月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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領都へ

第136話 ウエストエンド冒険者ギルド2

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月の魔女と呼ばれるまで

第136話 ウエストエンド冒険者ギルド2

中級の風攻撃魔法エアブレードを光の魔法ディヴァインベールで無効化するとその場に、一人の男性が現れた。

実際、現代魔法士の中級攻撃魔法ではそこまでの威力は出せない。腕に鋭い切り傷をつけられるかどうかと言った所だろう。一種の嫌がらせという意味なら通らなくもない。

「バカ野郎!!誰だ!?ギルド内で中級攻撃魔法を使った奴は!!」

男性の声に、冒険者たちは顔を見合わせる。それもそのはず、そんなことをするのは、特定の人間しかいなかったからだ。

冒険者たちが揃って、顔を向けた先には一人の魔法士がいた。

「あれ、不味かった?」

「なにが不味かっただ!!お前は、本当に懲りないな。今回のことで、しばらく冒険者としての資格は停止だ」

「ええっ!?それ、ちょっと横暴だろう?」

「阿呆か、ギルド内での攻撃魔法使用の禁止は規約にあるぞ。自業自得だ」

どうやら、話をしている男性がギルドマスターのようだ。怒られている魔法士の男は、どうやら常習犯らしい。

そんなやり取りを見つつ、他の冒険者たちはまたか位の表情しか浮かんでいなかった。どうやら、よくある事らしい。

受け止めた側の沙更として見れば、変わった場所だと言う認識になっていた。少なくともエンシェントゲートやクルシスの冒険者ギルドより、異質に見えてしまっても仕方がないと言うしかない。

他の冒険者ギルドよりも所属冒険者は優秀なのだろうが、その分アクが強いと言うべきだろう。

それだけに、冒険者ギルド内は混沌としているようにも見える。ギルドマスターが、わざわざ注意する時点で相当なのだから。

そんな状況下でパウエルたちは呆れた顔をしていた。仕掛けてきた魔法士を知っているらしい。

「まったく、相変わらずの物騒な挨拶だな」

「そこだけはブレねえよなあ、アイツ」

「少しは、違う方法で挨拶してほしいんだけどねえ」

「それが出来ていれば、ウエストエンド冒険者ギルド一の変わり者の烙印は押されてないと思うわ。出来ないから彼何でしょうに」

四人の中で、ヘレナの言葉が一番辛辣なのは苦手としているからであって、出来ればあまり会いたくないと後で沙更は知ることになる。

パウエルたちが戻って来たことを他の冒険者に知らせる為の魔法だったのかなと沙更は思ったが、それでも物騒だと思ったことは否めない。別の方法を探してほしいと説に思う。

そんなことを思っているとパウエルたちは二階の受付カウンターに顔を出す。パウエルたちを出迎えた受付嬢は、無事に戻ってきたことを顔の表情から示していた。戻って来てくれて良かったと安堵の表情だったから。
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