月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第183話 冒険者登録を終えて

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月の魔女とよばれるまで

第183話 冒険者登録を終えて

ひとまず、報酬に関しては沙更は金貨数枚を受け取って、それ以上は受け取らない。残りは、ミリアに上乗せして貰うことになった。結局のところ、今の沙更に必要な物と言えるのが寝床くらいで、後は多少のお金があればどうにかなってしまう。

それに、孤児院の件もあってミリアにお金を使って貰う方が自分にとっても良いと思ったからだ。そうなってくると今度はミリアとして申し訳ないと思う気持ちの方が強くなってしまった。

(セーナちゃんに、いろいろと助けられてばかりだからあたしで出来る事をしてあげないといけないよね)

ますます、その思いに磨きが掛かるような格好になってしまっているが沙更として、ミリアの思いにまでは干渉する気も無ければしたくもなかった。

自然な思いならば、沙更としてそれを尊重してあげたいと言うのもある。月女神としてもそこをとやかく言う気はないし、口を挟める資格を持ち得ないことも理解していた。

既に、邪神として認識されている彼女であるが、別にその本質が変わったり姿が変わったわけでは無い。そもそもこの世界で生まれた神ではないからだ。

だからこそ、最も古い神々と呼ばれる旧神であり神々の中でも特別な位置を占めていた。神としては特殊で人の信仰に左右されないと言うこと。彼女が彼女であると認識している間は、その認識が揺らぐ事が無く、そして属性が揺らぐことも無かった。

普通の神ならば信仰によりその力が上がったり下がったりするが、その概念が無いと言う特別な神であった。

「そもそも、私にそれほどお金を必要としていません。今は孤児院にお邪魔していますけど、ミリアお姉さんのお手伝いの為ですしね」

沙更の身体も器も分かる人間には解き明かしたい謎の塊だ。欲しがる人間は一杯いる。欲に目がくらむどころか、その力をその魔力を手に入れようと襲いかかることすら簡単に起こりえた。

それを企む人間から身を守るための守りもある。それに、神の器を持つ沙更に状態異常は一切効かない。

今は良いが、今後どうなるかが一切読めないのもある。荒野の狼のみんなと一緒に居られる間は大丈夫だろうとは思う。が、それも何処まで続けられるか不透明であった。

国に目を付けられる可能性がかなり大きいと言うか、治癒士としても魔法士としても宮廷魔法士を遙かに超える力を持っている。傲慢な王族もしくは大貴族が目を付ければ、あっと言う間に今の生活は消えて無くなる事を沙更は知っているから。

そこまで言ったところで、ダイスとルーカが少し困った顔をしていた。

「ある程度の事情はなんとなく飲み込めた。出来る限り俺とルーカで守れるところまで守る。その代わり、依頼を頼めないか?」

「セーナちゃんの力を貸して欲しいの。ウエストエンドの今の状況は余り良くないわ。今のままずっと過ぎていけばいずれは崩れ去ってしまう」

なんとなく、ルーカの思いが沙更には通じてしまう。徐々にウエストエンド自体が住みにくくなっていっていること。だから、王都に移住していくのだ。それを防げるようにしたいと言う思いがなんとなく理解出来た。

ミリアの孤児院が良くなってもウエストエンドがゴーストタウンになっては意味が無い。だから、ルーカの思いも受け止めてあげたいと思った。
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