月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第150話 孤児院の重病人2

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月の魔女とよばれるまで

第150話 孤児院の重病人2

沙更が使った魔法を見て、アレクとシスター達が驚きの表情を浮かべる。全身を風の膜で覆う魔法は今に伝わっていないからだった。

しかも、高度な魔力操作をこなさないと維持出来ないことも驚きであった。

(魔力で風を纏うなんて、かなり高度な技術で魔力操作も慣れていなければあんな簡単に出来る訳がない)

沙更の魔法はアレクの予想を遥かに超えるものだった。風をこう言う形で使う人間を初めて見たと言う衝撃は計り知れない。

そんなアレクやシスター達の驚きを気にせずに、古びた鉄の扉を開ける。

こぢんまりとした部屋に一人の少女が横になっていた。ミリアが、ここを出てくる前に発症したらしく顔に血の気がほとんどなかった。

しばらく水浴びすら出来ていないからか、体から臭いが出てしまっている。かなり不味い状況と言うしかない。

そんな少女の状態を見て、沙更は限度一杯だったがこの子は救うことが出来ると踏んだ。後、数日遅れていたら間に合わなかっただろう。魔法で、精一杯加速した事がここで報われるとは沙更自身思っても見なかった。

そして、特徴的なのが血を吐いただろう器があること。基本的に、喀血する病気はそこまで多くはない。本来ならばこの世界の治療水準では太刀打ち出来ない病気だろうと言うのはよく分かる。

(私が沙更としていたあの世界でも百年前なら不治の病だったくらいの病気。結核がこの世界にもあるかはわからないけれど類似の病気なら手立てはある)

少なくてもこの部屋の状態は、少女に取って厳しいのは理解出来るだけにすぐに対処する必要があった。とは言っても孤児院の人が動くとは思えない。

なので、さっさと沙更が動くことにした。じゃないとこの少女を見殺しにしてしまうことになりかねない。その前にミリアに断りだけは入れておくことにした。一回扉の外にいるミリアに話しかける。

「ミリアお姉さん、この部屋に魔法を使っても大丈夫?」

「セーナちゃんが理由もなく、断りを入れるとは思わないからいいよ。それに、この状態じゃ見殺しにしてるのと変わらない気がしてた。だから、気の済むようにしてくれて良いよ」

ミリアが許可を出したと同時に再度扉の中に入り、沙更は光と風でこの場を浄化することにした。本当なら泡での洗浄をしたいところだったが、今は少女が横になっていることからそれが出来ない。ならば、空気と壁位は浄化しておく事にした。

応急処置だとしてもかなりの効果が期待出来る。少なくても汚れた部屋にいるよりは生存率は上がることだけは分かっていたから。

「浄化の風よ、病魔に冒されしこの部屋を清浄し、病魔を退けて」

途中まで言った言葉に反応して、魔法が発動する。浄化の風が部屋中に吹くと部屋の異臭も汚れも綺麗に落として消えていた。

汚れが落ちた部屋は先程とは違って、病人が寝ていたとしても問題がない部屋へと変わっていた。少なくても衛生状態は改善されたのは間違いない。

(これで、衛生状態は良し。後は、この子の病気が結核に近いのなら対処の方法はある)

そう思ったところで、部屋の中から光が見えたことにミリアとアレクが中に入ってきた。

「扉から光が見えたから、気になって入ったけどセーナちゃん部屋様変わりしすぎじゃない?」

「確かに、先程まで異臭がしていた部屋とは思えません。しかも使った魔法が光の風とは、やはり貴女は聖女様なのですね」

二人にそう言われた沙更は苦笑を浮かべるしかなかった。
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