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古代遺跡の出来事
第66話 浄化の後
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月の魔女とよばれるまで
第65話 浄化の後
実はホワイトフレイムもディバインブレードと同じく光の失伝魔法だったりする。ヘブンズゲートは、ホワイトフレイムで浄化された魂を迎え入れる為に召喚される天への門である。
それ故、この時代で召喚されたことはなく。沙更のホワイトフレイムで召喚されたヘブンズゲートは、世界の人々に衝撃を与えることになるのだがそれは後の話。
「セーナちゃんが頭を下げる必要性あった?あたし、そう言うつもりで手伝ったわけじゃないよ?」
「ミリアに同意だな。俺もそう言うつもりで手伝ったわけじゃねえしなあ」
「そういう点ではガレムと同じだな。どちらにしろ、セーナちゃんとしてはお礼を言いたいのは分かるがそれを受け取れる状態ではない。どれだけの恩を受けたかを考えてもらえればね」
「そういうことなの。どちらにしても、恩を返し切れていないからその礼はは受け取れないわ」
四人とも首を振るが、沙更としては受け取ってもらえると思ってはいなかったから気にもしない。手伝ってくれたことで頭を下げるくらいはしておきたかったのだ。自分の気持ちに区切りを付けるためにも。
実際、土壌が血に汚れたことで呪いが掛かりやすくなっている。そして、早急に浄化しなければアンデットを生み出しかねない。そうなってしまえば、農作物など作っていられるわけがない。
ここが潰れてしまうと他の開拓村にも影響は必至だ。それだけに、浄化は早くやらねばならない。それが出来るのが沙更だけだった為、ホワイトフレイムで一気に浄化した格好になる。
どちらにしろ、セーナの両親を輪廻の輪に戻すことが出来、開拓村の村人たちへの弔いを済ませた事で、沙更は緊張の糸が切れたのか座り込んでしまった。魔力自体は問題なかったが、これは沙更とセーナの精神的疲労がかなりのものだった事を裏付けていた。
そんな沙更をみて、ミリアが声をかける。
「セーナちゃん、ゆっくり休んで良いんだよ。いろいろと思うところはあるのは分かるけれど、お疲れ様」
「ミリアお姉さん、ごめんなさい。少し寝かせてください」
「いいよ、ゆっくりお休み」
沙更がすぅっと眠りにつくとそのまま、ミリアは抱え込んで膝で寝かせてあげる。外で、柔らかい枕は無い。だから、自分の膝に寝かせてあげることにしたのだ。膝で眠る沙更を見て、優しそうな表情を浮かべる。
そんなミリアを見た三人は、口を開いた。
「セーナちゃん寝ちまったか…。それにしても、本当にこの子にどれだけの重いもんもたせるつもりなんだろうな?神様がいてこれだったら、ちょっとなあ」
「ガレムと同じ感想になるとはなあ。だが、セーナちゃんにどれだけ重い物を持たせたのかが分からない。しばらくは同行して欲しいんだが、どうだろうか?それにしても、セーナちゃんはやりきってしまったな。ここまで頑張るとは思っていなかった」
「ミリアが優しい表情をしているのはセーナちゃんだからだと思うわ。でも、この子が持つ魔力量は、本当に異常よ?貴族、王族、邪教や教会、果ては商人たちがこの子の才能を欲しがるでしょうけど、セーナちゃんにそれが悪影響しか与えそうに無いのよね」
普通に考えれば、教会の権力と神とあがめられるほどの光の魔力を使えるその力、王族や貴族たちの権力と栄光を手にするための力としての魔力、どちらにしろろくな人生にならないだろうと思われる。
多分、それらの権力はセーナ自身欲しがらないだろうと言う予測は四人とも持っていた。目を付けられる相手に好感を持つのはかなり難しいからだ。
強大な魔力はそれを求める者を引きつける事にもなるが、排除する力にもなってくれる。そして、なんとなくだが魔力は沙更の事を好いている気がしていた。
第65話 浄化の後
実はホワイトフレイムもディバインブレードと同じく光の失伝魔法だったりする。ヘブンズゲートは、ホワイトフレイムで浄化された魂を迎え入れる為に召喚される天への門である。
それ故、この時代で召喚されたことはなく。沙更のホワイトフレイムで召喚されたヘブンズゲートは、世界の人々に衝撃を与えることになるのだがそれは後の話。
「セーナちゃんが頭を下げる必要性あった?あたし、そう言うつもりで手伝ったわけじゃないよ?」
「ミリアに同意だな。俺もそう言うつもりで手伝ったわけじゃねえしなあ」
「そういう点ではガレムと同じだな。どちらにしろ、セーナちゃんとしてはお礼を言いたいのは分かるがそれを受け取れる状態ではない。どれだけの恩を受けたかを考えてもらえればね」
「そういうことなの。どちらにしても、恩を返し切れていないからその礼はは受け取れないわ」
四人とも首を振るが、沙更としては受け取ってもらえると思ってはいなかったから気にもしない。手伝ってくれたことで頭を下げるくらいはしておきたかったのだ。自分の気持ちに区切りを付けるためにも。
実際、土壌が血に汚れたことで呪いが掛かりやすくなっている。そして、早急に浄化しなければアンデットを生み出しかねない。そうなってしまえば、農作物など作っていられるわけがない。
ここが潰れてしまうと他の開拓村にも影響は必至だ。それだけに、浄化は早くやらねばならない。それが出来るのが沙更だけだった為、ホワイトフレイムで一気に浄化した格好になる。
どちらにしろ、セーナの両親を輪廻の輪に戻すことが出来、開拓村の村人たちへの弔いを済ませた事で、沙更は緊張の糸が切れたのか座り込んでしまった。魔力自体は問題なかったが、これは沙更とセーナの精神的疲労がかなりのものだった事を裏付けていた。
そんな沙更をみて、ミリアが声をかける。
「セーナちゃん、ゆっくり休んで良いんだよ。いろいろと思うところはあるのは分かるけれど、お疲れ様」
「ミリアお姉さん、ごめんなさい。少し寝かせてください」
「いいよ、ゆっくりお休み」
沙更がすぅっと眠りにつくとそのまま、ミリアは抱え込んで膝で寝かせてあげる。外で、柔らかい枕は無い。だから、自分の膝に寝かせてあげることにしたのだ。膝で眠る沙更を見て、優しそうな表情を浮かべる。
そんなミリアを見た三人は、口を開いた。
「セーナちゃん寝ちまったか…。それにしても、本当にこの子にどれだけの重いもんもたせるつもりなんだろうな?神様がいてこれだったら、ちょっとなあ」
「ガレムと同じ感想になるとはなあ。だが、セーナちゃんにどれだけ重い物を持たせたのかが分からない。しばらくは同行して欲しいんだが、どうだろうか?それにしても、セーナちゃんはやりきってしまったな。ここまで頑張るとは思っていなかった」
「ミリアが優しい表情をしているのはセーナちゃんだからだと思うわ。でも、この子が持つ魔力量は、本当に異常よ?貴族、王族、邪教や教会、果ては商人たちがこの子の才能を欲しがるでしょうけど、セーナちゃんにそれが悪影響しか与えそうに無いのよね」
普通に考えれば、教会の権力と神とあがめられるほどの光の魔力を使えるその力、王族や貴族たちの権力と栄光を手にするための力としての魔力、どちらにしろろくな人生にならないだろうと思われる。
多分、それらの権力はセーナ自身欲しがらないだろうと言う予測は四人とも持っていた。目を付けられる相手に好感を持つのはかなり難しいからだ。
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