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新たなる住処
第156話 孤児院の現状
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月の魔女とよばれるまで
第156話 孤児院の現状
ミリアの頼みで少女を救った沙更は、ミリアの思いを感じていた。孤児院の現状が厳しいのはよく分かる。本当ならば、建物も直さなければならない。それに、重病人も抱えていたらお金がいくらあっても足りないと思ったとして、間違っていると言えるだろうか?
その状況を好転出来るとすれば、沙更くらいだろう。ちなみに、建物の修復は可能だし、もしあの子以外の重病人がいたとしても応用が利く魔法で治すことは可能であったから。
ずっとお世話になれないとミリアは思うだろうが、沙更としてミリアが望むのならばそれでも良いと思う。少なくてもこの場が良くなれば、少しでもましになるのは分かっていたから。
本当ならば、孤児院単体で全てをまかなうのは難しい。寄付とかが減ってしまっている状態で、子供達を飢えさせないと言う事が多分最重要だと思われているからだ。
その分、シスター達にもしわ寄せが来ている。前世での知恵をも併せ持つだけに、そこを感じないわけが無い。
(貧乏なのに、それを見せないようにするのは非常に大変なこと。シスター達が倒れたりしたら、子供達も危ない。それに、そうなったらミリアお姉さんが心を痛めるのが分かっているからそうなる前に手を打つしか無いかな)
少なくても、今できる事はそこまで多くは無い。が、ミリアと共同ならばある程度の状況改善を望むことが出来る状況ではあった。
が、それをずっと続ける訳にもいかない。そこが難しいと言えば、そうとしか言えない。ずっとその状態を維持すると言うことがどれだけ大変かを知っているから。
重病人の部屋から離れ、玄関まで戻ってきたところで老シスターと出会う。ミリアは、老シスターを知っているようで声をかけた。
「ただいまシスターヴァレリー」
「お帰り、ミリア。それに、そのかわいらしい子を紹介してくれるかしら?」
シスターヴァレリーの声に、ミリアは頷く。
「あたしが辺境の果ての古代遺跡に行った時に助けてくれたセーナちゃん。両親が邪教の集団に殺されてしまって、天涯孤独の身だからってここまで連れてきちゃった」
「ミリア、貴女は優しい子です。この子を助けてあげたかったのでしょう?そう言えば、重病人の部屋から魔力を感じたけれど、司祭様たちが動いてくれたのかしら?」
シスターヴァレリーは、あの魔力をアレクたちが動いたものだと思ったらしい。が、その問いにミリアは首を振る。
「シスターヴァレリー、助けてくれたのはこの子。セーナちゃんなの」
ミリアの説明に、驚くシスターヴァレリー。だけど、その言葉を信じてくれたようだ。
「あの子の病気は、この町の治療士でもお手上げだったわ。それを治したのなら、本当に司祭様が言っているように聖女様とお呼びするべきかしら?」
そう言うのも無理は無い。この世界の医術水準はそれほど高くない。それをねじ曲げるほどに、沙更の医術の知識は高かったからだ。異世界の知識は、この世界の知識を遙かに超えている。
それでなくても、沙更の生きていた異世界の知恵は途方もないものばかりなのだから。
第156話 孤児院の現状
ミリアの頼みで少女を救った沙更は、ミリアの思いを感じていた。孤児院の現状が厳しいのはよく分かる。本当ならば、建物も直さなければならない。それに、重病人も抱えていたらお金がいくらあっても足りないと思ったとして、間違っていると言えるだろうか?
その状況を好転出来るとすれば、沙更くらいだろう。ちなみに、建物の修復は可能だし、もしあの子以外の重病人がいたとしても応用が利く魔法で治すことは可能であったから。
ずっとお世話になれないとミリアは思うだろうが、沙更としてミリアが望むのならばそれでも良いと思う。少なくてもこの場が良くなれば、少しでもましになるのは分かっていたから。
本当ならば、孤児院単体で全てをまかなうのは難しい。寄付とかが減ってしまっている状態で、子供達を飢えさせないと言う事が多分最重要だと思われているからだ。
その分、シスター達にもしわ寄せが来ている。前世での知恵をも併せ持つだけに、そこを感じないわけが無い。
(貧乏なのに、それを見せないようにするのは非常に大変なこと。シスター達が倒れたりしたら、子供達も危ない。それに、そうなったらミリアお姉さんが心を痛めるのが分かっているからそうなる前に手を打つしか無いかな)
少なくても、今できる事はそこまで多くは無い。が、ミリアと共同ならばある程度の状況改善を望むことが出来る状況ではあった。
が、それをずっと続ける訳にもいかない。そこが難しいと言えば、そうとしか言えない。ずっとその状態を維持すると言うことがどれだけ大変かを知っているから。
重病人の部屋から離れ、玄関まで戻ってきたところで老シスターと出会う。ミリアは、老シスターを知っているようで声をかけた。
「ただいまシスターヴァレリー」
「お帰り、ミリア。それに、そのかわいらしい子を紹介してくれるかしら?」
シスターヴァレリーの声に、ミリアは頷く。
「あたしが辺境の果ての古代遺跡に行った時に助けてくれたセーナちゃん。両親が邪教の集団に殺されてしまって、天涯孤独の身だからってここまで連れてきちゃった」
「ミリア、貴女は優しい子です。この子を助けてあげたかったのでしょう?そう言えば、重病人の部屋から魔力を感じたけれど、司祭様たちが動いてくれたのかしら?」
シスターヴァレリーは、あの魔力をアレクたちが動いたものだと思ったらしい。が、その問いにミリアは首を振る。
「シスターヴァレリー、助けてくれたのはこの子。セーナちゃんなの」
ミリアの説明に、驚くシスターヴァレリー。だけど、その言葉を信じてくれたようだ。
「あの子の病気は、この町の治療士でもお手上げだったわ。それを治したのなら、本当に司祭様が言っているように聖女様とお呼びするべきかしら?」
そう言うのも無理は無い。この世界の医術水準はそれほど高くない。それをねじ曲げるほどに、沙更の医術の知識は高かったからだ。異世界の知識は、この世界の知識を遙かに超えている。
それでなくても、沙更の生きていた異世界の知恵は途方もないものばかりなのだから。
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