月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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古代遺跡の出来事

閑話4 教会

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月の魔女とよばれるまで

閑話4 教会

少し戻って、セーナがホワイトフレイムを唱え、ヘブンズゲートが開いたのをこの世界の人々は凶兆として捉えてしまった。ヘブンズゲートを見たこともないのだから、分からないことにいろいろと推測を立てようとしてもうまくはいかない。

唯一、教会がセーナの聖なる力を評価する形となってしまったのだった。神々しい天の扉を顕現出来る人間なんて、もはや聖女すら超えていたし、天界への門を開くほどの能力を持つのであれば、神に近い存在だと知らしめることになるからだった。それ故、やっきになってセーナを探し始めることになる。

先にディバインブレードの使い手として目をつけられてしまっていたのだが、それがさらに悪化する形になってしまったのは、神とも交信出来ると勘違いしたからに他ならない。だが、セーナ自身に神と交信出来る能力などない。強いて言うならば、月女神を中に宿すことで古い神に好かれるかもしれなかったが。

教会のお偉方が、ヘブンズゲートを見て驚愕の表情を浮かべる。それもそのはず、生きていてこんな光景を見ることになろうとは誰も予想していなかった。

「なっ、まさかあれは!?」

「天への門ヘブンズゲートか、数千年前の伝承でしか確認されていなかった存在が今現れただと!?」

「あの地に、聖女様がいるということか!?それに、蒼白い炎は浄化の炎。古の伝承にのみ記されていた幻の魔法だと言うのにそれを操る人間がいる!?この前ので神々の剣と言い、何が起こっているというのだ!」

光魔法は、今や扱える者がほとんど居ない。闇の魔法もかなり稀少な魔法になってしまっていたが、光魔法の方がより深刻だった。治癒魔法ならば、ある程度使える人間はいる。が、光魔法となると途端に人数が減ってしまう。

光魔法は、魔力が高くないと扱えない。四属性魔法とは違い、扱う人間を限定してしまうからだ。その辺は闇魔法も同じなのだが、今の人間の適合が光よりも闇に寄ってしまっている。

それ故に、光魔法は廃れる寸前まで使える人間が減っていたのである。

光魔法が廃れる寸前と言うことは教会自体も影響力が減っていると言う証でもある。徐々に発言力を低下させていくことに、今の上層部は危機感を抱いていた。

そこに、このディバインブレードの顕現とヘブンズゲートの出現。お偉方が慌てないわけがなかった。ここまでの強い光魔法を扱える人間は今存在するはずがなかったからだ。

なので、あれだけの光魔法を使える人間をのどから手が出るほど欲しがった。昔よりも世界に発言力を持つために、その力の根拠としての光魔法だったのだから。

教会の上層部は、急遽司祭一人とシスターたちに見習いを付けて辺境へと旅立たせた。それは、領主とは違い少数で動くことで国の懸念を交わす事にも繋がるのだが、それは別の話。

今は、この二つの光魔法を操る沙更と接触することが一番の任務であると司祭のアレクは上層部から厳命されるという余り嬉しくない状況にさせられてしまった。

(上層部は、この現象を起こした人間を囲い込もうとしてるか…。上手くいくとは思えないが、それでも命令は命令動くとしよう)

数人のシスターと更に見習いのシスター数人であわせて10人ほどの集団だ。兵士たちが中隊で、30人以上動いているのに対して三分の一以下だが、教会は領主と違い独自の情報網を持ち合わせるのだ。

元々は教会と国の権力争いで勝ち抜ける程の力を持っていた。それが、ここ50年で光魔法を操れる人間が減ったことで逆転してしまった。それでも、未だにその当時の権力は残っているだけにかなりデリケートな問題になる。

(なかなかに頭が痛いが、辺境の手前ウエストエンドで孤児院が困窮していると訴えが上がっていた。それの視察も兼ねるとしよう)

アレクは、自分たちがやりたかった仕事も今回の命令に含むことにした。早々に辺境に行くことにされたのだ。やりたいことくらいはやっておかねば割に合わないと思ったのだ。
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