月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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古代遺跡の出来事

第29話 依頼の達成の為の捜索

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月の魔女とよばれるまで

第29話 依頼の達成のための捜索

パウエルたちが起きたことで、沙更とミリアは立ち上がることにした。仮眠から一時間ほど経っていて、その間に水分と軽くミリアが持っていた干し肉での軽い食事も終えていたからだ。

が、この時の干し肉の味に沙更はこの世界の食事事情をなんとなく察してしまう。出来る限り、自炊出来るならした方が下手な食堂に行くよりおいしいご飯が食べられるかも知れないと考えたからだ。

異世界で生きてきた頃の沙更は、自炊を心がけていた。苦学生だったこともあり、お金を余りかけずにご飯を食べることに知恵と工夫を凝らしていたからだ。その時の知恵は、今も頭に残っていた。

本来、魂召喚にそこまでの記憶が付いてこない。が、セーナの膨大な魔力が暴走したこととエーベルがその魔力を利用したことで、ほぼ完全な記憶を確保することが出来ていたのだった。

「済まない、ミリアにセーナちゃん。待たせたようだね」

「リーダーたちは血を失ったままだったから、寝ても回復しきってないでしょ?ヘレナの魔力を回復できたのはかなり良かったと思うけど、本調子には遠い感じだと思うんだ」

「相変わらず、ミリアは鋭いな。確かに本調子には遠いが、大分ましにはなった。怪我を治された時に比べればまだ動ける」

「リーダーもだけど、ガレムも違和感ありありって顔をしてる。ヘレナなんか、身体が重いって感じだね」

ミリアが見る限り、パウエルたち三人はどうも本調子には遠い感じだ。大怪我をして、治したは良いが血が戻ってないことの弊害がここに出ていた。

「リーダーたちはしばらく戦闘無理でしょ?セーナちゃんに、お任せしちゃう感じになっちゃうのは辛いけど仕方がないと思うしかないかな」

「それでも、隣の部屋を見ておかないといけないからな。そこは案内できるかい?」

パウエルの言葉に、沙更は頷く。

ガレムもヘレナも、そこに異論はないようだ。どちらにしろ、邪教の集団がいないことを確認する必要があったからだ。本当に、セーナが言うように消滅したのかをこの目で見て確かめたいと思っていた。

パウエルたちを魔方陣の部屋に案内すると余りにも濃密な魔力の残滓に、ヘレナが過剰反応した。

「もの凄い魔力がここで爆発した跡!?どれだけの魔力をここで暴発させたのか、考えると頭が痛くなるわ。儀式魔法クラスの魔力じゃない」

魔方陣の部屋に残るマナバーストの魔力の残滓を感じ取ったのか、ヘレナの表情は冴えない。恐れを感じているのは表情が硬くなっていることからも分かる。パウエルも魔方陣が描かれた部分から離れた場所を探っていた。ガレムは、居たであろう邪教の集団と戦えなかったことに残念そうな表情を浮かべた。

「人間の姿なんて、完全に消えてしまっているか。それほどの魔力の爆発となれば、この部屋も吹っ飛んでそうだが・・・」

「パウエル、ここの魔方陣に魔力を注いでいたのならその魔方陣で結界を張って守ったと思うのだけど?」

ヘレナが魔力を感じつつも推論を口にする。実際、マナバースト時にセーナを守る結界が発動していた。それと魔方陣に魔力が込められていたことで部屋全体に守りが発動していたこともあり、部屋が守られた格好だったのだ。

「流石に、これじゃあ猛者どもと言えど消滅せざるを得なかったか。ちっ、やり合う機会を失ったぜ」

「ガレム、貴方の思うようになるとわたくしやパウエルの命がいくつあっても足りないから、止めて欲しいのだけど?」

「ったく、ヘレナはそういうところはこだわるよな。まあ、こうなった以上仕方が無いで済ませるか」

ヘレナに突っ込まれたところで、ガレムがそれ以上口を開くことを辞めた。そういうところは、空気が読めるらしい。本人的には、不完全燃焼なんだろうとは沙更も思う。顔に出ているからわかりやすいのだ。

「依頼としては、邪教の集団に占領されているであろう古代遺跡の調査だ。最深部の魔方陣の部屋まで来て、邪教の集団が壊滅したと報告が出来る。これで、依頼を達成できる条件はそろったと言う訳か」

パウエルは、受けた依頼の達成条件を口にしていた。それは、確認する必要があったから口にしたわけで、そのことにミリアたちが異論を唱えることはない。複雑な依頼の場合、紙が使えない事も多い。そのため、記憶しておくのに頭に叩き込むしかない事も多いからだ。

改めて、確認をしたと言うことは達成したと言うことのようだ。邪教の集団はこの世にもう居ないのを確認できたし、その状況も確認できたからだった。
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