110 / 365
領都へ
第100話 盗賊との遭遇 1
しおりを挟む
月の魔女とよばれるまで
第100話 盗賊との遭遇 1
探査魔法で、人を感知した沙更はパウエルやミリアに話したことをヘレナやガレムにも伝える。これからを考えれば、情報を共有しておきたかった。相手は盗賊、罠などを仕掛けていてもおかしくはない。
沙更がいる事で油断しては話にもならない。遭遇するのを前提で考えておく必要があった。でなければ、ゴブリンの巣から助け出した意味を失ってしまう。ゴブリンが盗賊に変わるだけなのだから。
前までならばかなりの無茶をする必要があったし、こちらが怪我をする可能性がかなりあった。が、古代遺跡での経験が荒野の狼のメンバーにしてかなりの経験をもたらしたのは確かだった。
武器も防具も何もかもが、古代遺跡に行く前と行った後では落差が大きすぎた。鉄製装備と魔鉄や炭素鋼の装備などに変わったこともある。それ以上に、変化したのはミリアの白の直刀。
異世界の剣術をミリアに教えるその剣は、他の剣に比べて途方も無く特殊な代物。盗賊たちが魔鉄の武器を持っていたとしても白の直刀に頑丈さで勝つことは叶わないだろう。
盗賊たちが数で押したとして、沙更が居る状態では多分相手に勝ち目が見えない。沙更を抑えるか、ヘレナを捕らえるかしないかぎりにはと言う注釈は付くが。
そのまま、大森林をウエストエンドへ向けて移動を続けていると森と街道との間の地点を通り過ぎる。ここまで来れば、ウエストエンドまでは普通に歩いても二日かかるかどうか。
そこまで近づいてきた時、沙更の探査魔法に大人数がこちらに向かってくるのが確認できた。盗賊たちがこちらに気付いたようだ。数は最低20、多ければ50と言ったところだろう。
地の利は、盗賊たちにある。が、沙更の探査魔法が相手の動きをこちらに教えてくれる為、そこまで不利にはなっていなかった。
三キロ手前から、敵の動きが丸裸ではこちらが対処する時間は十分に稼げる。三キロを相手が近づくまでの時間<対処する時間なのだから。
「パウエルさん、盗賊たちがこちらに気付いたようです。集団でこちらに向かってきます」
「ヘレナとミリアは、女性達を退かせてくれ。俺とガレムは仕掛ける。セーナちゃんも退いて欲しい」
「パウエルさん、私も一緒に行きます。マイティアップは必要でしょうし、遠距離援護があったほうが盗賊たちに対処しやすいと思います」
沙更の言葉に、パウエルは少し考えたが頷くしか無かった。本当ならば、人を殺す場に沙更を連れて行きたくは無かった。が、今の状態では沙更の助力が確実に必要になる。魔法士一人居ると居ないとでは、戦術にかなりの差が出来てしまうからだ。
そして、沙更の魔法はこの世界の魔法士を遙かに超えた物。だからこそ、援護してくれるのは非常に心強かった。
第100話 盗賊との遭遇 1
探査魔法で、人を感知した沙更はパウエルやミリアに話したことをヘレナやガレムにも伝える。これからを考えれば、情報を共有しておきたかった。相手は盗賊、罠などを仕掛けていてもおかしくはない。
沙更がいる事で油断しては話にもならない。遭遇するのを前提で考えておく必要があった。でなければ、ゴブリンの巣から助け出した意味を失ってしまう。ゴブリンが盗賊に変わるだけなのだから。
前までならばかなりの無茶をする必要があったし、こちらが怪我をする可能性がかなりあった。が、古代遺跡での経験が荒野の狼のメンバーにしてかなりの経験をもたらしたのは確かだった。
武器も防具も何もかもが、古代遺跡に行く前と行った後では落差が大きすぎた。鉄製装備と魔鉄や炭素鋼の装備などに変わったこともある。それ以上に、変化したのはミリアの白の直刀。
異世界の剣術をミリアに教えるその剣は、他の剣に比べて途方も無く特殊な代物。盗賊たちが魔鉄の武器を持っていたとしても白の直刀に頑丈さで勝つことは叶わないだろう。
盗賊たちが数で押したとして、沙更が居る状態では多分相手に勝ち目が見えない。沙更を抑えるか、ヘレナを捕らえるかしないかぎりにはと言う注釈は付くが。
そのまま、大森林をウエストエンドへ向けて移動を続けていると森と街道との間の地点を通り過ぎる。ここまで来れば、ウエストエンドまでは普通に歩いても二日かかるかどうか。
そこまで近づいてきた時、沙更の探査魔法に大人数がこちらに向かってくるのが確認できた。盗賊たちがこちらに気付いたようだ。数は最低20、多ければ50と言ったところだろう。
地の利は、盗賊たちにある。が、沙更の探査魔法が相手の動きをこちらに教えてくれる為、そこまで不利にはなっていなかった。
三キロ手前から、敵の動きが丸裸ではこちらが対処する時間は十分に稼げる。三キロを相手が近づくまでの時間<対処する時間なのだから。
「パウエルさん、盗賊たちがこちらに気付いたようです。集団でこちらに向かってきます」
「ヘレナとミリアは、女性達を退かせてくれ。俺とガレムは仕掛ける。セーナちゃんも退いて欲しい」
「パウエルさん、私も一緒に行きます。マイティアップは必要でしょうし、遠距離援護があったほうが盗賊たちに対処しやすいと思います」
沙更の言葉に、パウエルは少し考えたが頷くしか無かった。本当ならば、人を殺す場に沙更を連れて行きたくは無かった。が、今の状態では沙更の助力が確実に必要になる。魔法士一人居ると居ないとでは、戦術にかなりの差が出来てしまうからだ。
そして、沙更の魔法はこの世界の魔法士を遙かに超えた物。だからこそ、援護してくれるのは非常に心強かった。
0
あなたにおすすめの小説
竜皇女と呼ばれた娘
Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた
ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる
その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ
国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……
死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話
みっしー
恋愛
病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。
*番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行「婚約破棄ですか? それなら昨日成立しましたよ、ご存知ありませんでしたか?」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
「アリシア・フィルタ貴様との婚約を破棄する!」
イエーガー公爵家の令息レイモンド様が言い放った。レイモンド様の腕には男爵家の令嬢ミランダ様がいた。ミランダ様はピンクのふわふわした髪に赤い大きな瞳、小柄な体躯で庇護欲をそそる美少女。
対する私は銀色の髪に紫の瞳、表情が表に出にくく能面姫と呼ばれています。
レイモンド様がミランダ様に惹かれても仕方ありませんね……ですが。
「貴様は俺が心優しく美しいミランダに好意を抱いたことに嫉妬し、ミランダの教科書を破いたり、階段から突き落とすなどの狼藉を……」
「あの、ちょっとよろしいですか?」
「なんだ!」
レイモンド様が眉間にしわを寄せ私を睨む。
「婚約破棄ですか? 婚約破棄なら昨日成立しましたが、ご存知ありませんでしたか?」
私の言葉にレイモンド様とミランダ様は顔を見合わせ絶句した。
全31話、約43,000文字、完結済み。
他サイトにもアップしています。
小説家になろう、日間ランキング異世界恋愛2位!総合2位!
pixivウィークリーランキング2位に入った作品です。
アルファポリス、恋愛2位、総合2位、HOTランキング2位に入った作品です。
2021/10/23アルファポリス完結ランキング4位に入ってました。ありがとうございます。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
この野菜は悪役令嬢がつくりました!
真鳥カノ
ファンタジー
幼い頃から聖女候補として育った公爵令嬢レティシアは、婚約者である王子から突然、婚約破棄を宣言される。
花や植物に『恵み』を与えるはずの聖女なのに、何故か花を枯らしてしまったレティシアは「偽聖女」とまで呼ばれ、どん底に落ちる。
だけどレティシアの力には秘密があって……?
せっかくだからのんびり花や野菜でも育てようとするレティシアは、どこでもやらかす……!
レティシアの力を巡って動き出す陰謀……?
色々起こっているけれど、私は今日も野菜を作ったり食べたり忙しい!
毎日2〜3回更新予定
だいたい6時30分、昼12時頃、18時頃のどこかで更新します!
【完結】メルティは諦めない~立派なレディになったなら
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
レドゼンツ伯爵家の次女メルティは、水面に映る未来を見る(予言)事ができた。ある日、父親が事故に遭う事を知りそれを止めた事によって、聖女となり第二王子と婚約する事になるが、なぜか姉であるクラリサがそれらを手にする事に――。51話で完結です。
そんな未来はお断り! ~未来が見える少女サブリナはこつこつ暗躍で成り上がる~
みねバイヤーン
ファンタジー
孤児の少女サブリナは、夢の中で色んな未来を見た。王子に溺愛される「ヒロイン」、逆ハーレムで嫉妬を買う「ヒドイン」、追放され惨めに生きる「悪役令嬢」。──だけど、どれもサブリナの望む未来ではなかった。「あんな未来は、イヤ、お断りよ!」望む未来を手に入れるため、サブリナは未来視を武器に孤児院の仲間を救い、没落貴族を復興し、王宮の陰謀までひっくり返す。すると、王子や貴族令嬢、国中の要人たちが次々と彼女に惹かれる事態に。「さすがにこの未来は予想外だったわ……」運命を塗り替えて、新しい未来を楽しむ異世界改革奮闘記。
聖女だと呼び出しておいて無能ですか?〜捨てられた私は魔王様に溺愛される〜
みおな
恋愛
学校帰りにいきなり眩い光に包まれて連れて来られたのは異世界でした。
王子はこんなちんちくりんは聖女ではないと言い放ち、私を王宮から追い出しました。
元の世界に帰る方法は、魔王の持つ帰還の指輪が必要と言われ、途方にくれた私の前に現れたのは、美形の魔王でした。
初恋が綺麗に終わらない
わらびもち
恋愛
婚約者のエーミールにいつも放置され、蔑ろにされるベロニカ。
そんな彼の態度にウンザリし、婚約を破棄しようと行動をおこす。
今後、一度でもエーミールがベロニカ以外の女を優先することがあれば即座に婚約は破棄。
そういった契約を両家で交わすも、馬鹿なエーミールはよりにもよって夜会でやらかす。
もう呆れるしかないベロニカ。そしてそんな彼女に手を差し伸べた意外な人物。
ベロニカはこの人物に、人生で初の恋に落ちる…………。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる