月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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領都へ

第86話 ゴブリンとの遭遇6

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月の魔女とよばれるまで

第86話 ゴブリンとの遭遇6

ゴブリンジェネラルとパウエルが大剣と長剣とでやり合う。その間に、もう二体ほどゴブリンジェネラルが現れていた。ゴブリンの巣自体かなり数が増えていることから、ジェネラルクラスですら複数居るらしい。ガレムの側に向かったのは鋼の斧を持ったゴブリンジェネラルだった。

突如現れたゴブリンジェネラルに、ガレムはあまりやる気がなさそうな表情を浮かべた。アイスジャイアント並に燃える相手ではないと一瞬で判断したらしい。そこの辺りは、本能なのだろう。瞬時とは言え、もの凄く正確な判断であった。

そんなガレムの表情に、一匹のゴブリンジェネラルが怒りをあらわにする。侮辱されたと判断したようだ。そんな怒るゴブリンジェネラルに、ガレムは炭素鋼の斧を構える。

「ったく、お前の能力で俺を倒すだあ!?ねえよ!!」

ガレムは、マイティアップが掛かった自身の身体に自分が持つ体力増強中と筋力増強中のスキルを使うと一気にゴブリンジェネラルの間合いに入る。ゴブリンジェネラルが自分が持つ斧で攻撃の構えを取る前に、間合いに入られたことで対応が出来ないまま、ガレムは炭素鋼の斧を己の持つ力の全てを使って、横凪ぎに切り払う。

マイティアップと筋力増強中の相乗効果により、炭素鋼の斧はゴブリンジェネラルが見切れないほどの速度で身体に命中。そのまま、その身体を両断してしまった。

「アイスジャイアントクラスでも持ってこねえ限り、俺が燃えることはねえ。ったく、粋がってんじゃねえぞ!」

そう言い切ると同時に、ゴブリンジェネラルの身体が足と胴体で別れて倒れる。やはり、アイスジャイアントと戦った経験のおかげか、今のガレムはCクラスと言えないほどの身体能力を持つに至っていた。そこに、沙更のマイティアップが掛かっているのだから、ゴブリンジェネラルが雑魚扱いされるのも無理は無い。

マイティアップ自体が冒険者のランクを一つあげる位の効果を誇る強化魔法なだけに、今のガレムはBクラス冒険者上位に食い込むほどの能力を誇っていたのだから。

さらに、もう一体のゴブリンジェネラルはミリアが、戦っているパウエルの邪魔をされないように立ちふさがっているのを気付いて、ミリアに少し曲がった剣、この世界では珍しいサーベルを抜いた。

ミリアはその動作を見つつもまだ白の直刀を抜かない。現段階では、相手の間合いに入っていないのを知っているから抜く必要がないと判断していた。

ゴブリンジェネラルのサーベルが動くが、それでもミリアは動かない。サーベルがミリアを切り裂く間合いに入り、刃が近づいたその時、白の直刀を抜いて打ち合わせた。瞬時の技だったため、ゴブリンジェネラルにはその動きが見えなかった。あっと言う間に、抜いて打ち合わせたのだから。

ガレムもミリアも、アイスジャイアント戦を経験してかなり身体能力などが向上しているようだ。ゴブリンジェネラルの腕力に負けているそぶりはまったくない。しかも、既に白の直刀は鞘に収まっている。

「リーダーの一騎打ちの邪魔はさせないよ」

ミリアの声に、ゴブリンジェネラルはサーベルで威嚇するがそれを気にもしない。その様子に、いきり立ったゴブリンジェネラルがサーベルを頭から切り下ろそうと振りかぶった時、ミリアが一瞬で間合いを詰めて白の直刀で一閃した。白の直刀での抜刀術、まさに神速と呼ぶに相応しい一撃であった。

何が起こったか分からない顔をするゴブリンジェネラル。だが、既にその命は白の直刀により刈り取られていた。少しずつ首と胴が別れていき、そのまま倒れたのだった。
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