52 / 365
古代遺跡の出来事
第46話 地上に向けて10
しおりを挟む
月の魔女とよばれるまで
第46話 地上に向けて10
武器の修復と服をパウエルたちに渡したことで、ようやく動き出すことが出来るようになった。
「ようやく動けそうかな?」
「セーナちゃんに心配させたから、この装備なら大丈夫だと思うよ」
沙更のつぶやきに、ミリアが答える。いざとなれば、沙更が無茶をするつもりでいた。そこも、ミリアには見抜かれていたようだが。
「もう、セーナちゃん無茶する気だったでしょ?もう顔に出てたよ?」
「ミリアお姉さんには隠し事は出来ませんね。もしもの時に動くつもりでいただけですよ」
「大丈夫だよ、そうなる前にあたしが動くから。それに、リーダーに新しい剣があるしね」
そう二人で話していると、ガレムが口を挟んだ。
「セーナちゃんにミリアが無理することもねえだろ。ったく、そういうところ水くさいよなあ」
「それにしても、ガレムがここまで世話焼きになっている方が俺としては驚きなんだがな」
パウエルとしても、こんな状態のガレムはお目にかかったことがないらしい。基本、脳筋お兄さんが染みついていると言うか、そう言う振る舞いだったからだろうとは推測出来るのだが。
パウエルのその言葉に、ヘレナも頷く。
「普通、脳筋の貴方から気遣いの言葉が出てくるなんて思ってもみませんでしたわ」
「ったく、リーダーもヘレナもひでえな。まあ、今までの俺ならそうだっただろうよ。いろいろとあり得ない物を見せて貰ったからなあ、それのお礼ってところだぜ」
「とは言っても、ガレムの口からそう言う言葉が出ること自体が驚きだよ。セーナちゃんの魔法も驚きの連続だが、別の意味で驚かされてる」
「そこに関しては同感だけど、案外優しい奴だったと言うのは良かったのかも?セーナちゃんはそういうところを見抜いてたみたいだし、そういう点では良かったかな」
「ミリアみたいにそれなりにじゃねえし、俺が不器用なのは昔からだから直せねえよ」
二人から言われたガレムがふてくされるが、沙更はそういう風には見ていない。だからか、次の言葉を言ったのだった。
「ガレムさんは、今のままでも大丈夫ですよ。変わりたいと思うのなら、徐々に変われば良いのです。急に変化したら逆に怖いと思いませんか?」
流石にその発想は、荒野の狼のメンバーになかったらしい。沙更の言った言葉に、四人とも目を丸くしていた。
「流石セーナちゃん、ガレムにそこまで言ってあげるなんて優しいと思う」
「確かにそうだな。急に、ガレムが紳士になっても反応に困る。どうすれば良いか分からなくなるだろうし」
「そう言われるとそうね。やはり、セーナちゃんは賢いと思うわ。五歳の子からこんな言葉出るとは思わないもの」
何というか、言った沙更としてもそこまで考えて言ったわけじゃ無かったから、少し気恥ずかしい感じがしていた。
第46話 地上に向けて10
武器の修復と服をパウエルたちに渡したことで、ようやく動き出すことが出来るようになった。
「ようやく動けそうかな?」
「セーナちゃんに心配させたから、この装備なら大丈夫だと思うよ」
沙更のつぶやきに、ミリアが答える。いざとなれば、沙更が無茶をするつもりでいた。そこも、ミリアには見抜かれていたようだが。
「もう、セーナちゃん無茶する気だったでしょ?もう顔に出てたよ?」
「ミリアお姉さんには隠し事は出来ませんね。もしもの時に動くつもりでいただけですよ」
「大丈夫だよ、そうなる前にあたしが動くから。それに、リーダーに新しい剣があるしね」
そう二人で話していると、ガレムが口を挟んだ。
「セーナちゃんにミリアが無理することもねえだろ。ったく、そういうところ水くさいよなあ」
「それにしても、ガレムがここまで世話焼きになっている方が俺としては驚きなんだがな」
パウエルとしても、こんな状態のガレムはお目にかかったことがないらしい。基本、脳筋お兄さんが染みついていると言うか、そう言う振る舞いだったからだろうとは推測出来るのだが。
パウエルのその言葉に、ヘレナも頷く。
「普通、脳筋の貴方から気遣いの言葉が出てくるなんて思ってもみませんでしたわ」
「ったく、リーダーもヘレナもひでえな。まあ、今までの俺ならそうだっただろうよ。いろいろとあり得ない物を見せて貰ったからなあ、それのお礼ってところだぜ」
「とは言っても、ガレムの口からそう言う言葉が出ること自体が驚きだよ。セーナちゃんの魔法も驚きの連続だが、別の意味で驚かされてる」
「そこに関しては同感だけど、案外優しい奴だったと言うのは良かったのかも?セーナちゃんはそういうところを見抜いてたみたいだし、そういう点では良かったかな」
「ミリアみたいにそれなりにじゃねえし、俺が不器用なのは昔からだから直せねえよ」
