月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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第100話 盗賊との遭遇 1

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月の魔女とよばれるまで

第100話 盗賊との遭遇 1

探査魔法で、人を感知した沙更はパウエルやミリアに話したことをヘレナやガレムにも伝える。これからを考えれば、情報を共有しておきたかった。相手は盗賊、罠などを仕掛けていてもおかしくはない。

沙更がいる事で油断しては話にもならない。遭遇するのを前提で考えておく必要があった。でなければ、ゴブリンの巣から助け出した意味を失ってしまう。ゴブリンが盗賊に変わるだけなのだから。

前までならばかなりの無茶をする必要があったし、こちらが怪我をする可能性がかなりあった。が、古代遺跡での経験が荒野の狼のメンバーにしてかなりの経験をもたらしたのは確かだった。

武器も防具も何もかもが、古代遺跡に行く前と行った後では落差が大きすぎた。鉄製装備と魔鉄や炭素鋼の装備などに変わったこともある。それ以上に、変化したのはミリアの白の直刀。

異世界の剣術をミリアに教えるその剣は、他の剣に比べて途方も無く特殊な代物。盗賊たちが魔鉄の武器を持っていたとしても白の直刀に頑丈さで勝つことは叶わないだろう。

盗賊たちが数で押したとして、沙更が居る状態では多分相手に勝ち目が見えない。沙更を抑えるか、ヘレナを捕らえるかしないかぎりにはと言う注釈は付くが。

そのまま、大森林をウエストエンドへ向けて移動を続けていると森と街道との間の地点を通り過ぎる。ここまで来れば、ウエストエンドまでは普通に歩いても二日かかるかどうか。

そこまで近づいてきた時、沙更の探査魔法に大人数がこちらに向かってくるのが確認できた。盗賊たちがこちらに気付いたようだ。数は最低20、多ければ50と言ったところだろう。

地の利は、盗賊たちにある。が、沙更の探査魔法が相手の動きをこちらに教えてくれる為、そこまで不利にはなっていなかった。

三キロ手前から、敵の動きが丸裸ではこちらが対処する時間は十分に稼げる。三キロを相手が近づくまでの時間<対処する時間なのだから。

「パウエルさん、盗賊たちがこちらに気付いたようです。集団でこちらに向かってきます」

「ヘレナとミリアは、女性達を退かせてくれ。俺とガレムは仕掛ける。セーナちゃんも退いて欲しい」

「パウエルさん、私も一緒に行きます。マイティアップは必要でしょうし、遠距離援護があったほうが盗賊たちに対処しやすいと思います」

沙更の言葉に、パウエルは少し考えたが頷くしか無かった。本当ならば、人を殺す場に沙更を連れて行きたくは無かった。が、今の状態では沙更の助力が確実に必要になる。魔法士一人居ると居ないとでは、戦術にかなりの差が出来てしまうからだ。

そして、沙更の魔法はこの世界の魔法士を遙かに超えた物。だからこそ、援護してくれるのは非常に心強かった。
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