月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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領都へ

第119話 クルシスに向けて3

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月の魔女とよばれるまで

第119話 クルシスに向けて3




休憩を挟みつつ、女性たちの体力を考えつつ動く。ウィンドウォークの効力のおかげで、大分時間は稼げていたから休憩が取れると言って良い。

基本的に、女性たちと一緒に動くのはクルシスまでとパウエルたちは決めていた。ウエストエンドまでだと、冒険者ギルドのクエスト報告に間に合わない可能があったからだ。

それに、ゴブリンに捕まっていたことを考えるとエンシェントゲート周辺よりもクルシス側の方が、女性たちの精神的に負担が少ないだろうと踏んだからでもあった。

エンシェントゲートでも人口二千人行くか行かないかだ。開拓村ならば、大体の村人は顔見知りというのが一般的だけに、そういうことがあったと知られたら広がるのはあっと言う間だ。

そういう意味でも住みづらい土地でもあった。特に、襲われた女性は尚更と言って良い。村の中で襲われないとも限らないからだ。

なので、平和に生きていくには見知らぬ土地の方が気が楽であったし、干渉を受ける機会も減る。

エンシェントゲートとクルシスでは人口は二倍以上違う為、知らない人間が居たとしてもそこまで干渉されない。干渉されるされないは、死活問題になりかねない。

中世の世界で、しかも衰退している中で女性の扱いが良いかと言えば首をかしげるしか無い。

そう考えれば、少しでも良い場所で暮らして欲しいが沙更の本音であった。

「女の人に厳しい世界でしょうから、少しでも暮らしやすい場所で暮らして欲しいと思います」

「状態も良いとは言えないから、セーナちゃんのことだから対処策は一杯ありそうだけど聞かないでおくね」

沙更のつぶやきに、ミリアがそう言って返す。異世界の知識を持ち合わせる沙更に取って、このくらいの問題ならばどうにか出来なくは無い。

しかし、それは大いに目立つことになるのでやらないが本音だった。魔法とかならば、自分の力として認識される上にそれだけの力があるから手出しするなとなることもある。

が、知恵となると欲しがる人間が一気に膨れあがる可能性を秘めていた。さらに、王族あたりが動き出すと面倒この上ない。

国全体を良くしたいと思っていたりするわけもなく、利用されるだけになるだろうと考えていたからだ。出世の道具辺りならまだましで、知恵さえ手に入れれば命を狙われたりすることも考えられた。

基本的に、人間は欲深い者であると言うのが沙更の頭にこびりついている。例外も居るのは承知しているが、それでもそのことは頭の隅に常に置かれていた。

そんなことを二人で話しているとはつゆ知らない女性達。別段恩に着せる気もないので、そのままで良いと沙更は思う。特に開拓村出身の三人については、クルシスならばなんとか暮らしていけるだろうと考えていた。

少なくとも破壊された開拓村に居るよりは、生活水準が上がるだろうと踏んでいたからだった。
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