのは、沙更のおかげであったから。
第23話 エーベルとの再会
ミリアと出会った場所から、戻ってきた沙更だがあれ以降モンスターに出くわすことはなかった。
沙更も魔法をある程度使い慣れることが出来たことで、自身の魔力に影響を与えていた。が、本人はそのことに気付いていなかった。
魔力切れを起こさない魔法士など、火力の切れない砲台のようなものである。それに、沙更が扱う魔法はウォーターカッターを除いて全て初級魔法で構成されている。
だが、その初級魔法ですらCランクモンスターを翻弄出来る程の威力を持っている。その時点で、魔法士として異質と言うしか無かった。
再度、姿見の部屋まで戻ってくる。魔方陣に沙更が魔力を込めるとその魔力に反応して、扉がゆっくりと開いていく。
その光景を見て、ミリアがポツリと呟く。
(これって、セーナちゃんと会ってなかったら依頼を完遂できなかったんじゃ・・・)
実際、魔方陣は大量の魔力を使って一時的に無効化するか沙更の魔力もしくはエーベルの魔力でなければ稼働しない仕組みになっていた。そういう点でもミリアの考えは当たっていたことになる。
姿見の部屋に戻ってくると沙更が口を開いた。
「もし、疲れているのならここの部屋と魔方陣の部屋はモンスターがいないので、休憩や食事をするといいかもしれません」
「えっ、それって!?」
その言葉に反応したミリアに、沙更は説明する。
「入る前に魔方陣が描かれていた扉がモンスターの侵入を阻止してくれています。だから、ここは休憩するには良いと思うのです」
モンスターの襲撃がなければ、気を張ること無く休むことが出来る。それに、鉄の武器でそれを通用しない相手を倒した時点で消耗はかなりのものだろう。
いかに沙更のヒールで癒やしたとは言え、失った血は戻っていないのだからここで休んで欲しいと沙更は思う。
「治癒士という以前に、ヒールで傷は癒やしましたが血を失ったままです。少しでも休んで欲しいというのもあります」
沙更が気遣ってくれていることに、四人は気付く。治癒魔法は傷を癒やせても血を戻すことまでは出来ない。それは、治癒士にとっての常識だからだ。
それに、血を失ったままでは本来の動きをすることも出来なくなる。それ故に、沙更が休憩や睡眠を取って欲しいと言っていることに気付いたのだ。
「確かに魔方陣を描いた扉で防げるのかもしれないが、本当にモンスターは来ないのか?」
パウエルが戸惑ったように沙更に声をかける。
「心配するのも分かりますし、普通のダンジョンで安全地帯もあまりないでしょうからそう思うのもわかります。パウエルさんたちで、交代で休んではどうですか?私は、隣の魔方陣の部屋に用があります。それに、得体の知れない人間がいると気が休まりませんしね」
沙更はそう言って、魔方陣の部屋に通じる扉を開けてその場から出て行く。
それを見ていた四人は、沙更の気遣いを感じざるを得なかった。
「俺たちを心配してくれたのは分かる。それにしても、彼女何者なんだ?」
「確かに気になるのは分かるけど、あそこまで気遣いされて逆に意地を張っても馬鹿らしいよ?セーナちゃんが、誰であっても助けてくれてるのは確かなんだから」
「ミリア、お前あの子のこと気に入ってるだろ。お前が気に入ったなら警戒する必要性は無しだな。善悪というか、危険に関しての嗅覚は凄いのを知ってるからな」
「ガレムも興味津々ってところじゃないの?いつもなら、魔法士自体胡散臭せえって言ってるのに妙に優しい目をしてるじゃない」
「なっ、ヘレナ。気付いてやがったのか」
少し焦ったようにガレムがそう言うとヘレナがニヤニヤしている。ミリアは、ガレムにもそういうところがあるのかと若干驚く。基本的に、身体を動かすことと強者と戦うことを楽しみにしている脳筋にしか見えないからだ。
「ガレムがそう言う反応するの珍しい。まあ、そういう点ではあたしもかな。孤児院の子たちよりも気になっていると言うか、ちょっとね」
ミリアがそう言うとパウエルは納得の表情をする。孤児院出身であり、孤児院のために冒険者をしているからだ。古びた孤児院は、ミリアの稼ぎでなんとかなっていると言って良い。なので、なかなか自分の装備の更新が出来ていなかった。
唯一、相棒にしていた鋼鉄の短剣もCクラスにランクアップする試験の時に折ってしまい。間に合わせで、鉄の短剣を使っているのもお金に余裕が無かったからだ。
現在の荒野の狼に金銭はほぼ残っていない。それ故、こんな自分たちの能力を超える難易度のクエストを受けたと言う側面があった。
「どちらにしろ、あの子に俺たちは感謝を伝えなきゃいけない。ここまで案内してくれたことと言い、あれだけのモンスターを一人で相手させたりしたわけだしな」
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