月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第184話 ウエストエンドの森探索クエスト受注

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月の魔女とよばれるまで

第184話 ウエストエンド近辺の森探索クエスト受注

ようやくウエストエンドに移ってきたのに、ゴーストタウンになられては困る。そして、シスターヴァレリーや孤児院の子供たちの為にも、ここでクエストを受けないと言う選択肢は無かった。

「私がクエストの受注に関して決める立場じゃありません。パウエルさん、どうしますか?」

「ミリアの事もあるし、どちらにしろ受けることになる。俺やミリアはこのウエストエンド生まれであり、この町で育ったからな」

「あたしも受ける気でいたけど、セーナちゃん助けてくれる?」

ミリアの言葉に、沙更は頷く。元々、そこで断る気は一切無かったからだ。

「ミリアお姉さんが動くと言うのなら、私も動きます。ここで、何が起きているのか確かめる必要があると感じているから」

沙更の応えに、ガレムもヘレナもほっとした表情を浮かべる。なんだかんだで、気心が知れた仲間であった。

「セーナちゃんが来てくれるなら心強いぜ」

「セーナちゃんが居てくれるのなら、無茶はしなくて済みそうだわ」

四人とも沙更の参加でほっとした面があった。確かに成長はしているが、それでもまだまだな部分がある事を感じていたからだ。

急激な成長のおかげで、未だに何処まで動けるかが掴み切れていないミリアに取って沙更の存在はかなり大きい。

ともあれ、クエストの受注はすんなり決まった。そのことに、ダイスもルーカもほっとした表情を浮かべる。実は、先に先行しているパーティーがあったからだ。

「先に探索して貰っているのがCランクのミストヘイムだ。パウエル達にはその後を追って貰う形になる。とは言っても、今日は無理だ。明日、セーナちゃんの冒険者証を発行するからその後出発してくれ」

ダイスの言葉に、パウエルは頷く。Cランクパーティーミストヘイムは、6人パーティーでそれぞれ中級以上の実力を持つベテランパーティーだ。ウエストエンドに常駐する冒険者たちでも上位に位置していた。

パウエル達の先輩でもあり、ある程度話したりする仲でもあった。

「先輩達なら、大丈夫だと思うんですが?」

「いや、それでも森の中程からCランクモンスターが出るとDランク以下の冒険者たちから報告を受けている。もしかしたらBランクモンスターが出るかもしれない。となれば、彼らでは力不足になる」

ダイスとしては、Bランクモンスターを対処出来るのが今のウエストエンドでは荒野の狼以外に居ないと言う事を暗に示していた。

魔鉄の武器は最低でも金貨80枚以上、鋼の武器が10枚から20枚なのに対して実に4倍以上の値段を誇る。だが、その値段にあった力を発揮してくれる。Bランクに上がる際には欲しい相棒であった。

魔鉄もしくはそれに準じる武器を持っているのが今のウエストエンドではパウエル達しか居なかったのだ。
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