月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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領都へ

第117話 クルシスに向けて1

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月の魔女とよばれるまで

第117話 クルシスに向けて1

リエットと村長の娘さんが助けた女性達の輪に加わった次の日、土レンガの家で眠った二人は出会った時よりも血色が戻ってきていた。

夕ご飯にはいつもの干し肉と葉野菜のスープに硬いパンだったのだが、それでも盗賊たちが用意するご飯よりはおいしかったらしく、スープのおかわりをしていた。

「やはり盗賊たちは男所帯ですから、料理とかしないのかもしれませんね」

「食事と睡眠がボロボロだと辛いよね。こっちはセーナちゃんと言う料理人がいるからまだ良いよ。野外で温かいご飯食べられるだけ贅沢なんだから」

ミリアに言わせるとそう言う話になってしまうらしい。沙更が虚空庫を持っていることで、新鮮な葉野菜だけは切らすことは無い。だが、人数が増えたことで消費が激しい。せめてもの救いは助けたのが女性と言う事だろう。男性が混ざっていたら食事の量がかなり増えて、厳しいことになったのは言うまでも無い。

なんだかんだで、盗賊たちの頭が使っていた魔鉄の斧も回収してきてしまった。他にも盗賊たちが使っていた武器を回収させて貰っている。折れた武器とかは後で、虚空庫の中で溶かして鉄のインゴットにしてしまっても良いかなとは思っていたりした。

大分売る物があるので、多分お金に困ることは無いと思われた。クエストの収入も加味すれば大分お金に余裕が出来る。盗賊たちの財宝は、今は使わないことでパーティー内部で決定されていた。

あれだけのお金だ、使えば欲も生まれる。それに、いきなり降って湧いたお金だけにきちんと使う時に使うことで全員一致したのだ。

「魔鉄の剣にして貰った俺が下手に出費できるわけが無いだろう」

「俺も炭素鋼だっけか?この斧があるから武器は良いな。防具くらいか?」

「わたくしも魔鉄のメイスにして貰ったばかりですし、服も作って貰ったから大丈夫ですわ」

「そういう点で言うとあたしも白の直刀と幻影の衣を貰ってるから防具も武器もいらないんだよねえ。使いそうなのリーダーとヘレナの盾くらいじゃない?」

使い道すら既に決まっているとなれば、次の町クルシスで買い物をすることも無い。実際クルシスで魔鉄以上の素材の防具など売っているわけもなかった。高級すぎて、手を出せる冒険者がいないからだ。

エンシェントゲートもクルシスも初心の冒険者ばかりを抱えている町である。ベテランになれば、ウエストエンドに行ってしまう為に盗賊退治も遅れたのは適正の冒険者がいなかったからに尽きる。

だからと言うか、クルシスで盗賊退治の報告をせずにウエストエンドでする予定であった。ゴブリンロードの事もそうだが、ランクが高いクエストになってしまうためクルシスの冒険者ギルドで対処できるとは思えなかったからだ。

その判断は後で正しかった事を知ることになるのだがそれは後の話。

リエットと村長の娘も一行に加えて、沙更たちは大森林を歩き出す。クルシスまでは、普通に歩けば丸一日かかる。が、沙更のウィンドウォークの効果で日が高い内に到着できる見込みであった。
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