月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第166話 沙更の事情

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月の魔女と呼ばれるまで

第166話 沙更の事情

ミリアが起きたところで、沙更はミリアの側に近寄る。

「ミリアお姉さん、おはようございます」

「おはようセーナちゃん。もう起きていたの?」

「昨日、治療した子が気になったので見に行ってました。ある程度話せる位には回復してくれていて、少し話しましたけど今は話疲れたのか眠ってしまいました」

沙更からの報告に、ミリアは沙更を見ると手を取った。

「セーナちゃん、本当に本当にありがとうね。あの子の病気は、治癒士でも治せない未知の病だって言われて…。セーナちゃんの治癒魔法の凄さを知ってたからこれで無理ならって思ってた」

ミリアがそう言ったところで、沙更としてミリアには話しておこうと思った。少なくてもミリアは、あれだけの異常な姿を見ていても側に居てくれると約束してくれたからだ。

「ミリアお姉さん、私がかなり特殊なのは分かっていると思う。けど、話していないこともあって…」

「あえて、聞いてなかったんだよね。セーナちゃんが迷ってるみたいだったから」

「えっと、聞いて貰えます?」

「セーナちゃんの心が決まったのなら、教えてくれると嬉しいよ。セーナちゃんが月女神様の生まれ変わりだったりするんでしょ?それに、他にもあるってところかな?」

やはり、ミリアは鋭い。ある程度今までのことを換算して把握しているようだった。

「ミリアお姉さんは鋭いです。えっと、私が月女神様の関係者だって言うのは話しましたけれど、魂を月女神様を殺した人間達が二つに割りました。その二つの魂の一つがセーナ、そしてもう一つの魂が沙更と言う名前の女性が受け付いていました」

「エーベルさんが言っていたね。えっと、セーナちゃんであり沙更さんでもあるってこと?」

「セーナちゃんの魂は今とても疲れているので、外に出ているのは沙更でセーナの方は眠っています。そして、セーナも沙更もいるから月女神様の器も宿っています。だからこその膨大な魔力なのです」

「そう言うことだったんだ。でも、それだからってあたしはセーナちゃんもとい沙更さんを嫌ったりしないって決めてるの。だって、どれだけ助けて貰っているか…。返しきれない恩ばかりなんだよ?」

ミリアからしてみれば、助けて貰ってばかりで嫌うとかはあり得ない話だ。これだけの恩を受けて反故に出来る程人間腐っているつもりもないし、エーベルにも託されていることもある。

どちらにしろ、いろいろと助けて貰ってばかりなのに手を離せるかと言えばミリアとして無理と言うしか無い。沙更が拒むまでは側に居るつもりでいた。

「大丈夫、セーナちゃんが誰であっても月女神様の生まれ変わりなのは変わらないでしょ?それに、これだけの恩を受けておいてお返しさせない気なの?」

「えっと、私のこと驚いたりしませんか?」

「もう、セーナちゃんが凄いのは分かってるから大丈夫だよ。言ったでしょ?助けて貰ってばかりなのに、怖がったりしたら最低だと思うんだけど?」

そう言って、笑顔を見せるミリアに沙更は負けたと思った。何がと言うわけじゃ無くて、ミリアの器が大きいことを再確認した格好になったからだ。

そう言っている沙更の器もまた途方も無く大きいのだが、本人はまだ気付いていない。月女神の器を持つと言う事がどれだけの才気を持つかなど、興味が無かったからと言うしか無かった。

沙更が明かしていなかった事も話したことで、気が軽くなった。そんな表情を見て、ミリアが笑みを浮かべる。

(もう、セーナちゃんのことなら受け入れるって言ったのに…。でも、それだけ一緒に居たいって思ってくれているって事で良いのかな?それなら嬉しいんだけどね)

やはり察しの良いミリアだけに、沙更の感情の機微もある程度分かるらしい。双方ともその存在を気に入っているからこそ、側に居たいと思うのだろう。
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