月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第182話 正当な報酬

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月の魔女とよばれるまで

第182話 正当な報酬

ゴブリンジェネラルやゴブリンロードの魔石に盗賊の頭の魔鉄の斧とクエスト二つを片付けた荒野の狼のメンバーに、ダイスもルーカもしっかり報酬を算出していた。

そもそも、クエストで張り出す予定であった。が、どちらにしろ受ける冒険者がほぼいないと思われた。既にBランク以上の冒険者はこぞって王都に移動していたからで、残っている冒険者の最上位がCランク中位だった。

その状態だったのが、荒野の狼がBランクに昇格したことで荒野の狼が冒険者最上位になった。このことは、ウエストエンドの冒険者ギルドにとって大きい。

ゴブリンの巣の討伐に金貨200枚、街道の盗賊退治に金貨130枚を用意していた。それをすぐに払うことになるとは思ってもみなかった。

「と言うわけでだ。双方の報酬金貨330枚しかと確認してくれよ」

「クエストとして発注をかける前に潰してきたって言うのは貴方たちが初めてだけどね。大森林を抜けてこようなんて普通は考えないわ」

ダイスから金貨を渡されたヘレナがそれを数える。それを見つつ話すルーカの表情は呆れていた。

大森林を抜ける冒険者など聞いたことが無いし、それをやる人間はもっといなかった。それをあっさりやってのけてきたと言う当たりが、沙更が居ると言う凄さなのだろうと一人納得していた。

実際は、沙更の加速魔法と探知魔法でモンスターを近寄らせずに駆け抜けたと言うのが正しい。別段縄張りを邪魔するほど奥に行ったわけでもないので、既にモンスター達は元に戻っている。

沙更の強力な魔力を探査魔法でばらまいた結果がそれなのだから笑えない。完全にモンスター避けの作用を起こしていたのはそれだけ、その魔法に込められている魔力の濃さがしゃれになってなかったと言う証でもあった。

そう言う考察はさておき、ヘレナが金貨の枚数を確実に数え終える。

「きっちり金貨330枚ですわ。と言っても、この報酬をどうするか考えませんといけませんわね」

「それはお前達で考えろ。俺たちが言うことじゃないだろうが」

「それもそうですけど、セーナちゃんがどうしたいかを聞いた方が良いと思いますよ」

ヘレナの困った顔を見つつ、ダイスは突き放すがルーカが知恵を出してくれた。考えてみれば、そこは沙更に聞いた方が早いと言うのも確かだった。大体において、補助魔法等々の援護が無ければここにいないのだから当然と言えば当然だった。

「えっと、私ですか?」

「確かにセーナちゃんがいなかったら、あたしたちここにはいないよ?」

「丸々俺たちで分けると言うのも確かに違う気がするな」

「あれだけ魔法を使い続けてくれたんだ、報酬の割方は考えねえとなあ」

「わたくしの治癒魔法では全然追いつかなかったのは分かっているわ。だから、セーナちゃんはどうしたいか教えて欲しい」

四人の顔が沙更の方に向いたので、どうしたものかと考えてしまった。

そもそも、大森林に向かったのも開拓村の生き残りを助けるためでそれは達成されている。クルシスの町まで送り届けることが出来ているからだ。そして、無事ウエストエンドまで送って貰っているから、沙更として報酬を貰うつもりは一切無かった。

冒険者になったのは今さっきであり、その資格があるかと言われると首をかしげてしまう。

「あの、私としては報酬を貰えません。結構皆さんに無理を言った格好ですし、開拓村の生き残りの人達を助けて貰いました。それに、ウエストエンドまで送って貰いましたし…」

「えっと、セーナちゃん。それだとあたしたちだけ丸儲けになっちゃうけど良いの?」

「どちらにしろ、私が貰ったとしてもミリアお姉さんに預けるだけですから余り変わりはありませんよ?どうせ、防具も武器もこれ以上の品は多分無いでしょうし」

言われて見るとそうなるのも四人として、納得できる範囲であった。沙更の武器防具は、本人の魔力で全て補われている。下手な市販品ではその魔力で作られた一品に勝つことすら叶わない。そのため、更新する必要が無かった。
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