月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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領都へ

第110話 古びた砦で4

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月の魔女とよばれるまで

第110話 古びた砦で4

古びた砦の中を奥へと進む。通路の奥までたどり着いた5人は、先に沙更の補助魔法を使っておくことにした。ウィンドウォーク、マイティアップの二つだ。その二つだけで、全然身体の感じが変わってくるのだから欠かせないと言った方が正しいかもしれない。

二つの魔法が沙更を含めて、5人に行き渡ると通路の奥にあった鋼鉄の扉を開ける。

その時になって、盗賊の頭は今開けている扉に侵入者がいることに気付いた。

(この俺様の気配察知でも感知しにくいやつらが居るだと!?けっ、なかなか面白えじゃねえか)

このところ、Dランク冒険者以下の奴らしか相手してきていなかった為、強者に飢えていた。そういう点では、ガレムと似たバトルジャンキーなのだろう。

扉が開くと同時に、盗賊の頭は魔鉄の斧を持ってパウエル達に襲いかかった。それを迎え撃つのはガレムだった。瞬時に筋力増強中のスキルを使い、使い慣れた炭素鋼の斧に全力を込める。

「魔鉄の斧かよ!?まあ、こいつで相手をしてやるぜ!!」

上段から振り下ろされる魔鉄の斧に、中段からガレムの全力で振り切った炭素鋼の斧のフルスイングがぶつかり合う。甲高い音を出し、弾かれる両者。

だが、使っている武器に異変が起きる。ガレムが使っている炭素鋼の斧に盗賊の頭の魔鉄の斧が負けたのだ。鋼の斧で魔鉄の斧にひびを入れると言うことは、それだけの力をガレムが込めていたと言う証だ。

その一撃を見た他の盗賊たちは、ガレム達を見て青ざめていた。鋼の斧で魔鉄の斧にひびを入れられる力量を持つ冒険者などそうは居ないからだ。

「嘘だろ!?頭の魔鉄の斧にひびをいれやがった」

「そんな力量を持つ冒険者を相手にしなきゃいけないのか!?」

盗賊たちは、あまりの腕に恐れおののく。そんな盗賊たちにミリアとパウエルが近づく。

そんな中、盗賊の頭は使ってきた魔鉄の斧にひびが入ったことに驚愕の表情を浮かべる。

「俺の魔鉄の斧にひびを入れただと!?」

「こいつはひと味違うんだよ。普通の鋼の斧だと思った時点で、勝負はついちまってるんだ」

「俺が負ける!?いや、お前の命をもらい受ける!!」

ガレムの言葉に、盗賊の頭はそう言うと再度上段から魔鉄の斧を振り下ろす。が、それを迎え撃たず、ガレムはその攻撃を回避する。避けた動作を身体の動きとして取り入れて、素早く下段から盗賊の頭の身体に炭素鋼の斧を叩き込む。

一撃で半身を断ち割られ、血をまき散らしながら、絶命する盗賊の頭。


盗賊たちは、ミリア達に短剣をもって襲いかかる。が、その動きに対応したミリアは白の直刀を閃かせる。瞬時に抜きを放ち、一人の盗賊の武器を持った片腕を切り飛ばす。瞬速の斬撃に、盗賊たちはその刃が閃いたのすら気付いていなかった。

盗賊の腕から血が噴き出す。腕を切られた痛みで、切られた盗賊が声を上げる。

「お、俺の腕が!!痛え、痛えええ!!!」

悲鳴を上げ始めた盗賊の姿に、他の二人がひるむ。ひるんだ隙に、ヘレナの魔鉄のメイスが二人に襲いかかり、頭を強打され倒れる盗賊二人。

結局、盗賊55人の内助かったのはミリアが片腕を切った人間だけだった。
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