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領都へ
第122話 クルシス3
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月の魔女とよばれるまで
第122話 クルシス3
助けた女性達と別れて、クルシスの市場に向けて動く。やはり、ある程度大きい町ともなると市場の規模もエンシェントゲートに比べても大きかった。
この付近で取れた麦や小麦、芋や野菜など夕方近いとは言えまだまだ豊富に並んでいた。
「これだけの量が夕暮れ前なのに、あると言うのは供給量が豊富なんでしょうね」
「こうやって、穀物や野菜が豊富なのはクルシスくらい。ウエストエンドだとこの時間になったら売り切れてると思って良いよ。エンシェントゲートもそうだけど、クルシスも供給量が多いから残りやすいみたい」
市場の状況をミリアがそう解説してくれる。新鮮な野菜をウエストエンドに運べればそれだけで商機がありそうではあるが、現状でそれを出来るだけの力を持つ人間はいない。
が、それを出来るとすれば沙更だけだろう、虚空庫を持つのだから。
ある程度換金していることもあって、今の荒野の狼は資金はそれなりにある。武器防具は沙更のおかげで、ランクアップしていたことで下手に買わなくても良くなっているのも大きい。
「うーん、パウエルさんたちは何を食べたいですか?」
エンシェントゲートの時には卵と鶏肉を買い足した。ある程度、食材は買って置いても損は無いだけに沙更としてはめぼしい物は確保しておくつもりでいたのだ。
「セーナちゃんの料理におんぶにだっこだからなあ、俺たちが注文しても良いのかどうか…」
「あたしもそれは思うかな。セーナちゃんの料理の腕が良いから、旅の空なのに良い物食べさせて貰ってるけど負担になっていたりしない?」
ある程度気になってはいたと言うか気にならないわけが無かった。だけど、その言葉に沙更は首を振る。
「私の料理を振る舞って喜んで貰えるのなら、それに越したことはありませんから気にしないでも大丈夫です。それに、腕を振るわないと料理の腕がなまりそうで」
料理人は料理を作ってナンボと沙更は思うだけに、ある程度制限がありすぎる中でも腕を振るうことを止めようとはしない。やはり、白いお米が欲しいなあと思ってしまうのは元日本人の性と呼ぶべきかもしれなかった。
「セーナちゃんの料理の腕は凄いから、早々簡単になまらないと思う」
「それについては俺も同感だぜ。あの少ない材料から良くあれだけのスープを作れるよな」
「何というか塩だけじゃない、深い味わいなのよね」
沙更が作る塩スープを飲んでいる四人としてみれば、下手な塩スープでは満足できなくなってしまっていた。舌が奢ってしまっていると言うべきなのかも知れない。
おいしい物を知ってしまうと前に戻れないと言うことでもある。
今回、卵、鶏肉、葉野菜に根菜、豆なども購入して前よりも素材の量はぐっと増した。しかも、沙更の魔力鑑定で良品を買っていった為、質も申し分ない。
「ある程度買いだめしておいても良かったかも知れません」
「食材にこれだけお金をかけられるのもうちらとしても初めてかもね。いつも、こんなに食事に気を遣ってないから」
冒険者として、食事に力を入れられるようになるのはベテランになったことを示すバロメーターだ。それまでは、お金とのやりくりでそこまで食事にお金をかけられない。
武器や防具はかなり値が張るため、節約しなくてはいけなかったり、大切に使わないと買い直しもなかなか難しかったりする物だからだ。
しかも、冒険者たちで自炊しているパーティーはそこまで多くは無い。ある程度定住出来る町を探して、見つかればそこの町の食堂に入り浸ったりするのがいつものことであった。
第122話 クルシス3
助けた女性達と別れて、クルシスの市場に向けて動く。やはり、ある程度大きい町ともなると市場の規模もエンシェントゲートに比べても大きかった。
この付近で取れた麦や小麦、芋や野菜など夕方近いとは言えまだまだ豊富に並んでいた。
「これだけの量が夕暮れ前なのに、あると言うのは供給量が豊富なんでしょうね」
「こうやって、穀物や野菜が豊富なのはクルシスくらい。ウエストエンドだとこの時間になったら売り切れてると思って良いよ。エンシェントゲートもそうだけど、クルシスも供給量が多いから残りやすいみたい」
市場の状況をミリアがそう解説してくれる。新鮮な野菜をウエストエンドに運べればそれだけで商機がありそうではあるが、現状でそれを出来るだけの力を持つ人間はいない。
が、それを出来るとすれば沙更だけだろう、虚空庫を持つのだから。
ある程度換金していることもあって、今の荒野の狼は資金はそれなりにある。武器防具は沙更のおかげで、ランクアップしていたことで下手に買わなくても良くなっているのも大きい。
「うーん、パウエルさんたちは何を食べたいですか?」
エンシェントゲートの時には卵と鶏肉を買い足した。ある程度、食材は買って置いても損は無いだけに沙更としてはめぼしい物は確保しておくつもりでいたのだ。
「セーナちゃんの料理におんぶにだっこだからなあ、俺たちが注文しても良いのかどうか…」
「あたしもそれは思うかな。セーナちゃんの料理の腕が良いから、旅の空なのに良い物食べさせて貰ってるけど負担になっていたりしない?」
ある程度気になってはいたと言うか気にならないわけが無かった。だけど、その言葉に沙更は首を振る。
「私の料理を振る舞って喜んで貰えるのなら、それに越したことはありませんから気にしないでも大丈夫です。それに、腕を振るわないと料理の腕がなまりそうで」
料理人は料理を作ってナンボと沙更は思うだけに、ある程度制限がありすぎる中でも腕を振るうことを止めようとはしない。やはり、白いお米が欲しいなあと思ってしまうのは元日本人の性と呼ぶべきかもしれなかった。
「セーナちゃんの料理の腕は凄いから、早々簡単になまらないと思う」
「それについては俺も同感だぜ。あの少ない材料から良くあれだけのスープを作れるよな」
「何というか塩だけじゃない、深い味わいなのよね」
沙更が作る塩スープを飲んでいる四人としてみれば、下手な塩スープでは満足できなくなってしまっていた。舌が奢ってしまっていると言うべきなのかも知れない。
おいしい物を知ってしまうと前に戻れないと言うことでもある。
今回、卵、鶏肉、葉野菜に根菜、豆なども購入して前よりも素材の量はぐっと増した。しかも、沙更の魔力鑑定で良品を買っていった為、質も申し分ない。
「ある程度買いだめしておいても良かったかも知れません」
「食材にこれだけお金をかけられるのもうちらとしても初めてかもね。いつも、こんなに食事に気を遣ってないから」
冒険者として、食事に力を入れられるようになるのはベテランになったことを示すバロメーターだ。それまでは、お金とのやりくりでそこまで食事にお金をかけられない。
武器や防具はかなり値が張るため、節約しなくてはいけなかったり、大切に使わないと買い直しもなかなか難しかったりする物だからだ。
しかも、冒険者たちで自炊しているパーティーはそこまで多くは無い。ある程度定住出来る町を探して、見つかればそこの町の食堂に入り浸ったりするのがいつものことであった。
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