月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第206話 冒険者ギルドによばれて4

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月の魔女とよばれるまで

第206話 冒険者ギルドに呼ばれるまで4

月の銀に反応したのはルーカ。それもそのはず、月の銀は冒険者ギルドのギルド証の大本だったからだ。

「月の銀は冒険者ギルドを作った際に、魔力を込めても壊れない特殊金属だったことから採用された物よ。今では月を失って取れないの。だけど、今では残ってないと思っていたわ」

どうやら謂われはあったようだ。月女神はその謂われまで時を巻き戻したと言う事らしい。月の銀(ムーンシルバー)は魔力を放出することなく貯めておけるいわゆる魔力版バッテリーみたいなものだ。

その月の銀に、沙更が使う神代の時代の魔力濃度で流し込んだ物だから途方も無い事になってしまっていた。沙更のみ扱える魔力プールと謂う時点で、どれだけのことが出来るようになるのか想像できないからだった。

(月女神様は、魔術的お守りって言ったけど、エーベルさんにも物理的お守りを貰ってるんだよね。二人とも過保護なのかな?)

沙更としてはそう思うしかない。エーベルからはマジックプラチナを貰っているし、月女神からは月の銀を預かる形になっていたのだから。

余りのことに、一時会話が止まってしまったがウエストエンドの森からモンスターが溢れるまでそこまで時間が残っているわけではない。

サンクチュアリの効果時間は、もって二日しかない。その間に、なんとかする必要があったのだ。

「今、私が張っているサンクチュアリは間に合わせです。それでも、森の中間付近の浄化自体は出来ていますから問題は奥になります」

「どちらにしろ、瘴気をどうにか出来るのは君しかいない。あたしは神官戦士だが、そこまでの光魔法は扱えないんだ」

沙更の言葉に、セリエは悔しそうな表情を浮かべる。神官戦士として修行を積んできたけれど届かないところに沙更が居るのを肌で思い知らされたと言うか、見せつけるような格好に前回なってしまったのが原因らしい。

「私はそういう点特別になってしまうと思うので、気にされない方が良いかと思います。それでなくても魔力を思うままに使っている自覚はあります」

「セーナちゃんの魔法は途方もないからね。魔法士の先輩方は、あれだけの濃度の魔力を操ると言うのがどれだけ厳しいか分かってそうですけど」

沙更の言葉に、ミリアが補足を入れる。実際、沙更の神代の魔力濃度での魔力操作は超難易度と言って良かった。普通の魔法士の一千倍以上の魔力をスターサファイアのロッドで補助しつつ操って居るとなれば、下手な魔法士がやったら魔力が暴走してしまうからだ。

ミリアに話を振られたミストヘイムの魔法士二人は、もの凄い勢いで首を振っていた。出来るかと言えば100%無理と言うしか無い。どれだけ修行をしたとしても今の人間ではたどり着けない境地に沙更は立ってしまっている。それを理解出来ているかがかなりの問題になるのだった。

「結局の所、瘴気の浄化は私以外に出来る人は居ないと言う事で良いでしょうか?」

「あたしの光魔法では侵食を防ぐだけで精一杯だ。ヘレナならどこまでやれる?」

セリエに話を振られたヘレナは、少し考えてから口を開いた。

「わたくしでも瘴気から身を守るのが精一杯。セリエ先輩よりは範囲は広げられる程度で、とてもじゃないけれどセーナちゃんのようには出来ないわ」

神官戦士のセリエとアコライトにクラスアップしたヘレナで、その程度となると普通の魔法士で守り切れないのは道理と言える。光魔法自体、魔法の中では難易度がかなり高いのだ。

使い手が減っているのもそうだが、魔法自体も衰退している。神代は確実に不可能、古代ですら模倣できるか怪しいと言うのが現代魔法士の水準であった。
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