月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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フィリエス家の内情と戦

第262話 再度辺境伯の屋敷へ

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月の魔女とよばれるまで

第262話 再度辺境伯の屋敷へ

ジークの頼みを受けて、リエットと共に沙更と冒険者パーティー荒野の狼は馬車に乗っていた。

「ジークさん、二年前から他の治癒士さんたちにかかっても治らなかったって言ってましたよね?」

「カタリーナ様の状態はそうだが、まさか?」

「毒か呪いの線だと思った方が良いかもしれません。病気だとしたら、それだけの長い期間生き延びるのは難しいでしょうから。でも、今は推論でしかありません。行って診てみなければ結論は言えませんし」

沙更にそう言われ、病気だと思いこんでいたジークは唖然としてしまう。毒も呪いも治癒士の範疇だが、かなり高度な腕を必要とする。

病気だと思っていたから、治療が合わなかったのではと今更ながら気づいた。

「もしかして、お母様はお父様に疎まれたと?」

「だと思った方が自然だと思うのです。元々、入り婿なのですよね?」

「ああ、そうだ。だとしたら、元々この機会を伺っていたと言うのか」

「そこは本人に聞くしかないと思いますが、入り婿と言うのは、男の人に相当な苦労があると聞いた事があります。魔が差したのか、元々なのかは別として家を乗っ取ると言う考えになったのかなと思うのです」

気心しれた仲の人間ならいざ知らず、政略結婚ならありえない話ではない。

リエットとしては居た堪れないかもしれないが、親にも確執があるなら子供に影響しないわけがなかった。

跡取り娘として、この世から消しておかなければ己の思うように話が動かないからと命を狙われるのも、かなりの身勝手てある。

(そう思えば、盗賊に実の娘を売り渡す時点で親を辞めているのでしょう)

リエットを助けた経緯がそうなのだから、母親に対してもそう動くことはなんら不思議でもなかった。

ある程度話していると馬車は、ジークの案内の元辺境伯の屋敷へ辿り着いた。

馬車から降りる沙更たちだが、ここで屋敷がいつもと違った雰囲気な事に気づいた。馬車から降りたジークの元に、一人のメイドがやって来ると何事かを告げる。メイドの話を聞いたジークは、驚いた表情を浮かべる。まさか、このタイミングで動いてくれるとは思いもよらなかったと言う顔だ。

「今、屋敷にこの国の宰相様が来ているそうだ」

ジークのその話に、沙更以外のメンバーが驚いていた。宰相ともなれば、国のナンバー2。その人がここに居ると言う事がどれだけのことか分からない訳がない。

国としても、カタリーナが倒れた後の状況を把握していることになる。下手すれば、辺境伯としての地位どころか処刑すら視野に入っている可能性すらあり得る。

そんな事態に巻き込まれたことに、沙更は苦笑を浮かべるけれどやる事は変わりなかった。

そう、カタリーナの治療だ。それの為にここに来たのだから。
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