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領都へ
第89話 ゴブリンとの遭遇9
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月の魔女とよばれるまで
第89話 ゴブリンとの遭遇9
ゴブリンロードを切ったミリアは、対峙していた沙更に駆け寄る。機嫌を悪くしたかなと思ったのだが、沙更自身はこれ以上戦っても切り札があったわけじゃないことから、ほっとした表情を浮かべていた。
「やっぱり、ミリアお姉さんが助けてくれましたね」
「ごめんね、なんか良いところだけかっさらうみたいな事をしちゃったけど、機嫌悪くしてない?」
「なんで、私が怒ると思ったんですか?別に防戦ならなんとかなると思っただけで、別に切り札があったわけじゃ無いですよ?」
「そっか、あたしが考えすぎただけかな?」
「それにしても、ミリアお姉さん。あれだけの動きが出来るって、相当凄いと思うんですけど?」
「それを言うならセーナちゃんもでしょ?柄に打撃を加えて、突きをそらすなんて相当な高等技なんだからね。いともあっさり決めてたからあたしの方が驚いちゃったよ」
そう言い合う二人。そこの時点で、戦いの空気は既になかった。
実際、ゴブリンロードが倒れた時点で戦えるゴブリンは既に全滅している。おかげで、辺境はしばらくの間の平和を享受することになるのだが、それは別の話。
もし、沙更やミリアが見つけていなければ、ゴブリンキングに進化したロードが辺境全体を支配していてもおかしくは無かった。それを事前に阻止してしまったのは、なにかの導きなのかも知れない。
戦闘が終わって緊張が解けた結果、ヘレナの表情に疲れが出ていた。そこまで、メインで叩いていたわけでは無いがそれでも慣れない集団戦で疲労が出たようだ。
そに、すかさず沙更がヒールで治療をする。治癒魔法での治療を受ければ、ヘレナの表情からあっと言う間に疲労が溜まっていたのが嘘のように消えていく。
それだけ、沙更のヒールの回復量が桁外れという証であった。ただのヒールではないことが、効力だけでも分かろうという物。
「ごめんなさいね、セーナちゃん。いつも以上に疲れたみたいだわ」
「ヘレナさんも慣れない集団での戦いに疲れが出ただけだと思います。それに、ゴブリンロードに狙われた時の恐怖もあったでしょうから、すぐに助けられなくてごめんなさい」
ヘレナに沙更が頭を下げるとヘレナは首を振った。
「謝らなくて良いの。助けて貰ってばかりなのはわたくしの方。セーナちゃんに何も返せていないのに」
「ヘレナさん、生きているだけでも良いとは思いませんか?出来る事が多くは無いのは分かりますけど、私のことで深く考えすぎない方が良いと思います。少なくても、人間を越えてる自覚はありますから」
さらっとそう言える沙更に、ヘレナは敵わないなと思っていた。あれだけ、嫌われることをしたし、意地悪も言ったがそれでも受け入れてくれている。それが器の大きさと分かっていた。
ゴブリンの巣を叩き終えたパウエル達は、巣の広さに唖然とするしか無かった。かなり思っている以上に大きかったためだ。
「まったく、これ本当なら倒し切れてないよな」
「リーダーに同意。セーナちゃんの魔法のおかげと言うべきだと思うよ」
「俺も同じ意見だ。馬鹿だと言われる俺でも気付くレベルだぜ」
「強いて言うのならミリアも十分凄かったと思うわよ?セーナちゃんが凄すぎたのは本当に同意だけども」
四人が四人とも沙更の力なしで、これだけのゴブリンを相手に出来たとは思っていない。そもそも、ゴブリンロードの武器を見れば無傷はあり得ないし、普通に殺されてもおかしくない話だった。
それをひっくり返したのが、沙更であり扱う魔法であったから。
第89話 ゴブリンとの遭遇9
ゴブリンロードを切ったミリアは、対峙していた沙更に駆け寄る。機嫌を悪くしたかなと思ったのだが、沙更自身はこれ以上戦っても切り札があったわけじゃないことから、ほっとした表情を浮かべていた。
「やっぱり、ミリアお姉さんが助けてくれましたね」
「ごめんね、なんか良いところだけかっさらうみたいな事をしちゃったけど、機嫌悪くしてない?」
「なんで、私が怒ると思ったんですか?別に防戦ならなんとかなると思っただけで、別に切り札があったわけじゃ無いですよ?」
「そっか、あたしが考えすぎただけかな?」
「それにしても、ミリアお姉さん。あれだけの動きが出来るって、相当凄いと思うんですけど?」
「それを言うならセーナちゃんもでしょ?柄に打撃を加えて、突きをそらすなんて相当な高等技なんだからね。いともあっさり決めてたからあたしの方が驚いちゃったよ」
そう言い合う二人。そこの時点で、戦いの空気は既になかった。
実際、ゴブリンロードが倒れた時点で戦えるゴブリンは既に全滅している。おかげで、辺境はしばらくの間の平和を享受することになるのだが、それは別の話。
もし、沙更やミリアが見つけていなければ、ゴブリンキングに進化したロードが辺境全体を支配していてもおかしくは無かった。それを事前に阻止してしまったのは、なにかの導きなのかも知れない。
戦闘が終わって緊張が解けた結果、ヘレナの表情に疲れが出ていた。そこまで、メインで叩いていたわけでは無いがそれでも慣れない集団戦で疲労が出たようだ。
そに、すかさず沙更がヒールで治療をする。治癒魔法での治療を受ければ、ヘレナの表情からあっと言う間に疲労が溜まっていたのが嘘のように消えていく。
それだけ、沙更のヒールの回復量が桁外れという証であった。ただのヒールではないことが、効力だけでも分かろうという物。
「ごめんなさいね、セーナちゃん。いつも以上に疲れたみたいだわ」
「ヘレナさんも慣れない集団での戦いに疲れが出ただけだと思います。それに、ゴブリンロードに狙われた時の恐怖もあったでしょうから、すぐに助けられなくてごめんなさい」
ヘレナに沙更が頭を下げるとヘレナは首を振った。
「謝らなくて良いの。助けて貰ってばかりなのはわたくしの方。セーナちゃんに何も返せていないのに」
「ヘレナさん、生きているだけでも良いとは思いませんか?出来る事が多くは無いのは分かりますけど、私のことで深く考えすぎない方が良いと思います。少なくても、人間を越えてる自覚はありますから」
さらっとそう言える沙更に、ヘレナは敵わないなと思っていた。あれだけ、嫌われることをしたし、意地悪も言ったがそれでも受け入れてくれている。それが器の大きさと分かっていた。
ゴブリンの巣を叩き終えたパウエル達は、巣の広さに唖然とするしか無かった。かなり思っている以上に大きかったためだ。
「まったく、これ本当なら倒し切れてないよな」
「リーダーに同意。セーナちゃんの魔法のおかげと言うべきだと思うよ」
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「強いて言うのならミリアも十分凄かったと思うわよ?セーナちゃんが凄すぎたのは本当に同意だけども」
四人が四人とも沙更の力なしで、これだけのゴブリンを相手に出来たとは思っていない。そもそも、ゴブリンロードの武器を見れば無傷はあり得ないし、普通に殺されてもおかしくない話だった。
それをひっくり返したのが、沙更であり扱う魔法であったから。
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