月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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フィリエス家の内情と戦

第243話 リエットを狙う闇

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月の魔女とよばれるまで

第243話 リエットを狙う闇

猪の鼻亭での料理対決が終わる頃、リエットの父親はリエットか屋敷から消えていることに気づいた。

リエットの父親は入り婿であり、母親が辺境伯に叙勲されていたがここ二年程病に伏せっていたことで、好き勝手に動き始めたのは知られていた。

「いつの間にいなくなった?ここに居てもどうしようもないから、老貴族の後妻にしてやろうと思ったのだが」

普通、自分の娘を老貴族に嫁がせようと考えるこの時点で子供のことを全然考えていないことがバレバレである。自分の都合がいいように動くことしか考えていないことも相まって、自分の子供ならば親の事を優先すべきなどとあり得ないことを考えていた。

「まったく使えない子供だ。俺の手をことごとく駄目にしたと言うに」

親が子供を売っていることを棚に上げて、そんなことをのたまう。この時点で、親の資格はまず持っていないと言って良い。はっきり自分のことしか興味がないことは明白だったから。

毒親と言うにふさわしい程にゲスいことしか考えていない。リエットがまだ14だと言うことを考えれば、盗賊に身を売ったり、老貴族に後妻として売り渡すことがどれだけ酷い仕打ちをしているかは言うまでもない。

実際、他の兄弟もそこまで優遇されているかと言えば無いのだから、どれだけクズいか解ろうと言う物だ。

領地も妻が伏せって以後、好き勝手ばかりしているために領地経営もかなりの下り坂になっていた。それが己の仕業だと気づいてもいない。

辺境伯の屋敷を分かる範囲で、リエットを探すが見つかるわけがない。ジークが既にリエットを逃していたし、良からぬ事を考えているのは分かりきっていた。

先手を確実に取られているのは、やはりジークが優秀だからだろう。それで無くても辺境伯の信頼を得ているのは伊達では無いようだ。

「クソッ、ジークか。あいつは俺をコケにしてばかりだ。あいつにも頼られ、俺を見下していやがる」

完全に難癖なのだが、リエットの父親としてそう認識しているのだ。その時点でおかしいと言われても間違っては無いし、歪んでいて自分のエゴのために動いていると言っても言いすぎでは無い。

「こうなったら、俺の恐ろしさを教えてやれば良いんだろう」

そう呟いたと同時に、リエットを探すのをピタリと止めて入らない子供は殺処分に限るなあと考えていたのだからこの男、相当に狂っていた。

本当にリエットの側からしてみればはた迷惑な父親である。自分の価値観以外は認めようともしないし、そもそもリエットのことを見てすら居なかったのだから。

だが、リエットを狙ったことでついに怒らせてはいけない人間を怒らせる事になるとはこの時の彼は知りもしなかった。
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