月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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領都へ

第131話 ウエストエンドへ向けて

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月の魔女とよばれるまで

第131話 ウエストエンドへ向けて

ゼオンの屋敷で朝食を食べてから、パウエルたちはウエストエンドへ動くことを決めた。実際、もう時間があまり残っていないからだった。

少し日付けに余裕があるとは言え、無茶が出来るわけでもない。なので、ゼオンに暇を告げたのだった。

ゼオン自身もパウエルたちの古びた砦での話を聞いて、動くことにした。本来ならば、ゼオンと衛兵たちで盗賊退治をしなければならなかったが、退治されたかの確認が必要なのと今後悪用されない為に接収することが必要になると判断したからだ。

「古びた砦のことはこちらに任せて貰おう。お嬢様のこと、くれぐれも頼む」

「リエット様の事、確実にウエストエンドにお送りします」

「ゼオン、わたくしはウエストエンドに戻ります。急に来てしまったのに受け入れてくれて、嬉しかった」

リエットが、貴族の令嬢らしからぬ正直な言葉で伝えるとゼオンは首を振った。己を頼ってくれた事が嬉しくもあり、重大事の時に手助け出来なかったと言う後悔があった。

それだけに、少しでも手助けになったのならそれで良かったと思っていた。


出発時に、屋敷の面々が顔を出した。ゼオンだけではなく、使用人たちもが並ぶ。そこまで、仰々しい送られ方をするとは思っていなかったが手を振って応えた。

ゼオンの屋敷を出ると同時にウィンドウォークの魔法を沙更が唱えるとその時、頭に声が聞こえた。

(今の魔法行使で必要魔法熟練度に到達致しました。魔法が進化します。以後、ウィンドウォークはエアウォークに変化。加速速度と必要魔力量を変更しまして、より上位の魔法に格上げされました)

その言葉が聞こえたと同時に、ウィンドウォークの時よりさらに強い風が吹き込み、足に空気が纏わり付く。より強い風が吹き込み纏わり付くことで、歩く速度もそして足の負担も減らされていた。

その光景を見たパウエルたちは驚く。魔法が進化する事自体がまず無いからだ。一応、一定条件を満たせば魔法が進化することは辛うじて現代にも伝わっていたがそれでも進化させた人間は一人もいなかった。

条件が魔法によって異なる事、そして進化後の魔法を使いこなせる魔力量が必要になる。魔力とそこまで使い込んだ魔法と言う条件がなかなか満たせない。

それを開拓村から4日魔法を使い込んだ事により達成できた事、実際そこまで出来る魔法士は沙更の他にいないと言う事実がより沙更を特殊だと認識させた。

いつもよりも更に動きやすく、そして速度も出ている。それがどれだけ旅に役立つかは言うまでもない事だった。

「魔法が進化した!?そんな事が出来るなんて、セーナちゃんは凄すぎるわ」

「纏う風がより強くなったね。セーナちゃんは、あたし達を助けてくれてる。本当にありがとうね」

「まさか、魔法を進化させた人間なんて初めて見たぞ」

「全く驚かせてくれるぜ。魔法を進化させちまうとはなあ」

それぞれが違う感想を口にする。伝わってはいたが出来ない事だと認識されていたことを現実に変化するのだと証明してみせたことは衝撃的であり、快挙と言って良かった。
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