134 / 365
領都へ
第124話 クルシス5
しおりを挟む
月の魔女とよばれるまで
第124話 クルシス5
リエットは、助けて貰ったお礼を少しでも返そうとそう提案したのだ。
元々クルシスは、辺境伯家の所有する建物がいくつかある。そのうちの一つを使って貰おうと思ったのだ。それに、捕らえられた時のままの服も着替えたかったのもあった。
そのまま、荒野の狼のメンバーと沙更を連れて行く。
リエットが五人を連れて、向かった先はクルシスの中心部にほど近い小さめの屋敷だった。
屋敷の人間が、リエットを見て驚く。それもそのはず、リエットが行方不明になってしばらく経っていた。その行方をくらませていた人間が戻ってきたのだから。
「リエットお嬢様!?」
「お久しぶり、ゼオン。また会えるとは思っていなかったわ」
リエットに呼ばれたゼオンは、三十代半ばの騎士だ。前辺境伯に取り立てられ、この辺境伯領の騎士でも上位に位置する正騎士である。
「それにしても、いきなり我が家にお出でになるとはいかがいたした?」
「事情は、中に入ってからで良いかしら?助けて貰った冒険者さんたちを泊めて上げてほしいのとわたくしも着替えをしたいの」
リエットの言葉に、ゼオンは頷く。この時、ゼオンはリエットを本物と気づいていた。
(お嬢様が失踪して、二週間は経っているが生きていてくれた。助けた冒険者は、見た目以上に出来るようだな)
リエットに連れてこられたミリアたちは、小さいながらも立派な屋敷に引き気味だった。
(なんか、小さめだけど品の良い屋敷に案内されたけど大丈夫なのかな?)
(しかも、この屋敷の主はあの人らしいぞ。あの身体付きを見れば現役の騎士だろうな)
(現役の騎士に知り合いがいるあたり、流石に辺境伯の娘さんなのね)
(騎士の人は大分強そうだな。リーダーが言うように、身のこなしが大分違って見えるぜ)
ボソボソと四人で会話していく。沙更は、そんなミリアたちを見つつもリエットの方に振り返る。
「リエット様、あまり無理はしないでください。ヒールで治療はしてますが体力が戻っていないはずです」
「むっ、お嬢様が怪我を!?」
「盗賊たちから助けた時に、治療を施しました。が、体力はまだ本調子には程遠いのです」
ゼオンの言葉に、沙更が答える。返事をしたのが年端も行かない子供なのに驚きつつも、助けたのはこの子なのだろうと理解する。で、なければここまでしっかりとした受け答えができるはずが無いと思ったからだ。
そして、沙更を知覚したゼオンは、沙更が内包する魔力を感じて自ずと剣の柄に手が伸びていた。それを見つつも沙更のは平然とした表情を浮かべた。
その表情に、ゼオンは衝撃を受けた。魔力の多さを感じて子供を相手に、剣に手をかけたことにだ。
その動きに沙更は、平然としていた。そう言う対応をされることを分かっていたといわんばかりに。
「貴方の動きは、騎士として当然のことです。なので、謝る必要はありません。異端の存在に、守るべき者への危険を感じることは自然なことですし、止められるものではありません」
「だとしても、騎士として謝罪したい。お嬢様を助けた人間に、剣を向けそうになったこと自体が不覚なのだ。忠義にも反する」
「であれば、貴方の謝罪を受け入れます。リエット様は私の患者であり、患者に手を下すことは致しません。それは若輩者の治癒師の意地でもあるのです」
沙更の言葉を聞きつつ、ゼオンは目の前の女の子が物凄い存在なのだと理解するしかなかった。魔力もそうだが、これほど幼いのにこれだけの言葉遣いを出来ること、そしてその器の大きさに。
第124話 クルシス5
リエットは、助けて貰ったお礼を少しでも返そうとそう提案したのだ。
元々クルシスは、辺境伯家の所有する建物がいくつかある。そのうちの一つを使って貰おうと思ったのだ。それに、捕らえられた時のままの服も着替えたかったのもあった。
そのまま、荒野の狼のメンバーと沙更を連れて行く。
