月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

文字の大きさ
69 / 365
古代遺跡の出来事

第63話 開拓村に戻って2

しおりを挟む
月の魔女とよばれるまで

第63話 開拓村に戻って2

マイティアップを唱えてまで、倒れた人たちを運ぶ沙更。それを見て、ミリアが駆け寄ってきた。やりたいことは分かっているから、手助けをしたいと。

「セーナちゃん、一人で頑張るつもりだったの?」

「ミリアお姉さん、ごめんなさい。私一人で頑張るつもりでしたけど、手伝ってもらえませんか?」

「謝らなくて良いし、それに言ってよ。あたし、セーナちゃんの力になるって言ったよ。側に居てあげるって言ったのに信頼してもらえないのは悲しい」

「そういう点を含めてごめんなさいなんです。だから、改めてミリアお姉さん手伝ってもらえませんか?」

「段階なんて踏まなくても良いのに、セーナちゃんはそういう点慎重すぎるんだから拒否なんてしないのに」

ミリアとしては、頼って欲しかったのだが沙更として自分の思いを押しつけるだけじゃないかと引いてしまっていたからこうなってしまったと言える。

沙更は、ミリアにして欲しいことを伝えるとミリアが荒野の狼のメンバーを巻き込むことにしたようだ。

「セーナちゃん、こういう時にお礼をさせて欲しいの。みんなそう思ってるから手伝うからね」

それだけ沙更に伝えると、ミリアはその場から離れていく。

パウエルたちを巻き込む方が格段に早く開拓村の人々を弔うことが出来る。それが分かっていながら、出来なかったのは多分遠慮していたのも入っていた。

村の人々を死なせてしまったのはセーナの所為だと知っているからだろう。それは正しいけれど、間違ってもいた。邪教の集団が望んだのは魔力である。しかも今回の件には裏があったのだから。

ミリアたちの手伝いを得て、沙更は強化した身体能力を生かして、どんどんと村人たちの遺体を村長の家の裏まで運んでいく。

入り口側の遺体から順番に運んでいく。そうして、運んでいくとセーナの家まで来ていた。残るは、ここと村長の家だけ。

入口側の木造の家は、邪教の集団との戦いで崩れたりしていたがセーナの家は無事だったようだ。

家の中に入ると今のところで倒れている女性がいた。セーナの母親だ。

(ごめんなさいお母さん、セーナを産んだことで死なせてしまった。ごめんなさいと言って許してもらえるとも思っていないけれどそれでも言わせて欲しい)

やはり、沙更の精神に引っ張られているとは言え実の母親の遺体を見て心が動かないわけもなく、自然と涙が流れていく。自分が生まれなければ死ななかったかも知れないと思ってしまうのは、親不孝だろうか?

セーナの母親を背中に背負い、家を見るとやはり損傷はほぼないようでセーナの部屋も荒らされた形跡はなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ
ファンタジー
 一歳で両親を亡くし母方の伯父マークがいる辺境伯領に連れて来られたパール。 伯父と一緒に暮らすお許しを辺境伯様に乞うため訪れていた辺境伯邸で、たまたま出くわした侯爵令嬢の無知な善意により 六歳で見習い冒険者になることが決定してしまった! 運良く? 『前世の記憶』を思い出し『スマッホ』のチェリーちゃんにも協力してもらいながら 立派な冒険者になるために 前世使えなかった魔法も喜んで覚え、なんだか百年に一人現れるかどうかの伝説の国に迷いこんだ『迷い人』にもなってしまって、その恩恵を受けようとする『当たり人』と呼ばれる人たちに貢がれたり…… ぜんぜん理想の田舎でまったりスローライフは送れないけど、しょうがないから伝説の国の魔道具を駆使して 気ままに快適冒険者を目指しながら 周りのみんなを無自覚でハッピーライフに巻き込んで? 楽しく生きていこうかな! ゆる〜いスローペースのご都合ファンタジーです。 小説家になろう様でも投稿をしております。

この野菜は悪役令嬢がつくりました!

真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。 花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。 だけどレティシアの力には秘密があって……? せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……! レティシアの力を巡って動き出す陰謀……? 色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい! 毎日2〜3回更新予定 だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!

【完結】メルティは諦めない~立派なレディになったなら

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 レドゼンツ伯爵家の次女メルティは、水面に映る未来を見る(予言)事ができた。ある日、父親が事故に遭う事を知りそれを止めた事によって、聖女となり第二王子と婚約する事になるが、なぜか姉であるクラリサがそれらを手にする事に――。51話で完結です。

魔法属性が遺伝する異世界で、人間なのに、何故か魔族のみ保有する闇属性だったので魔王サイドに付きたいと思います

町島航太
ファンタジー
 異常なお人好しである高校生雨宮良太は、見ず知らずの少女を通り魔から守り、死んでしまう。  善行と幸運がまるで釣り合っていない事を哀れんだ転生の女神ダネスは、彼を丁度平和な魔法の世界へと転生させる。  しかし、転生したと同時に魔王軍が復活。更に、良太自身も転生した家系的にも、人間的にもあり得ない闇の魔法属性を持って生まれてしまうのだった。  存在を疎んだ父に地下牢に入れられ、虐げられる毎日。そんな日常を壊してくれたのは、まさかの新魔王の幹部だった。

うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

聖女だと呼び出しておいて無能ですか?〜捨てられた私は魔王様に溺愛される〜

みおな
恋愛
 学校帰りにいきなり眩い光に包まれて連れて来られたのは異世界でした。  王子はこんなちんちくりんは聖女ではないと言い放ち、私を王宮から追い出しました。  元の世界に帰る方法は、魔王の持つ帰還の指輪が必要と言われ、途方にくれた私の前に現れたのは、美形の魔王でした。

初恋が綺麗に終わらない

わらびもち
恋愛
婚約者のエーミールにいつも放置され、蔑ろにされるベロニカ。 そんな彼の態度にウンザリし、婚約を破棄しようと行動をおこす。 今後、一度でもエーミールがベロニカ以外の女を優先することがあれば即座に婚約は破棄。 そういった契約を両家で交わすも、馬鹿なエーミールはよりにもよって夜会でやらかす。 もう呆れるしかないベロニカ。そしてそんな彼女に手を差し伸べた意外な人物。 ベロニカはこの人物に、人生で初の恋に落ちる…………。

異世界で王城生活~陛下の隣で~

恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。  グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます! ※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。 ※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。

処理中です...