月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第167話 猪の鼻亭1

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月の魔女とよばれるまで

第167話 猪の鼻亭1

ある程度沙更の秘密をミリアに明かしたことで、ミリアと更に絆が深まった。

ある程度話をしていたのと治療をした女の子と話をしていたこと、そして昨日の夜から何も食べていないことを思い出した。ミリアもそこを思い出したらしい。

「そう言えば昨日の夕ご飯おいしかったけど、ごめんねいろいろと気が利かなくて」

「ミリアお姉さん、孤児院で食事は厳しいので朝からやっている食事処ってありませんか?」

「あるにはあるけど…。ここからだと、リーダーたちが使っているところが無難かも、そこでいい?」

ミリアの提案に沙更は頷く。

ミリアに連れられて、孤児院からギルドよりに戻ったところにパウエルたちが良く行く食堂猪の鼻亭があった。沙更が見たところ大衆食堂で、朝からやっているのは冒険者たちや食事が出ない宿屋の人たちの受け皿なのだろう。

少し観察していると宿屋の方からパウエルたちが来るのが見えた。

「あれ?ミリアとセーナちゃんじゃないか、朝ご飯を食べに来たのか?」

「うん、そう。昨日セーナちゃんに頼み事をしたから朝ご飯をここに食べに来たんだけど、リーダーたちがいいなら一緒でお願いしたいかな」

「俺らに拒否はないさ。ガレムもヘレナもな」

パウエルに話を振られたガレムもヘレナも頷く。元々、拒否される訳もなかったのだが。

そのまま、猪の鼻亭に入ると既にお客さんが入っていて繁盛しているようだ。入ったところで、一人の娘さんがこちらに近づいてきた。

「あれえ、ミリア久しぶりじゃない。この子ここに来るのは初めてだよね?それにしては、なんか妙に仲がいい気がするのは気のせい?」

そう話かけてきたのは、この猪の鼻亭の看板娘であり、ミリアの幼馴染のアンナだ。ウエストエンドでは、珍しく朝からやっている大衆食堂を切り盛りしている。

「そりゃそうだよ。この間行ったクエストで色々とあってね。開拓村からここまでご招待したの」

「ふうん、その子なんか力でもあるの?ミリアたち、冒険者でしょ?幼い子に助けられるとかないと思う」

アンナは沙更の見た目で判断するしかないからか、そう言う。その言葉に困ったのが本人である沙更だった。下手に動けば目立つことこの上ないし、かと言って下手な対処ではパウエルたちに迷惑がかかるのは分かっていた。

「えっと、アンナお姉さん。あまり無駄話もどうかと思いますよ?おすすめはあります?」

これ以上、下手に突かれてもなので、アンナに職務に戻ってもらうことにした。元々、朝ご飯を食べに来たからあまり我慢が出来なかったが正しい。

しかし、幼い沙更にお姉さんと言われたことは悪い気はしなかったらしい。軽くウインクして、厨房へ戻っていった。

「まったく変わってないのは当たり前かな?この前来たのは、クエスト受ける前だったっけ」

ミリアが呟くとヘレナが苦笑を浮かべた。
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