月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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古代遺跡の出来事

閑話1 ミリア

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月の魔女とよばれるまで

閑話1 ミリア

今回はセーナ(沙更)視点ではありません。ミリアの視点になります。

リーダーたちに連れられてやってきた古代遺跡だったけど、鉄の短剣じゃ厳しいだろうなあと思ってたけどそんなレベルじゃなかった。

途中の罠とかはなんとか外せたけれど、Cランクの盗賊が来る場所じゃないのはひしひし感じてた。罠解除大を持つあたしの腕でギリギリなんだよ?本当、他のCランクの盗賊じゃこのレベルの罠はそうそう解除出来ない。

一つでも罠が凶悪なのだったら、その時点でパーティーごと壊滅する可能性が高くなる事を考えると背筋がぞっとする。この四人で、一年近くやってきたから下手に死なせられない。

そう考えて、いろいろと気を張る。背後からの気配には一層の注意を払う。背後から仕掛けられたら、ヘレナじゃ抑えきれないのを分かっているから。

奥へ行く度に、やっぱり力不足なのを理解するしかなかった。最下層で、サイクロプスとオーガを相手にした時には、リーダーもガレムも鉄の武器だけに苦戦を強いられてしまった。

盗賊のあたしじゃ、オーガやサイクロプスに対抗出来ない。なんとか時間を稼ぐのがやっと。それでも、オーガの爪の一撃で吹っ飛ばされて肩から脇腹までの大怪我を負ってしまった。

リーダーとガレム、ヘレナ自身も怪我を負った事からあたしがヒールを受けるわけにいかなかった。そういう点、あたしが自分の命を重く思ってなかったんだと思う。孤児だからかもしれないけれど、人が死ぬのを何度も見てきたからそう思うのかもしれない。何というか冷めて見ている感じがしていた。

死ぬ時くらいは、一人が良いと思いつつももしかしたら手助けしてくれる人がいるかもと思ってリーダーたちから離れた。

そのことが、あたしにとって大切な人との出会いになるなんて思ってもみなかったけど。

血を流しつつも歩くあたしを見て、助けてくれた女の子がセーナちゃん。途方もない魔力の持ち主で、あたしの大怪我もあっさりと治してくれた。

あたしがリーダーたちも助けて欲しいと言ったら、お姉さんが頼む人なら治療しましょうかって言ってくれた優しい子。

セーナちゃんを連れて戻ったら、怪我が治っていることにリーダーたちが驚いた顔をしたけど、確かにあれだけの怪我をあっさり治しちゃう治癒魔法の持ち主がこんな女の子って時点で凄いんだよね。

ガレムなんて、最初胡散臭いって顔をしてたけど、リーダーの怪我をあっさり治してくれたのと自分の怪我すらあっさり治されちゃったから、セーナちゃんの事を信じる気になったみたい。

リーダーはそういう点、あたしの怪我を治していた時点でこちらに害意はないのを分かっていたみたいだけどね。セーナちゃん以外に、無償で治癒魔法を使う人なんて見たことがなかったし。

そういう点で、ガレムが警戒したんだろうとは思うけど、あたしの怪我を治してくれて、みんなの怪我まで治してくれてる時点で、治療費を払うなら結構な金額になってるの気付いているのかな?

後、治癒魔法を使えるからかヘレナの機嫌が非常に悪かったけど、途中でセーナちゃんが余りにも規格外だってことに気付いたみたいで顔が青くなってた。ヒール四回唱えてるのに、魔力が削れてる感じが一切無かったからだと思う。実際、同じ事を他の治癒士が出来るわけがないと思ったのは内緒。

セーナちゃんが使う治癒魔法をハイヒールだってヘレナは言っていたけど、セーナちゃん的にはあれでヒールなんだって言ってた。後で、エーベルさんに知恵とか技術とか教えてもらっていたって聞いて、納得してしまったんだけどね。

それに、あたしたちの依頼を聞いて最深部まで案内してくれて、途中に出たモンスターも高威力の魔法で次々と迎撃していくのを見て、リーダーやガレムが驚いた顔をしていたっけ。ヘレナも治癒魔法と攻撃魔法を両方使える人間って驚いていたけど。

あたしはセーナちゃんを命の恩人だからと気にしていなかった。だって、あれだけの魔力を持つなら攻撃魔法も持っていて当然だし、一人でモンスターを排除するのに魔法を使っていないわけが無かったから。

それにしても、セーナちゃんはあたしに大切な物を預けすぎだと思う。白の直刀を渡された時、実はドキドキだったんだから。魔力で形成された白い直刀って言う剣。もの凄いオーラを出してて、あたしが持っても良いのかななんて思ったりもしたけど、セーナちゃんに是非になんて言われたら預かるしかなかった。

魔方陣が描かれた扉をセーナちゃんが開けてくれた時に思ったんだ。セーナちゃんに会ってなければ、この依頼達成できなかったんだってことに。魔方陣の扉は、セーナちゃんの魔力じゃないと反応しなかった。

それは、セーナちゃんがいなければ最深部にいけなかったってこと。そして、扉を開けて入った部屋でセーナちゃんがあたしたちに休んでくださいって言って、一人奥の部屋に行った。

そんなセーナちゃんが気になって、リーダーたちが少し眠りに入ったところで次の部屋への扉を開けた。そこで見たエーベルさんは古代魔法士の残留思念?って言ってたかな?セーナちゃんよりは魔力が劣るけど、凄い力を持つ人だった。

あたしを見て、セーナちゃんを助けてやって欲しいと言われた。あたしの恩人だから、その言葉に頷いたけれど他にもいろいろと事情があるみたい。だけど、それらを聞いたとしてもあたしが、セーナちゃんの側に居たいと言う気持ちに揺らぎはない。

そんな思いで居たからか、エーベルさんがあたしの力を引き出してくれて幻影の衣って言う服まで作ってくれた。

力自体、今までとは全然誓う感じを全身から感じてしまっていてちょっと持てあまし気味だった。それを見ていたセーナちゃんが気になったのか、しきりに休んでくださいって言われたけれど幻影の衣が気になって着替えてみた。

その時に、誰も見てないからあっさりと上を脱いでしまったのだけどセーナちゃんが少し目で抗議してきたから今度はそうしないことにしようと思う。あたしの身体はそんなに見ても良い物じゃ無いと思うんだけど、そういうところが余りよく分かってないんだよね。

いつも近くに、美人でスタイルの良いヘレナが居るからあたしは引き立て役だと思って、自分のことをそこまで顧みていなかったけれど、セーナちゃん曰くそれなりにスタイルが良いのだそうだ。少なくてもかわいいと綺麗の間らしい。と言われても、あたし自身首をかしげてしまうのだけれど。

いろいろとあたしが気にしていなかったことに気付いてくれるセーナちゃん。そんなセーナちゃんの側に、あたしはずっと居たいと思っていた。
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