月の魔女と呼ばれるまで

フィリエス家の内情と戦

第２３８話 今後の対応

月の魔女とよばれるまで

第２３８話　今後の対応

現状が良くないのはリエットの父親が暴走しているからとなれば、ジークに止めてもらうしかない。冒険者であるパウエル達が何かをすることはできないからだ。

辺境伯と言えば大貴族の一員だけに、下手に手を出せばこちらが悪人になってしまう。自分の領地内での裁判権を持っていることからそこは慎重に動くべきで、そこに関しての質問も出るわけがない。

「ほとんどジークさんにお任せするしかないのです。リエット様、不便だとは思いますがしばらく孤児院で過ごしてもらう形になります」

沙更の言葉に、頷くジークとリエット。

頼んだ側のジークも守ってもらう側のリエットもそこに否やはなかった。そのために、わざわざ依頼を受けてもらったのだから。

「リエット様がここにいるのは、確実に相手側に分かってしまうからその場合はここでの防衛戦は厳しいかな」

「孤児院での防衛戦は、孤児たちに危害を加えかねない。そこを考えると難しいな」

ミリアの意見にバウエルも同意する。防衛戦をする場合、孤児院を巻き込んだら大変なことになるのは目に見えていた。それだけに、対応策を考えなければならない。

「お嬢様のことを頼んだのは私め故、そこも考えておきましょう。それと後でメアリーをそちらにやります。お嬢様の話し相手は必要でしょう」

「屋敷の方は大丈夫なの？」

「屋敷の方は大丈夫でしょう。メアリーが抜けたとしてもメイド長たちが残りますから、お嬢様が心配する必要はありませんよ」

リエットの心配に、あっさりとジークが答える。元々、メアリーが抜けたとしても人員としてはなんとかなるのだ。とは言え、そこまで余裕があるかと言えばないのだがリエットが心配しないようには手を打ってある。

後は、入り婿の父親がどう出るかにかかっていると言って良い。悪あがきをしないとは到底思えないので、かなり手こずりそうでほあった。

ジーク自身に抜かりはないが、それでも時間が掛かるだろうと推測するのは難しくない。それだけに、護衛を荒野の狼に頼んだと言うのが本音だった。

リエットを守ってくれる冒険者でも個人的繋がりもあるだけに、しっかりやってくれるだろうと考えたからだ。実力とある上に、ジークの事情を鑑みてくれるのは彼らだけだろうと確信していた。

「いろいろと巻き込む形で、幼い治癒士様にはなんと言えばいいか」

リエットとしてはこちらの事情に巻き込む形になってしまった事に恐縮してしまっていた。

沙更としてはそこまで気にはしていないのだが、当事者としては気にせざるを得ないのだろうと思うしかない。

冒険者のパウエル達には、護衛をどうするかを考えれば良くて、他のことは丸々ジークにお任せが一番なのは理解しているからこその話だった。