月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

文字の大きさ
229 / 365
新たなる住処

第212話 ウエストエンドの森瘴気駆逐クエスト5

しおりを挟む
月の魔女とよばれるまで

第212話 ウエストエンドの森瘴気駆逐クエスト5

グレーグリズリーの群れを退治した時に沙更が大分魔法で援護したことに対するヘレナの言葉に、沙更は本当に首をかしげていた。

「ヘレナさん、ウエストエンドを私が助けることがそこまで変ですか?」

「えっと、そう言う意味で言ったわけじゃ無いの。ごめんなさい、ずっと助けて貰ってばかりだから」

「もう、ヘレナさん一つ忘れています。私も今は荒野の狼の一人なんですから、同じパーティーメンバーを助けるのはおかしいことですか?」

沙更として、そこだけははっきりしておきたかった。古代遺跡の時と既に状況が変わっているのだと伝える必要があると認識したから。そこに追い打ちをかけたのがガレムだった。

「ったく、ヘレナの奴は妙に考えすぎなんだよ。今じゃセーナちゃんも俺たちの仲間だぞ?そこに頼りすぎでって馬鹿か?」

「ガレムに馬鹿って言われるなんて」

「そう言われることをすんなよ。ったく、俺でも分かる理屈だぞ?」

「そうだよね、ヘレナが遠慮する必要性どこにあったわけ?」

「仲間なのに頼りすぎってそれは流石にないな」

ガレムの言葉に、ミリアとパウエルも苦笑を浮かべつつもそう言うに留める。ガレムが言いたいことを言ってしまったからそれ以上の言葉を必要としなかったからだ。

ついでに言うとアイスジャベリンの連発くらいで、沙更の魔力が枯渇することはまずあり得ない。実際使った魔力は沙更の魔力のささやかなところでしかない。

サンクチュアリを何十個と張って、ようやく大分減ったなって感じなのだから中級程度の魔法では魔力の枯渇は考えられない。それに、ある程度魔力を使ったところで魔力切れが沙更に無い以上怖がる必要性も無かった。

グレーグリズリーの群れを倒して、更に進む。

流石にサンクチュアリの効果範囲外に出たことで、一気に瘴気の濃度が格段に上がっていくのを肌で感じる。となれば、再度張っていくのは当然の話だった。

昨日張った森の入り口と少し進んだ場所に再度今日サンクチュアリを張ったことで、森の中程から奥までの足がかりを作れたことになる。

張ったサンクチュアリが、一気に瘴気を浄化していく。みるみるうちに瘴気の濃度が下がっていくことにパウエル達は感心するしか無かった。

「流石にセーナちゃんだよね。こんなことが出来るの他に居ないでしょ?」

「てか、他にこれだけの魔法が使える人間がいるのならもう有名人になっていておかしくねえよ。下手すれば、国が出てくるんじゃねえか?」

「それは考えられるな。有名冒険者よりも宮廷魔法士になっていそうな気がするよ」

「どちらにしても、これだけの光魔法を使える自体で教会が黙っているわけが無いわ。孤児院に司祭様が来ていると聞いたけれど、どうなの?」

沙更の横で、四人での話が始まったがそれを聞いていない振りをする。教会の上層部が沙更を欲しがっているのは権力のためであり、人のため世のためではないことを知っている。

だからこそ、その上層部に手を貸すことはあり得ないと決めていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クゥクーの娘

章槻雅希
ファンタジー
コシュマール侯爵家3男のブリュイアンは夜会にて高らかに宣言した。 愛しいメプリを愛人の子と蔑み醜い嫉妬で苛め抜く、傲慢なフィエリテへの婚約破棄を。 しかし、彼も彼の腕にしがみつくメプリも気づいていない。周りの冷たい視線に。 フィエリテのクゥクー公爵家がどんな家なのか、彼は何も知らなかった。貴族の常識であるのに。 そして、この夜会が一体何の夜会なのかを。 何も知らない愚かな恋人とその母は、その報いを受けることになる。知らないことは罪なのだ。 本編全24話、予約投稿済み。 『小説家になろう』『pixiv』にも投稿。

魔法使いとして頑張りますわ!

まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。 そこからは家族ごっこの毎日。 私が継ぐはずだった伯爵家。 花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね? これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。 2025年に改編しました。 いつも通り、ふんわり設定です。 ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m Copyright©︎2020-まるねこ

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

【完結済】悪役令嬢の妹様

ファンタジー
 星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。  そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。  ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。  やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。  ―――アイシアお姉様は私が守る!  最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する! ※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>  既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽ ※小説家になろう様にも掲載させていただいています。 ※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。 ※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。 ※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。 ※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。 ※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。 ※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。 ※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。 ※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。

黒豚辺境伯令息の婚約者

ツノゼミ
ファンタジー
デイビッド・デュロックは自他ともに認める醜男。 ついたあだ名は“黒豚”で、王都中の貴族子女に嫌われていた。 そんな彼がある日しぶしぶ参加した夜会にて、王族の理不尽な断崖劇に巻き込まれ、ひとりの令嬢と婚約することになってしまう。 始めは同情から保護するだけのつもりが、いつの間にか令嬢にも慕われ始め… ゆるゆるなファンタジー設定のお話を書きました。 誤字脱字お許しください。

追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~

たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。 辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。 壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。 その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。 ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

退屈令嬢のフィクサーな日々

ユウキ
恋愛
完璧と評される公爵令嬢のエレノアは、順風満帆な学園生活を送っていたのだが、自身の婚約者がどこぞの女生徒に夢中で有るなどと、宜しくない噂話を耳にする。 直接関わりがなければと放置していたのだが、ある日件の女生徒と遭遇することになる。

処理中です...