月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

文字の大きさ
182 / 365
新たなる住処

第168話 猪の鼻亭2

しおりを挟む
月の魔女とよばれるまで

第168話 猪の鼻亭2

一応、アンナ自身が悪い人では無いと言うのは沙更も分かっていた。まあ、こんな幼い娘に助けられる冒険者というのもあり得ないからと言うのも頭にちゃんとある。

それでも、沙更ははっきり言えば完全に規格外である。アンナの想像の外なのも当然と言えば当然だった。あれだけの高位の攻撃魔法に補助魔法、そして治癒魔法まで使いこなす魔法士などこの世界に存在しない。

それだけに、異端であるのは当たり前であって目立ちたくは無いと言う思いが出てしまったのだ。

「ごめんね、アンナは結構無神経だからズバズバ言って怖い思いをしてたりするんだけど直らないんだよね」

「少し話を聞いていただけでも悪気は無いのは分かりましたから、大丈夫ですよ。そんなことで怒るほど、私は短気じゃ無いです」

「セーナちゃんが怒ったらしゃれにならない事態になるのが目に見えるな」

「そりゃそうだろ。てか、セーナちゃんがあの言葉に怒るとは思えねえけどな」

「それもそうね。アンナちゃんは相変わらずと言うべきかしら?」

荒野の狼のメンバーで、そう話をしているとアンナともう一人が食事を運んでくる。豚肉の塩焼き肉とキャベツの付け合わせに硬いパンに塩スープのセット。見た目もそうだが、朝からとしては重い。

確かにパウエルやガレムなら、これでも十分おいしくいただけるとは思う。が、塩分が強すぎる気がして、沙更としては苦笑を浮かべてしまう。

そんな沙更を見て、ミリアも苦笑を浮かべていた。

「セーナちゃんは料理に対して厳しいよね。作る料理に関しても厳しいけど」

「どうしても人を作る栄養を取る手段です。今はこれ以上は言わないことにします。私もまだ追求している最中ですし」

食事処で、提供された食事に文句を付ける状態になってしまっていることに気付いて、それ以上は口を閉ざすことにした。口を付ける前から文句を言うのも変な話になってしまう。

その後、食べ終わって猪の鼻亭を出た後で沙更が再度苦笑を浮かべた。朝定食一つ銅貨5枚とある程度安いけれど量は豊富のため、沙更たちが出てくるまでにある程度席が埋まっていた。やはり、朝からやっている食事処はそこまで多くは無いのだろう。

猪の鼻亭を少し離れてから、食事の話をする。

「やっぱり、塩気が強すぎる気がします」

「セーナちゃんの料理は同じ塩でも優しい味だからね。今まで普通に食べていたけど、今改めて食べると塩気が強かったのがよく分かるよ」

「だな、昔よりもおいしく感じなくなってたな。ある意味、セーナちゃんの料理に慣らされたと言うべきか」

「てか、それを言うならばセーナちゃんの料理の味が上だってことだろうよ。手間かけてるのは分かってるからなあ」

「やっぱり、女性向きでは無いのよね。あの量、ガレムに半分食べて貰って丁度だから」

女性的には、あの量は多すぎる。焼き肉200グラム、パン300グラム、キャベツの付け合わせ150グラム、スープ200CCはかなりのボリュームと言うしか無い。

濃いめの味なだけに、水を飲みつつやらないと舌が塩まみれな感じになるのもあまり良いとは言えなかった。

そんなことを思いつつも、沙更はいずれてこ入れすることになるのかなと思う。少しでも良い物を食べて貰うと言うのもあったからだ。

そんな気持ちを抱きつつも、ウエストエンド冒険者ギルドの扉を開く。冒険者適性を見て貰うために。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。 何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。 カミサマの許可はもらいました。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。  ─── からの~数年後 ──── 俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。  ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。 「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」  そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か? まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。  この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。  多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。  普通は……。 異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話。ここに開幕! ● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。 ● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。

無能烙印押された貧乏準男爵家三男は、『握手スキル』で成り上がる!~外れスキル?握手スキルこそ、最強のスキルなんです!

飼猫タマ
ファンタジー
貧乏準男爵家の三男トト・カスタネット(妾の子)は、13歳の誕生日に貴族では有り得ない『握手』スキルという、握手すると人の名前が解るだけの、全く使えないスキルを女神様から授かる。 貴族は、攻撃的なスキルを授かるものという頭が固い厳格な父親からは、それ以来、実の息子とは扱われず、自分の本当の母親ではない本妻からは、嫌がらせの井戸掘りばかりさせられる毎日。 だが、しかし、『握手』スキルには、有り得ない秘密があったのだ。 なんと、ただ、人と握手するだけで、付随スキルが無限にゲットできちゃう。 その付随スキルにより、今までトト・カスタネットの事を、無能と見下してた奴らを無意識下にザマーしまくる痛快物語。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
 2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。  死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。  命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。  自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...