月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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新たなる住処

第227話 家令としての仕事

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月の魔女とよばれるまで

第227話 家令としての仕事

ダイスとルーカに出迎えられたことで、混乱する二つのパーティーメンバー。そこに一人の人間が来た事で、沙更は納得せざるを得なかった。そう、ジークがそこに居たからだ。

「ウエストエンド近くの森に瘴気が生じたことへの対処、騎士団が担えなかったことをお詫びする」

ジークはそう言うと荒野の狼の面々をちらっと見た。そこに、沙更が居る事に気付いて少し頷いていたのが沙更に取って気に掛かった。が、ここで口を出すことでもないから指摘はしなかったが、この事がまた沙更を騒動に巻き込むことになるとは思っても居ない。

ジークが出てきたのは、冒険者ギルドからの情報ではなく騎士団からの情報で、冒険者たちで異変に立ち向かう決定をしたと報告を受けたからだ。

ここのところ、騎士団よりも冒険者ギルドの評判が落ちていたために騎士団に仕事が集中しがちだった。それでも、冒険者ギルドからわざわざギルドマスターが出て行ったにも関わらず、話半分で信じなかった当たり騎士団自体にも問題があったと言わざるを得ない。

そういう事情を鑑みて、ジークが出てきたと言ったことのようだ。と言ってもその裏事情は後で教えて貰った格好なのだけれども。

(騎士団も案外ふがいない。それに、わざわざ今までの慣習を守ってくれた冒険者ギルドに対しての振る舞いは許されざるもの。今の主人が主人なら、騎士団も騎士団か)

ジークとしては頭を悩ませる形になるが、それでもその程度ならばなんとかなる。これからもっと大事をしでかさなければならないことを考えれば、この程度大事の前に小事でしかなかったのだから。

「今回は騎士団が動けなったことはこちらの不手際。今度は無いようにいたそう」

「ジーク殿にそう言って貰えれば我々としてはこれ以上その事を問いただすつもりはありません」

「むしろ、出て貰えてこちらとしては助かりますが良いのでしょうか?」

ジークの言葉に、ダイスとルーカが言葉をかぶせる。ダイスとしては、ジークに出て貰えれば安心と思っている節がある。それに対して、ルーカとしてはジークに出て貰うことを気にしているようだった。

本当ならば、騎士団長あたりが動かねばならない事態を辺境伯家でナンバー2の家令であるジークが出張ると言う形なのだ。余程のことになってしまっていると周りに印象づけてしまう可能性があった。

「サブマスターのルーカ殿の懸案は理解出来るが、今回のこと見過ごすわけには行かぬ。荒療治になるかもしれぬが、騎士団の規律をただす必要性がある」

ジークはそれだけを言うとルーカとしては納得するしかない。

今回のことでジークが出ると本人が確約してくれている時点で、冒険者ギルドとしてはお任せするしかないのだ。管轄違いにも程がありすぎる。

「それに、ウエストエンドの危機に対処してくれた冒険者に会っておきたいのもあったのでな」

ジークとしてはそっちが本音だったらしい。その中に、沙更が含まれているのを見て納得したと言うか当然だと思ったのは言うまでも無い。

(彼女がいなくて、瘴気をどうにか出来るわけが無い。だから、居るとは分かっていたがやはりだったな)

ジークはそう思いつつもこれからやることを考えて、リエットを誰に託すかを決めた。

(やはり、お嬢様をお守りするに当たって彼女の力を借りるほかあるまい。それに、護衛の彼女も昔の己並の力を持っている。そんな二人を圧倒できる力はこの辺境伯領にはない)

沙更とミリアの二人を崩す事が出来る人間はそう多くは無い事を知っているからの判断だった。
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