月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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古代遺跡の出来事

第41話 地上に向けて5

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月の魔女とよばれるまで

第41話 地上に向けて5

 三人とも武器が直ったので、一応戦える状態にはなった。が、まだ問題が残っていた。そう、防具である。

「流石に、鎧は直せません。もしかしたら、直せるかも知れませんが流石にちょっと試すにも・・・」

 沙更として、防具までは直せるか怪しかった。修復魔法で直せると直感で感じられたのは武器だけ。防具までは範疇に入っていなかった。もしかしたらとは思うのだが、それでも試すには厳しい気がした。

 もし、防具を作るとしたら魔力の糸を使った物くらいだろう。それでも、今のパウエルたちに取ってみれば、相当とんでもない代物のできあがりになるのが目に見えていた。

「そう言えば、ミリア。お前、いつの間に武器も防具も変わってねえか?」

「あれ、ガレム今頃気付いたの?武器も防具もセーナちゃんからの預かり物だよ。魔力で生み出す短剣に、魔力の糸で作り出された幻影の衣って言ったっけ?そう言う名前の服だって」

「はあ!?お前、それ羨ましすぎだろ。てか、魔力で生み出した短剣で、あの月女神の眷属と鍔迫り合いして互角にやり合ったのか?本当に、マジで凄すぎだぜ」

 ガレム的には、魔力で生み出したと言う短剣があの紫の大剣と互角の鍔迫り合いが出来る時点で、とんでもない代物だと確信していた。脳筋だが、武器の見極めは出来るだけに白の直刀をかなりの業物と踏んでいたのだ。

「しばらくは、ミリアとセーナちゃんにお任せか・・・。いろいろとふがいないな、まったく」

「リーダー、余り気にされるとセーナちゃんが気にするよ?」

「まったくだな、リーダー考えすぎだぜ。防具は、ランクアップ時で大分やっちまってた。間に合わせの品でここまで無茶したんだから、今度はもうちょっと良いのにしようって思わねえとやってらんねえよ」

 そんな二人のやり取りを見つつ、ヘレナが思っていたことを口にした。

「そういえば、ミリアのその服もセーナちゃんのドレスもセーナちゃんが作ったのよね?服なら作れるってことかしら?」

 ヘレナの問いに、沙更は頷く。

「ミリアお姉さんの幻影の衣は、私の魔力から作った糸で作りました。今着ているエーテルドレスもです。魔力の糸を使った品なら作れるとは思いますが、男性用の服を作ったことがないのでそこが問題なんです」

 言葉の歯切れが悪いのは、男性用の服を作ったことがないからだった。作ったことがないので、想像力も働いていないのが問題だった。

 なんとなくならば出来そうなのだが、緻密にとなると厳しいと言うしかない。そう言う点では、ヘレナの神官服は作れるから大丈夫ではあった。

 なにかきっかけがあれば出来るかもしれないと思うあたりは向上心があるからだろうか?

 結局、ヘレナの破れた神官服を魔力の糸から作ることにして、パウエルたちのは後で考えることにしたのだった。
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