月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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フィリエス家の内情と戦

第231話 猪の花亭での料理対決1

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月の魔女とよばれるまで

第231話 猪の花亭での料理対決1

リエットの護衛の依頼があるかないかを確認しに冒険者ギルドへ向かう。

途中、猪の鼻亭でいつものように食事をしているパウエル達を見かけて、朝ご飯を食べていなかったのを思い出して中に入る。

中は相変わらずそれなりに混んでいるのが見て取れた。入ってきた沙更とミリアを見てガレムが声をかける。

「こっちに顔を出すのは久しぶりだな」

「セーナちゃんのご飯があるからね。リーダーたちはいつも通り?」

「変わりがあるわけがないだろ?確かにセーナちゃんの飯は美味しいからまた食べたいところだな」

パウエルたちは、なかなか孤児院には来ない。貧窮しているのを知っているし、ご飯をタカりに行っている感じがしてしまうからだ。

だから、猪の鼻亭に来ていたのだが塩たっぷりの飯に飽きてきていたのが本音で、沙更が作る料理は塩気はそんなにないけれど美味しいが荒野の狼の共通認識だったからだ。

「塩気がありすぎる食事に流石に飽きてしまったわ」

「セーナちゃんに慣らされたと言うべきだろうな」

ヘレナとパウエルがそう言っていると厨房からアンナがやってきた。しかし、今までの会話を聞いていたらしくちょっと機嫌が悪かった。

「塩気が多いのは身体を使って働く人が多いからよ。うちのご飯に文句があるならそれより美味しいのを作ってから言ってよ」

アンナの言葉に沙更が頷く。アンナの言い分に間違いはない。ここの食事に自信を持っている証拠でもあり、料理をしている人間の代弁していたから。

「なら、私が作って美味しいのなら文句はありませんね?」

沙更として、テコ入れするなら今しかないとここで動くことにした。いずれは話をするつもりだったがそういう意味ではいい機会と思ったからだ。

「えっ、この子が作るわけ?」

「アンナ、セーナちゃんを甘く見ると笑えなくなるよ。遠征中のあたし達のご飯、作ってくれるのこの子なんだから」

ミリアの言葉に尚更驚くアンナ。沙更は、そのまま猪の花亭の厨房へと向かっていく。それに慌てたのはアンナで、沙更を止めにはいった。

「流石に今は無理よ。もう少し後でまた来て」

「営業中ですしね、分かりました。また後で来ますね」

アンナの言葉に素直に頷く沙更。そのやり取りを見ていたお客が面白そうだと思ったのか、参加したいと言い出した。苦言を言う沙更の料理を食べてみたかったのだろう。

一人が言えば、それに参加したいと言うお客が続出する。娯楽も少ない時代だけに、料理対決なんて面白そうなものに参加しないわけがなかったのだ。

それを見て困った顔をしたのがアンナで、沙更はアンナ次第だと任せていた。そこに、猪の花亭の主人であるアンナの父親でマッグスが顔を出した。
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