月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

文字の大きさ
177 / 365
新たなる住処

第163話 孤児院の現状の把握

しおりを挟む
月の魔女とよばれるまで

第163話 孤児院の現状の把握

アレクたちとしてもこのまま放置は避けたいところであった。結局のところ、孤児院が動かない状態ではウエストエンドの治安はもっと悪くなってしまう。

それでなくても、今のウエストエンドは大分治安が悪くなってきていた。本来ならば、そこに冒険者も治安維持に当たらせるべきだったのだが、腕の良い冒険者はそうなる前に王都へと移動していて、今は腕の良い冒険者が減ってしまっている始末。

そして、そうなってくると依頼の質も下がってくる為、腕の良い冒険者がこちらでやっていけない状況下になっていた、悪循環の成立である。

そして、冒険者ギルドのサブマスターの不正とここまで悪行続けば、さもありなんである。

沙更は、ミリアの食事が終わったことと眠気がやってきたことからあくびをする。それを見ていたミリアは申し訳差なそうな表情をしつつも沙更の手を取った。

「いろいろとごめん。セーナちゃんに無理ばかりさせちゃった」

「ミリアお姉さん、謝らないでください。それとごめんなさい。少し眠いです」

沙更が眠気を伝えるとミリアは、元々孤児院で与えられている部屋に向かう。その前に、シスターヴァレリーに声をかけた。

「シスターヴァレリー、明日以降あたしやセーナちゃんもここを良くしていくからそこまで悲観しないで」

「ミリア、いろいろとありがとう。貴女は優しい子だから、ここを見捨てられないのね」

「シスター、あたしはここでお世話になったからその恩返しをしたいだけです。優しいかは分かりませんけど、ここを見捨てる気はありません!」

そこだけは譲れないとばかりに強調する。そして、沙更を使っている部屋へと連れて行った。

そんな姿をアレクとシスターたちも見ていた。

「シスターヴァレリー、良い教え子だと思いますが?」

「ミリアは、この孤児院で一番出来た子なのです。あの子がここを大切に思ってくれてるのは嬉しいのですが、あの子の成長を阻害してしまっている気がしてならないのです」

「でも、ここを大切に思っているのですから邪険にしては可哀想では?」

シスター達にもその気持ちは伝わっているだけに、何というかいたたまれない。親としていろいろと思うところがあるのはわかる。が、ミリアの気持ちを受け取ってあげられないのかと思ってしまうのは第三者だからかもしれない。

そんな話がされている中、ミリアは沙更を連れて部屋までやってきたと同時に、そのままベッドに入る。

「セーナちゃんに無茶させて、あたしはここを案内してあげたかっただけ。だけど、それで無茶させたんだからどうしようも無いよ」

沙更は既に眠っている為、その言葉に反応はしない。だけど、抱きしめているだけでなんとなく温かい気持ちになれた。

(へこんだままじゃダメだよね。セーナちゃんに明日、お返ししなきゃ…。本当にお世話になりっぱなしで、申し訳ないのだけど、それでも離れたくは無いのはわがままなのかな?)

そう思うものの、ミリアが沙更から手を離せるかと言えば無理だ。余りにも受けた恩が大きすぎて、少しでも返せなければ離れられそうに無かった。

それに、沙更を抱きしめているからかその温かさがミリアを眠りに誘う。

(明日、セーナちゃんとお買い物と冒険者ギルドに行かなきゃ…)

そう思いつつも眠りに落ちていくミリア。沙更も抱きしめられたまま、眠っていく。

そうして、孤児院に来て初日は更けていくのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

処理中です...