リエットが五人を連れて、向かった先はクルシスの中心部にほど近い小さめの屋敷だった。
屋敷の人間が、リエットを見て驚く。それもそのはず、リエットが行方不明になってしばらく経っていた。その行方をくらませていた人間が戻ってきたのだから。
「リエットお嬢様!?」
「お久しぶり、ゼオン。また会えるとは思っていなかったわ」
リエットに呼ばれたゼオンは、三十代半ばの騎士だ。前辺境伯に取り立てられ、この辺境伯領の騎士でも上位に位置する正騎士である。
「それにしても、いきなり我が家にお出でになるとはいかがいたした?」
「事情は、中に入ってからで良いかしら?助けて貰った冒険者さんたちを泊めて上げてほしいのとわたくしも着替えをしたいの」
リエットの言葉に、ゼオンは頷く。この時、ゼオンはリエットを本物と気づいていた。
(お嬢様が失踪して、二週間は経っているが生きていてくれた。助けた冒険者は、見た目以上に出来るようだな)
リエットに連れてこられたミリアたちは、小さいながらも立派な屋敷に引き気味だった。
(なんか、小さめだけど品の良い屋敷に案内されたけど大丈夫なのかな?)
(しかも、この屋敷の主はあの人らしいぞ。あの身体付きを見れば現役の騎士だろうな)
(現役の騎士に知り合いがいるあたり、流石に辺境伯の娘さんなのね)
(騎士の人は大分強そうだな。リーダーが言うように、身のこなしが大分違って見えるぜ)
ボソボソと四人で会話していく。沙更は、そんなミリアたちを見つつもリエットの方に振り返る。
「リエット様、あまり無理はしないでください。ヒールで治療はしてますが体力が戻っていないはずです」
「むっ、お嬢様が怪我を!?」
「盗賊たちから助けた時に、治療を施しました。が、体力はまだ本調子には程遠いのです」
ゼオンの言葉に、沙更が答える。返事をしたのが年端も行かない子供なのに驚きつつも、助けたのはこの子なのだろうと理解する。で、なければここまでしっかりとした受け答えができるはずが無いと思ったからだ。
そして、沙更を知覚したゼオンは、沙更が内包する魔力を感じて自ずと剣の柄に手が伸びていた。それを見つつも沙更のは平然とした表情を浮かべた。
その表情に、ゼオンは衝撃を受けた。魔力の多さを感じて子供を相手に、剣に手をかけたことにだ。
その動きに沙更は、平然としていた。そう言う対応をされることを分かっていたといわんばかりに。
「貴方の動きは、騎士として当然のことです。なので、謝る必要はありません。異端の存在に、守るべき者への危険を感じることは自然なことですし、止められるものではありません」
「だとしても、騎士として謝罪したい。お嬢様を助けた人間に、剣を向けそうになったこと自体が不覚なのだ。忠義にも反する」
「であれば、貴方の謝罪を受け入れます。リエット様は私の患者であり、患者に手を下すことは致しません。それは若輩者の治癒師の意地でもあるのです」
沙更の言葉を聞きつつ、ゼオンは目の前の女の子が物凄い存在なのだと理解するしかなかった。魔力もそうだが、これほど幼いのにこれだけの言葉遣いを出来ること、そしてその器の大きさに。
0
あなたにおすすめの小説
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜
たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
気弱令嬢の悪役令嬢化計画
みおな
ファンタジー
事故で死んだ私が転生した先は、前世の小説の世界?
しかも、婚約者に不当に扱われても、家族から冷たくされても、反論ひとつ出来ない気弱令嬢?
いやいやいや。
そんなことだから、冤罪で処刑されるんでしょ!
せっかく生まれ変わったんだから、処刑ルートなんて真っ平ごめん。
屑な婚約者も冷たい家族も要らないと思っていたのに・・・?
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる