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領都へ
第91話 ゴブリンとの遭遇11
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月の魔女とよばれるまで
第91話 ゴブリンとの遭遇11
沙更とミリアが建屋の中に入っていくと女性が数人と開拓村から逃げた少女が二人ほどいた。少女たちよりも先に囚われていただろう女性達のほうが衰弱が激しいみたいだが、それでも意識は残っているようだった。
「だ、だれ!?」
ここまで足を運ぶ人間はまず居ない。が、それでもゴブリンと違う足音に期待を寄せてしまうのは致し方ないことだと思う。ある意味ここに来た時点で、死が約束されていると言っても過言じゃ無いからだ。
「通りすがりの冒険者です。ゴブリン達は退治しましたから助けに来ました」
「傷ついている方は、先に治療しますから言ってくださいね」
ミリアと沙更の声に、女性達は驚く。こんなところで、子供の声を聞くとは思っていなかったからだ。流石に、衣服がぼろぼろになっているのもあり、気恥ずかしそうにしている人も居た。が、そう言う反応が出来ると言う事はまだ精神が死んでいないことを現れでもあった。
「良かった、みなさんまだ意識もあるみたいですね。でも、治療もさせて貰います」
そう言って、沙更が次々と治療をしていく。古代詠唱でのヒールの効果は、折り紙付きだ。ゴブリン達に殴られたりした跡があっと言う間に消えていく。それだけでも、高位の治療士だと分かろうものだった。
「凄い、あれだけの傷だったのにヒールだけで治ってしまうなんて」
「喉が渇いていたりしませんか?水なら、一杯あります。でも、食事の方はごめんなさい。質素になってしまうんです」
ミリアの言葉に、少女たちが喉が渇いたことを申告してくれる。やはり、余り状況は良くなったらしい。一日か二日経っていたら、死んでしまっていた人も居たかも知れない。傷を癒やそうとするにも薬草が無いし、ゴブリンたちにそんな頭はない。
体調を崩してしまえば、一巻の終わりだ。それだけに、精神も大丈夫なうちに助け出せたのは良いことと言えた。
女性達と少女二人に、魔法治療を施して立ち上がらせる。ゴブリンの巣から町まで送っていかなければならないからだ。ここにとどまることは自殺行為に他ならない。いつ、モンスターに襲われるか分からない上に食料も水もないのだから。
女性達を助けた二人は、パウエル達に合流する。そして、ゴブリンの巣を下に見下ろせる場所までやってくるとおもむろに沙更がホワイトフレイムを唱える。粗末な木造の建屋が燃えていくのを皮切りに次々と青白い炎が近くの物から燃やしていく。
建屋ごと焼いたことで、その炎が他の建屋にも燃え広がる。が、森は焼かない。沙更がホワイトフレイムの範囲を魔力制御で操っているからだ。本来延焼するものまで、影響下に置くことはまずもって無理に等しい。だが、ホワイトフレイムに関しては遺失魔法であり、沙更のイメージで復活したものの為、本人が持つイメージが優先されるようだ。
そのため、森は焼かずにゴブリンの巣だけ綺麗に焼け落ちていく。その火が消えるまで、沙更は魔力を放出しつつ制御していく。この時点で並の魔法士では、魔力切れで倒れてしまうだろう。それでも、沙更の魔力は余裕で持つ。途方も無い魔力とそれを回復する手段を持ち合わせているから。
広大な土地が焼け落ちていく。ゴブリンの巣だった場所がホワイトフレイムで焼かれて、更地になっていくのを見て女性達は涙を流していた。もう、ここに自分たちを傷つけたゴブリン達はもう居ないのだと理解することが出来たから。もう、ここに来ることは無いのだと視覚的に理解させられたからとも言うがそれでも、前を向く一歩になったのは確かだった。
第91話 ゴブリンとの遭遇11
沙更とミリアが建屋の中に入っていくと女性が数人と開拓村から逃げた少女が二人ほどいた。少女たちよりも先に囚われていただろう女性達のほうが衰弱が激しいみたいだが、それでも意識は残っているようだった。
「だ、だれ!?」
ここまで足を運ぶ人間はまず居ない。が、それでもゴブリンと違う足音に期待を寄せてしまうのは致し方ないことだと思う。ある意味ここに来た時点で、死が約束されていると言っても過言じゃ無いからだ。
「通りすがりの冒険者です。ゴブリン達は退治しましたから助けに来ました」
「傷ついている方は、先に治療しますから言ってくださいね」
ミリアと沙更の声に、女性達は驚く。こんなところで、子供の声を聞くとは思っていなかったからだ。流石に、衣服がぼろぼろになっているのもあり、気恥ずかしそうにしている人も居た。が、そう言う反応が出来ると言う事はまだ精神が死んでいないことを現れでもあった。
「良かった、みなさんまだ意識もあるみたいですね。でも、治療もさせて貰います」
そう言って、沙更が次々と治療をしていく。古代詠唱でのヒールの効果は、折り紙付きだ。ゴブリン達に殴られたりした跡があっと言う間に消えていく。それだけでも、高位の治療士だと分かろうものだった。
「凄い、あれだけの傷だったのにヒールだけで治ってしまうなんて」
「喉が渇いていたりしませんか?水なら、一杯あります。でも、食事の方はごめんなさい。質素になってしまうんです」
ミリアの言葉に、少女たちが喉が渇いたことを申告してくれる。やはり、余り状況は良くなったらしい。一日か二日経っていたら、死んでしまっていた人も居たかも知れない。傷を癒やそうとするにも薬草が無いし、ゴブリンたちにそんな頭はない。
体調を崩してしまえば、一巻の終わりだ。それだけに、精神も大丈夫なうちに助け出せたのは良いことと言えた。
女性達と少女二人に、魔法治療を施して立ち上がらせる。ゴブリンの巣から町まで送っていかなければならないからだ。ここにとどまることは自殺行為に他ならない。いつ、モンスターに襲われるか分からない上に食料も水もないのだから。
女性達を助けた二人は、パウエル達に合流する。そして、ゴブリンの巣を下に見下ろせる場所までやってくるとおもむろに沙更がホワイトフレイムを唱える。粗末な木造の建屋が燃えていくのを皮切りに次々と青白い炎が近くの物から燃やしていく。
建屋ごと焼いたことで、その炎が他の建屋にも燃え広がる。が、森は焼かない。沙更がホワイトフレイムの範囲を魔力制御で操っているからだ。本来延焼するものまで、影響下に置くことはまずもって無理に等しい。だが、ホワイトフレイムに関しては遺失魔法であり、沙更のイメージで復活したものの為、本人が持つイメージが優先されるようだ。
そのため、森は焼かずにゴブリンの巣だけ綺麗に焼け落ちていく。その火が消えるまで、沙更は魔力を放出しつつ制御していく。この時点で並の魔法士では、魔力切れで倒れてしまうだろう。それでも、沙更の魔力は余裕で持つ。途方も無い魔力とそれを回復する手段を持ち合わせているから。
広大な土地が焼け落ちていく。ゴブリンの巣だった場所がホワイトフレイムで焼かれて、更地になっていくのを見て女性達は涙を流していた。もう、ここに自分たちを傷つけたゴブリン達はもう居ないのだと理解することが出来たから。もう、ここに来ることは無いのだと視覚的に理解させられたからとも言うがそれでも、前を向く一歩になったのは確かだった。
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