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古代遺跡の出来事
第43話 地上に向けて7
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月の魔女とよばれるまで
第43話 地上に向けて7
神官服を受け取ったヘレナが神官服の重みが無いことに気付いて、驚きの表情をうかべる。
「ねえ、セーナちゃん。この服重みが無いんだけどどういうことなの?」
「魔力の糸で作ったからだと思うんですけど・・・。エーテルドレスもミリアお姉さんの幻影の衣も、強いて言うなら預けてる白の直刀も重みがありません。物質ではありませんし、魔力で作り上げた物だからでしょうか?」
「巨大な魔力があるから服とかも作れる時点で途方も無いのに、重みがない衣服って本当に規格外すぎるわ。それに込められている魔力量が途轍もないから、この服は魔法にも耐性があるのでしょう?」
「多分ですけど、あると思います。実際、魔法を受けたことが無いのでなんとも言えませんけど」
沙更としては、そう言うしかない。実際あるのかどうか実証していないのだ。だが、込められた魔力を考えると耐性が無いなんて事はあり得なかった。
そもそも、魔力で物を作ると言う発想がない。付与魔法や補助魔法はあっても、魔力で何かを作れるかと言うことを考えたことが無いと言った方が良いのかも知れない。
そんなやりとりをしているとパウエルとガレムが沙更を見ていた。そんな視線に沙更は苦笑を浮かべる。
「パウエルさんもガレムさんも私が作った服欲しいですか?男の人に服を作ったことは無いので、不格好になってしまうかもですけど」
「出来ればってところだな。余り無理を言いたくは無いし、武器を直してもらっただけでも十分すぎる。特に俺とガレムは君に何も出来ていないからなあ」
「リーダーがそういうのも分かるけどよ、なにも出来てないって訳でも無いだろう?と言うわけでだ、リーダーと俺にも頼むぜ。手作りって悪くねえと思うんだよな」
「ガレム、ちょっとおねだりしすぎだと思うんだけど?セーナちゃん、余り甘やかしすぎも良くないってあたしは思うけど?」
ガレムの言葉に、ミリアの表情が変わる。それを見ていた沙更は苦笑を浮かべつつもミリアに顔を向けた。
「ミリアお姉さん、余り心配しないでも大丈夫。パウエルさんもガレムさんも鎧がないから、心配なのも分かる。でも、私の作る服はそこまで凄くないと思うんですけど」
沙更の言葉に、ミリアを含めた四人が首を振った。魔力の糸で作る服の凄さは、ヘレナの神官服やミリアの幻影の衣で大体分かっているからだ。
「セーナちゃん、重みが無い時点で凄いとしか言えないの分かって欲しいな」
「本当に、セーナちゃんの魔力は治癒士から見ても羨ましい物ですわ。それに、作ってもらってなんですけどこの服凄すぎて。これだけの能力を持つ服がいくらすると思っているのです?」
「無意識なのは言うまでも無いけれど、セーナちゃん自体が凄すぎるの塊なんだ。そこだけは理解して欲しいかな」
「だよなあ、重みのない服で魔法まで耐えるって時点でなあ。どれだけお金がかかる品をあっさり作っているか分かってくれよ。普通に買ったら多分、大金貨のラインだぜ。魔鉄とかよりもそっちの方が高額だしなあ」
四人からそう言われてしまえば、沙更としても驚くしか無い。実際、これだけの性能を誇る服を買うならガレムの言ったとおり大金貨が必要になる。ミスリルを糸状に加工して、付与魔法を込めて更に紡いで服にする。加工費等々も考えれば、妥当な値段だが防御の方は案外お察しだったりするのだ。
だが、沙更が紡いだ魔力の糸はミスリル糸と同等以上の防御力を発揮するし、魔法に対しての耐性すら持ち合わせる上の重みが無いと言う効果を考えると大金貨で買える品ではなかった。
それに気付いているヘレナは、神官服を渡された際に驚いたと言うわけだ。
「ねえ、セーナちゃん。この服、多分だけど教会にばれたら聖具にされそうな品なんだけど気付いているのかしら?」
「えっ!?」
「確かに言われてみれば重みはないし、白地の糸の輝きと言い、魔法に耐性を持つ事と言い聖具の定義に完全に当てはまってるな」
ヘレナの指摘に、パウエルが頷く。この時代の教会はかなり権力を失いかけていて、逆に聖具などの品への認定が甘くなっていた。それでも、沙更の作る服はあっさりとその認定を通るほどの品だった。
「さっきから、ヘレナが恐れ多いみたいな顔をしてるから何かと思えば、そういうことだったってこと?」
「ミリアはあっさり着てますけど、それほどの物なの。でも、これで防具を当分というか、下手すると一生買わなくて良いかもしれませんわ。これ以上の品なんて、滅多にお目にかかれないでしょうし」
ヘレナの言葉に、沙更としては困った顔をするしか無い。自分が作った服がそんなに凄いと言う認識が無かったからだ。
「そんなに凄すぎるのなら、パウエルさんたちだけの特別にしましょうか。今後、作ることは無いと思いたいんですけど」