二人から言われたガレムがふてくされるが、沙更はそういう風には見ていない。だからか、次の言葉を言ったのだった。
「ガレムさんは、今のままでも大丈夫ですよ。変わりたいと思うのなら、徐々に変われば良いのです。急に変化したら逆に怖いと思いませんか?」
流石にその発想は、荒野の狼のメンバーになかったらしい。沙更の言った言葉に、四人とも目を丸くしていた。
「流石セーナちゃん、ガレムにそこまで言ってあげるなんて優しいと思う」
「確かにそうだな。急に、ガレムが紳士になっても反応に困る。どうすれば良いか分からなくなるだろうし」
「そう言われるとそうね。やはり、セーナちゃんは賢いと思うわ。五歳の子からこんな言葉出るとは思わないもの」
何というか、言った沙更としてもそこまで考えて言ったわけじゃ無かったから、少し気恥ずかしい感じがしていた。
0
あなたにおすすめの小説
死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話
みっしー
恋愛
病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。
*番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!
『 私、悪役令嬢にはなりません! 』っていう悪役令嬢が主人公の小説の中のヒロインに転生してしまいました。
さらさ
恋愛
これはゲームの中の世界だと気が付き、自分がヒロインを貶め、断罪され落ちぶれる悪役令嬢だと気がついた時、悪役令嬢にならないよう生きていこうと決める悪役令嬢が主人公の物語・・・の中のゲームで言うヒロイン(ギャフンされる側)に転生してしまった女の子のお話し。悪役令嬢とは関わらず平凡に暮らしたいだけなのに、何故か王子様が私を狙っています?
※更新について
不定期となります。
暖かく見守って頂ければ幸いです。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
【完結済】悪役令嬢の妹様
紫
ファンタジー
星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。
そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。
ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。
やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。
―――アイシアお姉様は私が守る!
最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する!
※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>
既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
黒豚辺境伯令息の婚約者
ツノゼミ
ファンタジー
デイビッド・デュロックは自他ともに認める醜男。
ついたあだ名は“黒豚”で、王都中の貴族子女に嫌われていた。
そんな彼がある日しぶしぶ参加した夜会にて、王族の理不尽な断崖劇に巻き込まれ、ひとりの令嬢と婚約することになってしまう。
始めは同情から保護するだけのつもりが、いつの間にか令嬢にも慕われ始め…
ゆるゆるなファンタジー設定のお話を書きました。
誤字脱字お許しください。
追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~
たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。
辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。
壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。
その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。
ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
退屈令嬢のフィクサーな日々
ユウキ
恋愛
完璧と評される公爵令嬢のエレノアは、順風満帆な学園生活を送っていたのだが、自身の婚約者がどこぞの女生徒に夢中で有るなどと、宜しくない噂話を耳にする。
直接関わりがなければと放置していたのだが、ある日件の女生徒と遭遇することになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる