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フィリエス家の内情と戦
第247話 孤児院での迎撃戦2
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月の魔女とよばれるまで
第247話 孤児院での迎撃戦2
リエットの事情は、既にシスターヴァレリーに話をしてある。領主の娘と言う事で、顔色を変えるかと思ったが境遇を聞いて孤児院に滞在する事を許可してくれた。
「親に恵まれない娘さんに罪を問おうとは思わないわ。それに、そんな事情があるのならここに居て良いの。それに、あの子に助けられたのなら貴女と一緒ってことでもあるのよ」
「シスター様もですか?」
「ええ、あの子に孤児院の重病人を助けて貰ったの。死ぬだけだったあの子に手を差し伸べて、治癒魔法で助け出してくれた。だから、恩があるのは一緒よ」
シスターヴァレリーの言葉に、リエットも頷く。
「わたくしも命を救って貰った身です。そう言う意味でも同じだと思います」
「領主の娘さんなら、そう言う思いはしないと思ったのだけれどあの男は本当に外道そのもの。まったく、成長すらしていないのだから」
シスターヴァレリーはそう言って、リエットの頭を撫でる。
実際、シスターヴァレリーは元辺境伯も今の女辺境伯も知っているし、知己であった。だからこそ、今の入り婿であるリエットの父親のことも知っていたのだ。
そんな状況下で、沙更たちは孤児院もといリエットの護衛を引き受けていた。既に、孤児院の敷地内に魔力による探知システムを構築してある。
そもそも、魔力は沙更が願うなら出来る事を全力でやってしまう為、孤児院全体に探知システムを構築するのに使った時間は半刻ほどだった。それが、どれだけあり得ないことなのかを沙更は知らない。
探知システムを構築したことで、踏み入れた時点で沙更にそれは連絡されると同義であり、ミリアにも伝わると言う事になる。完全に暗殺者の隠形を暴く形となってしまっているのだが、それでも足りないと思っている当たりが慎重すぎるというか完全主義と言うべきかは分からない。
「探知システム構築完了です。これで、誰が入ってきてもこちらには筒抜けですから完全に不意打ちは防げるでしょう」
「やっぱり、セーナちゃんは魔法の天才だよね。こんなこと、他の魔法士じゃ出来ないよ?」
「だよなあ。足踏み入れたら感知されるってどんだけだよ」
沙更の探知システムに、ミリアは感心するしガレムは完全に呆れ顔だ。が、それと同時にガレムは沙更の頭を撫でる。
「まったく、セーナちゃんには毎度こっちの負担を減らして貰ってわりいな」
「ガレムさんやミリアお姉さん、パウエルさんやヘレナさんの役に立つためにいろいろやるのは私の意味ですから気にしないでも」
「出来るからってやるかはまた別だぜ?それにしても、相手が可哀想だなあ。こりゃあ、入ったら位置を丸裸にされてるってやりづらいったら無いだろ」
ガレムの言葉に、ミリアも頷く。
「完全に守る側が圧倒的有利なのに、孤児院に入ったところで位置がバレバレって怖すぎる。相手側だったら、それに気付いた時点で勝ち目なしよ?」
「そうでしょうか?リエットさんを超遠距離から狙うとか方法はあると思いますが?」
沙更の言葉に、ガレムもミリアも首を振る。この世界、射撃武器と言えば弓しかない。一般的な弓兵で飛ばせられる距離はそこまで長くは無い。それに、そんなに正確に射貫くとなれば一般兵士ではまず不可能。
魔法でもやれなくは無いが、それが出来るのは魔法士でも宮廷魔法士になれるほどの逸材がいなければ無理だった。実際出来るとすれば、沙更くらいだろうと二人は思っている。
「無理だろうなあ。そんな繊細な魔力操作できる魔法士がいたら見てみたいぜ」
「ガレムに同じく。頑張ってもここの廊下をぶれないで通せるだけの事が出来るかどうかかなあ」
ガレムにしろ、ミリアにしろそんな魔法士に会ったことすら無いのだから出来る人間に思い当たりがないのも当然だった。
「セーナちゃんが敵なら頭を抱える所だけど、味方だと心強すぎて笑えないよね」
「下手な騎士団より全然頼りになるしな。ある意味、気楽な仕事だなこりゃあ」
ミリアもガレムも肩に力を入れているわけではない。自然体でクエストをやっているだけに、力を出し切れないと言う事はあり得なかった。そんな状態で、暗殺者を迎え撃つ格好になったのだった。
第247話 孤児院での迎撃戦2
リエットの事情は、既にシスターヴァレリーに話をしてある。領主の娘と言う事で、顔色を変えるかと思ったが境遇を聞いて孤児院に滞在する事を許可してくれた。
「親に恵まれない娘さんに罪を問おうとは思わないわ。それに、そんな事情があるのならここに居て良いの。それに、あの子に助けられたのなら貴女と一緒ってことでもあるのよ」
「シスター様もですか?」
「ええ、あの子に孤児院の重病人を助けて貰ったの。死ぬだけだったあの子に手を差し伸べて、治癒魔法で助け出してくれた。だから、恩があるのは一緒よ」
シスターヴァレリーの言葉に、リエットも頷く。
「わたくしも命を救って貰った身です。そう言う意味でも同じだと思います」
「領主の娘さんなら、そう言う思いはしないと思ったのだけれどあの男は本当に外道そのもの。まったく、成長すらしていないのだから」
シスターヴァレリーはそう言って、リエットの頭を撫でる。
実際、シスターヴァレリーは元辺境伯も今の女辺境伯も知っているし、知己であった。だからこそ、今の入り婿であるリエットの父親のことも知っていたのだ。
そんな状況下で、沙更たちは孤児院もといリエットの護衛を引き受けていた。既に、孤児院の敷地内に魔力による探知システムを構築してある。
そもそも、魔力は沙更が願うなら出来る事を全力でやってしまう為、孤児院全体に探知システムを構築するのに使った時間は半刻ほどだった。それが、どれだけあり得ないことなのかを沙更は知らない。
探知システムを構築したことで、踏み入れた時点で沙更にそれは連絡されると同義であり、ミリアにも伝わると言う事になる。完全に暗殺者の隠形を暴く形となってしまっているのだが、それでも足りないと思っている当たりが慎重すぎるというか完全主義と言うべきかは分からない。
「探知システム構築完了です。これで、誰が入ってきてもこちらには筒抜けですから完全に不意打ちは防げるでしょう」
「やっぱり、セーナちゃんは魔法の天才だよね。こんなこと、他の魔法士じゃ出来ないよ?」
「だよなあ。足踏み入れたら感知されるってどんだけだよ」
沙更の探知システムに、ミリアは感心するしガレムは完全に呆れ顔だ。が、それと同時にガレムは沙更の頭を撫でる。
「まったく、セーナちゃんには毎度こっちの負担を減らして貰ってわりいな」
「ガレムさんやミリアお姉さん、パウエルさんやヘレナさんの役に立つためにいろいろやるのは私の意味ですから気にしないでも」
「出来るからってやるかはまた別だぜ?それにしても、相手が可哀想だなあ。こりゃあ、入ったら位置を丸裸にされてるってやりづらいったら無いだろ」
ガレムの言葉に、ミリアも頷く。
「完全に守る側が圧倒的有利なのに、孤児院に入ったところで位置がバレバレって怖すぎる。相手側だったら、それに気付いた時点で勝ち目なしよ?」
「そうでしょうか?リエットさんを超遠距離から狙うとか方法はあると思いますが?」
沙更の言葉に、ガレムもミリアも首を振る。この世界、射撃武器と言えば弓しかない。一般的な弓兵で飛ばせられる距離はそこまで長くは無い。それに、そんなに正確に射貫くとなれば一般兵士ではまず不可能。
魔法でもやれなくは無いが、それが出来るのは魔法士でも宮廷魔法士になれるほどの逸材がいなければ無理だった。実際出来るとすれば、沙更くらいだろうと二人は思っている。
「無理だろうなあ。そんな繊細な魔力操作できる魔法士がいたら見てみたいぜ」
「ガレムに同じく。頑張ってもここの廊下をぶれないで通せるだけの事が出来るかどうかかなあ」
ガレムにしろ、ミリアにしろそんな魔法士に会ったことすら無いのだから出来る人間に思い当たりがないのも当然だった。
「セーナちゃんが敵なら頭を抱える所だけど、味方だと心強すぎて笑えないよね」
「下手な騎士団より全然頼りになるしな。ある意味、気楽な仕事だなこりゃあ」
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