月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第186話 ミストヘイムを追いかけるための準備

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月の魔女とよばれるまで

第186話 ミストヘイムを追いかけるための準備

冒険者パーティーミストヘイムを追いかけることにしたパウエル達、荒野の狼一行は冒険者ギルドを後にするとすぐにウエストエンドの市場に足を運んだ。

朝ご飯が散々だった為、野営食とは言え材料を買い込むことを決めたからだった。元々、沙更の手持ちの食材が乏しいと言う事もあって、行くことは決まっていた。

ウエストエンドの市場は、冒険者ギルドで時間を食ったことにより、昼前に差し掛かっていたことで大体のめぼしい物が売り切れてしまっていた。かと言って、他の場所に買い物に行っている暇は無い。

パウエル、ガレム、ヘレナは保存が出来る食品を買って貰う方向で、別行動をすることになった。市場に向かうのは沙更とミリアの二人。

「やっぱり、ほとんど物が売れてしまってるね。セーナちゃんどうする?」

「うーん、ちょっと見てからにしましょう。もしかしたらがあるかもしれませんし」

そこまで言ったところで、市場の中を見ていくことにした。

やはり、ある程度入り口に近いお店は売り切って店じまいを始めているところが多い。そんな中を抜けて、更に市場の奥に向かう。

中程まで来るとちらほらとまだ野菜などを扱っているお店があるが、その扱っている数は少ない。そろそろ店じまいをするか考えているように見える。それを見つつ更に奥へと向かう。

市場の奥は、小さい露店の集まりで構成されているらしい。その中の一角に、沙更の感覚に引っかかるお店があった。

朝からかなりの時間が経っているが、それでもお店に並んでいる野菜の品質は下がっていない。そのお店に沙更は足早に向かう。それに付いてくるミリア。

そのお店に居るのは若い男性だ。二十になったかならないかだと思われる。そんな彼に、沙更が話しかけた。

「あの、野菜を見せて貰っても?」

「うん?君が買うのかい?」

若い男性は、沙更が買いに来たと言うのを聞いて親のお使いかなと思った。しかし、受け答えが妙に大人びている事に気付く。

「今乗っているのが全てだよ。葉野菜が今旬だな。一応ジャガ種もあるけど、ちょっと取り扱いがな」

「芽の話ですか?なら、対処法を知っていますから大丈夫です」

さらっと、そう言われた若い男性は驚いた顔をする。ジャガ種の芽の毒はこの世界では余り知られていない。それを知っていると言う事は、小さい娘ながら博識だと言うことを示していた。

「なんかすげえな、きみ。気に入ったのがあれば、手に取ってくれて構わないよ」

「ありがとうございます。いろいろと見せて貰いますね」

そう言いつつ、沙更はこの店にある野菜を全て魔力鑑定で確認していく。野菜の全ての鑑定にかけた時間、約二分。普通では出せない速度で鑑定を完了し、若い男性に声をかける。

「あの、このお店の野菜全てください」

「えっ、ええ!?お金は足りるのかい?」

いきなりの全てくださいに、驚く若い男。それもそのはず、市場の奥まで買いに来るお客は余り多くは無い。そんな中、全てくださいと5才の女の子に言われるとは思ってなかったのだ。
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