月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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第80話 大森林4

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月の魔女とよばれるまで

第80話 大森林4

白の直刀の話をした後、ミリアの側で沙更は眠った。流石に、ホーリーフィールドを張った状態ではモンスターもこちらに向かってくることも無く、平穏なまま眠ることが出来ていた。

森の中で、モンスターに襲われずにゆっくり眠れると言うのはあり得ない話である。が、それを聖なる結界ホーリーフィールドを張ったことで、可能にしていた。

翌朝、早めに起き出した沙更は、葉野菜と干し肉の塩スープを作る。もうちょっと材料と調味料が欲しいなと思いつつもじっくり煮込む。火自体も沙更が詠唱したファイアーボールの効力を減らした物。綿密な魔力操作で、火加減を調節しつつファイアーボールとは思えないトロ火加減だ。

実際、魔法で料理をする人間はほぼと言って良いほどいない。それだけ魔力に恵まれる人間は今では居なくなってしまったからだ。なので、それが出来る沙更はかなりの物であった。

水も沙更が詠唱した魔法の水である。水分の中にも濃密な魔力を込めてあることで、干し肉にも葉野菜にも効力を及ぼしているのだが、それに気付いては居ない。

パウエルたちが起き上がる頃には、十分に煮込まれたスープが出来上がっていた。硬いパンをおのおの出しつつも食べていく。

作った沙更は、やはりというか作ったスープにもう一手間加えたいと思いつつも現状じゃこれ以上は無理だと分かっているだけに、悔しい思いをしていた。

(いろいろと足りてない。出来る事が限られているからかも知れないけれど、どうしても今じゃこれ以上のことが出来ないから)

それは、どうしても沙更の表情に表れてしまっていた。それだけに、ミリアが気にするのも無理は無かったと言える。

「もう、セーナちゃん顔が怖いよ?スープの出来に思うところがあるんだろうけれど、これはこれで十分おいしいよ?」

「うーん、どうしても納得がいってないんです。おいしいと言ってくれるのは嬉しいんですけど、これ以上のことが出来ないので物足りなさすぎるから」

「それに、気付いてなかったと思うけれど。セーナちゃん、この水は魔力で生み出した物よね?」

「ええ、ここの辺りに水場は無いのでささっと出した物ですけど、まずかったですか?」

ヘレナの指摘に、沙更は頷く。そもそも森の中で、水を手に入れることは基本的には厳しい。湧き水でもあれば別だが、そういうところはここの近くにはなかった。

それ故に、ささっと出してしまったが本音ではあったのだが。

「セーナちゃんの魔力は人より相当濃度が濃いって話はしたと思うの。でね、セーナちゃんの魔力で生み出した水は魔力の補給にもの凄く役に立つの。濃度が濃いのもあって、回復に効果が高いのよ。で、それをスープで飲んでいるでしょ?わたくしもだけど、ミリアも日に日に、魔力量が上がってきてるの。リーダーやガレムも魔法の才はなかったって判定だったけれど、今なら違うんじゃ無いかしら?」

どうやら、才能が無い人にも効力を及ぼすほどの効力をセーナが魔力で出した水は出していたと言う事のようだ。

それを聞いた沙更は驚くしか無い。だって、そうなるなんて思ってもみなかったからだ。
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