そう言いつつ、沙更はパウエルとガレムの服を作ることにする。イメージは話していて、なんとなくつかめたのでやってみることにした。
第43話 地上に向けて7
神官服を受け取ったヘレナが神官服の重みが無いことに気付いて、驚きの表情をうかべる。
「ねえ、セーナちゃん。この服重みが無いんだけどどういうことなの?」
「魔力の糸で作ったからだと思うんですけど・・・。エーテルドレスもミリアお姉さんの幻影の衣も、強いて言うなら預けてる白の直刀も重みがありません。物質ではありませんし、魔力で作り上げた物だからでしょうか?」
「巨大な魔力があるから服とかも作れる時点で途方も無いのに、重みがない衣服って本当に規格外すぎるわ。それに込められている魔力量が途轍もないから、この服は魔法にも耐性があるのでしょう?」
「多分ですけど、あると思います。実際、魔法を受けたことが無いのでなんとも言えませんけど」
沙更としては、そう言うしかない。実際あるのかどうか実証していないのだ。だが、込められた魔力を考えると耐性が無いなんて事はあり得なかった。
そもそも、魔力で物を作ると言う発想がない。付与魔法や補助魔法はあっても、魔力で何かを作れるかと言うことを考えたことが無いと言った方が良いのかも知れない。
そんなやりとりをしているとパウエルとガレムが沙更を見ていた。そんな視線に沙更は苦笑を浮かべる。
「パウエルさんもガレムさんも私が作った服欲しいですか?男の人に服を作ったことは無いので、不格好になってしまうかもですけど」
「出来ればってところだな。余り無理を言いたくは無いし、武器を直してもらっただけでも十分すぎる。特に俺とガレムは君に何も出来ていないからなあ」
「リーダーがそういうのも分かるけどよ、なにも出来てないって訳でも無いだろう?と言うわけでだ、リーダーと俺にも頼むぜ。手作りって悪くねえと思うんだよな」
「ガレム、ちょっとおねだりしすぎだと思うんだけど?セーナちゃん、余り甘やかしすぎも良くないってあたしは思うけど?」
ガレムの言葉に、ミリアの表情が変わる。それを見ていた沙更は苦笑を浮かべつつもミリアに顔を向けた。
「ミリアお姉さん、余り心配しないでも大丈夫。パウエルさんもガレムさんも鎧がないから、心配なのも分かる。でも、私の作る服はそこまで凄くないと思うんですけど」
沙更の言葉に、ミリアを含めた四人が首を振った。魔力の糸で作る服の凄さは、ヘレナの神官服やミリアの幻影の衣で大体分かっているからだ。
「セーナちゃん、重みが無い時点で凄いとしか言えないの分かって欲しいな」
「本当に、セーナちゃんの魔力は治癒士から見ても羨ましい物ですわ。それに、作ってもらってなんですけどこの服凄すぎて。これだけの能力を持つ服がいくらすると思っているのです?」
「無意識なのは言うまでも無いけれど、セーナちゃん自体が凄すぎるの塊なんだ。そこだけは理解して欲しいかな」
「だよなあ、重みのない服で魔法まで耐えるって時点でなあ。どれだけお金がかかる品をあっさり作っているか分かってくれよ。普通に買ったら多分、大金貨のラインだぜ。魔鉄とかよりもそっちの方が高額だしなあ」
四人からそう言われてしまえば、沙更としても驚くしか無い。実際、これだけの性能を誇る服を買うならガレムの言ったとおり大金貨が必要になる。ミスリルを糸状に加工して、付与魔法を込めて更に紡いで服にする。加工費等々も考えれば、妥当な値段だが防御の方は案外お察しだったりするのだ。
だが、沙更が紡いだ魔力の糸はミスリル糸と同等以上の防御力を発揮するし、魔法に対しての耐性すら持ち合わせる上の重みが無いと言う効果を考えると大金貨で買える品ではなかった。
それに気付いているヘレナは、神官服を渡された際に驚いたと言うわけだ。
「ねえ、セーナちゃん。この服、多分だけど教会にばれたら聖具にされそうな品なんだけど気付いているのかしら?」
「えっ!?」
「確かに言われてみれば重みはないし、白地の糸の輝きと言い、魔法に耐性を持つ事と言い聖具の定義に完全に当てはまってるな」
ヘレナの指摘に、パウエルが頷く。この時代の教会はかなり権力を失いかけていて、逆に聖具などの品への認定が甘くなっていた。それでも、沙更の作る服はあっさりとその認定を通るほどの品だった。
「さっきから、ヘレナが恐れ多いみたいな顔をしてるから何かと思えば、そういうことだったってこと?」
「ミリアはあっさり着てますけど、それほどの物なの。でも、これで防具を当分というか、下手すると一生買わなくて良いかもしれませんわ。これ以上の品なんて、滅多にお目にかかれないでしょうし」
ヘレナの言葉に、沙更としては困った顔をするしか無い。自分が作った服がそんなに凄いと言う認識が無かったからだ。
「そんなに凄すぎるのなら、パウエルさんたちだけの特別にしましょうか。今後、作ることは無いと思いたいんですけど」
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