月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第151話 孤児院の重病人3

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月の魔女とよばれるまで

第151話 孤児院の重病人3

沙更の魔法で光と風の混合だったことに、ミリアもアレクも驚くしか無かった。光魔法と他の魔法を組み合わせるなんてことを頭に思い浮かべられる人間はいなかったからだ。

使い手が減って稀少となった光と他の属性を混ぜ合わせると言う事は、魔法に長けている事を意味していた。今の腐った上層部では、光魔法も満足に使えるか怪しい。

部屋を浄化する魔法ですら、アレクですら扱うことは出来ない。光魔法の習得はしている物の他の魔法は習得していないからだ。

ある程度、沙更の魔法を見ているミリアですら光と風の混合魔法に戸惑うのだから、外部の人間が見たら混乱してしかるべきことであった。

「最初に断りを入れたのは、一気に浄化するつもりだったからです。そうでもしないとこの子は助けられません」

「うん、セーナちゃんのことだからそこは分かったけど光魔法に他の属性を混ぜ込むなんてこと今の魔法士に出来ないよ?」

「単独属性の魔法だけだと応用が利かないのです。これだけの部屋を浄化するなら光だけでは足りません。水か風かどちらかの補助が必要だったから風にしたのです」

沙更はそう説明をする。

アレクはまだしもシスター達もこの光景には驚きを通り越して、神の奇跡を見ている気がしていた。教会の上層部が使う魔法でもここまで綺麗に浄化出来るかと言われれば無理と答えるしかない。

あれだけの異臭と死の匂いがこびりついた部屋をあの魔法一つで浄化してしまうほどの魔法。どれだけ強力なのかは言うまでも無かった。

ミリアは、沙更の目に中の子を助けると言う意思が見え隠れしていることに気付いた。元々託すと決めていたけれど、再度声をかける。

「ねえ、セーナちゃん。あの子を助けられるの?」

「手立てはありますし、この魔法は前提です。部屋が綺麗で無ければ、生き残らせることすら厳しい状態なのです。なので、次々と手を打たせて貰いますね」

沙更として、助けると決めたのだからそこを折る気は一切無い。やっていることがどれだけ異常であろうとも決めたことは押し通すと決めていた。

さらに、そこでアレクがさらに驚いたことがあった。そう、エアスクリーンが発動したままだったのだ。普通の魔法士ならば出来るはずの無い魔法を二つ扱うと言う事。

そして、一つの魔法を発動したまま他の魔法を使うと言うこと。それがどれだけ逸脱しているか、言うまでも無い。一つの魔法を維持しながら、他の魔法を扱うなんてことを出来る人間はいないのだから。

「聖女様、貴女は一体?」

「私は、人間の形をした別のもの。今はそう思っていてください。人間と同じものさしで計りきれないのは、ミリアお姉さんも知っていますから」

沙更は、あっさりとそう言う。信じる信じないは人の勝手だ。だから、そう言っておく。神の器を持つ自分が人間であるとは到底思えなかった。

月女神に託された器と魂が、沙更のやることに力を与えていた事は確かでそれが崩れることは死ぬまで無いだろう。

エアスクリーンを発動したまま、少女の身体を魔法鑑定していく。栄養が足りていない上に、この部屋に入れられたことで一気に空気が悪くなったことで抵抗力がより低下しているのが分かる。

今は一気に浄化したことで、いきなり悪化することは防いでいる物の時間の問題と言うしか無かった。少なくてもこの部屋の空気を浄化したことは正解だったことは確かだ。

ここから先は人間の身体を知っている沙更以外には手出しできない領域と言って良かった。
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