月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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フィリエス家の内情と戦

第241話 猪の鼻亭での料理対決4

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月の魔女とよばれるまで

第241話 猪の鼻亭での料理対決4

沙更は、マッグスから豚の塩漬け肉とキャベツを受け取り、木桶一杯分の水を使って何が出来るかを考えた。下手に油を使うよりは、やはりここは蒸し焼きが一番だろうと思う。

塩は塩漬け肉から取れば良いし、キャベツの栄養も染み込む。後は、塩気を調節するくらい。

軽く塩漬け肉を水で洗うと残りの水を寸胴鍋に入れて、更に中蓋を入れていく。

沙更の行動を見ていたマッグスは、始めて見る調理法に目を丸くした。

(この嬢ちゃん、俺の知らない調理法を知っているだと!?あの言葉は、真面目に出来るとそういう事だったのか)

沙更の実力を見せられた気がしたからだ。同じく、アンナも見知らぬ調理法に驚いていた。まさか、こんな小さい子が自分より物を知っていると言うことだったから。

一方、ミリアたちは沙更が何を作るか検討が付いていた。何度か作ってくれた蒸し焼き料理を作っていた時と同じ手順だからこそと言える。

沙更の料理に気を取られつつ、マッグスはいつもの手順で作っていく。

沙更と言えば、既に上蓋を入れて蒸す準備を終えていた。これから加熱するのだが、薪を使った竈なので若干数火力が足りていなかった。

それでも、魔力を使うのは止めておく。魔力で補ってしまえば、沙更が有利になりすぎるし不公平だと分かっていた。火でも水でも魔力でなんとか出来てしまうのは沙更の特権とも言えたからだ。

薪で火を熾しつつも、鍋の位置を確認して加熱していく。マッグスはそれを横目に見つつ、随分と楽なのだろうかと考えてしまう。

が、蒸し料理自体結構奥深い物だったりする。蒸す時間を間違えれば、失敗するのは他の料理と同じであった。沙更は、その辺を感覚でやっている。それで間違えていない当たりが異世界の知識持ちだからと言うしか無い。

大体25分じっくり蒸したところで、外蓋を開ける。良い感じに蒸された塩漬け肉とキャベツが出てきた。油も使わないことからそこまでこってりしないし、キャベツもお肉も水分を多めに含んでいるだけにしっとりしている。

「私の方はこれで終わりです」

沙更の言葉に、マッグスも既にいつもの料理を作り終えていたから頷く。いつもの豚の塩焼き肉とキャベツのつけあわせだった。

強いて言うと、沙更の料理は女性向けに近い。あっさり目で、それほどカロリーも多くは無い。が、栄養を損なわずに食べられることが利点であった。

強いて言うとマッグスの料理は働く男の人向けというべきだろう。それだけに、朝から食べるにはかなり重くなってしまっていたのと塩気が強すぎたのが沙更的に問題だった。

それを知って貰うためにあえての蒸し料理だったと言うわけだった。
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