月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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領都へ

第118話 クルシスに向けて2

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月の魔女とよばれるまで

第118話 クルシスに向けて2

全員朝食を終えたところで、ウィンドウォークにより加速して移動を開始する。が、その光景にリエットは目を見張った。それもそのはず、十人以上を越える人間に加速魔法をかけてけろっとしているあたり、普通の魔法士に出来る芸当では無かったからだ。

「あの、これだけの魔法を皆さんにかけて大丈夫なのですか?」

「えっと、リエットさん。私の魔力量はそう言う意味でも桁が外れていますから、お気になさらずとも大丈夫です」

やんわりと沙更は、魔力量のことを伝えるとリエットはさらに目を丸くした。普通、これだけの事が出来る魔法士がいるのなら既に有名になっていると言うのが普通であった。

だが、沙更はそれに該当しない。最初からそれだけの力量を持っていることを証明してしまっている形なのだ。ある程度冒険者を見慣れているだろうリエットでこれとなれば、他の貴族達には異質な物に映るのだろうと思う。

そのまま歩き出すが、その加速魔法自体が途方も無い代物だとリエットは気付いていなかった。動き出すと同時に風が身体を後押しし、前に進むのが楽になっているのを感じる。足と土の間に空気のクッションを挟み込んだ感じで、硬い土を踏んでいる感覚すらない。

(これは、途轍もない魔法です。これだけの加速魔法を小さい治癒士様一人で唱えられて維持なされるなんて、高名な魔法士様でも難しい話なのに、それを簡単にやってのけてしまうのですね)

実感してしまうとやはり途轍もないと思ってしまう。そんなことをやってしまう子に、助けられたのだと思うと運が良かったと思ってしまうリエットだった。

リエットの表情から、そう言う感情を感じ取っているミリアとしては苦笑を浮かべていた。

(セーナちゃんじゃなければ助けることすら出来なかったはず。人間の精神を癒やすことが出来る魔法なんて、どれだけ高度な魔法センスが必要になるのか、あたしにはさっぱり分からないけれどそれでも大変だってことくらいはわかるんだからね)

そんなこんなで、歩き続ける事数時間。お昼に差し掛かったところで、大森林を抜けて街道に出ることが出来た。ここまで来れば、クルシスまでは後一時間もかからない。それに、滅多なことではモンスターに会うこともないので沙更の負担が減ることにも繋がってくるのだ。

索敵魔法を使いつつ、ウィンドウォークを使い続けてきたことで゙ダブルスペルどころか、トリプルスペルすら覚えてしまっていた。そんな状態になっていることに気付いているのは、荒野の狼の面々くらいだろう。

街道に出たところで、休憩を取る。数時間歩き通しなので、冒険者じゃ無い人にはかなりの運動になってしまう為だった。で、いきなりそんな運動をすれば使っていない筋肉を使うために疲労が激しくなってしまう。

それを換算に入れての休憩だ。じゃなければ、これだけの速度で歩き通すことなど出来ないし、無茶と言っても良かったくらいなのだから。
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