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フィリエス家の内情と戦
第265話 ガーゼルベルト
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月の魔女とよばれるまで
第265話 ガーゼルベルト
宰相ガーゼルベルトの答えに、ジークは昔と考え方が変わっていないことを理解していた。
(やはり、恩師様は変わらないか…。宰相になられたとは言え、苛烈なところは相変わらずである。それにしても、あの子が問うた言葉に、ああ返す当たりはあの方らしいと言えよう)
ガーゼルベルトは、このシルバール王国で一番戦場に居た男であり、参戦したどの戦にも生き残った猛者である。それ故に、貴族よりも騎士に近い思考を持ち合わせている。
20数年の間辺境を預かり、シルバール王国に起こった戦という戦に参戦し、その全てに生還したまさに英雄と呼ぶに相応しい男なのだから。
そんなガーゼルベルトだが、沙更の魔力がもの凄く高いことを知ってもその態度を変えるつもりは無いようだ。他の貴族達なら、確実に欲しがるだろうその力を前にして。
そこが、ガーゼルベルトが普通の貴族とは違うと言う証なのだろう。
「セーナちゃんの魔力を前にして欲しがらない貴族がいるのは凄いかな」
ミリアが不意に呟いた言葉に、ガーゼルベルトは不敵に笑う。
「はっはっは、確かにその魔力は素晴らしい物だ。が、わしが欲しいとは思わん。ただそれだけの事よ。ジーク、その娘にカタリーナを診せるのだろう?そろそろ行こうではないか」
ガーゼルベルトは、この屋敷に昔住んでいただけあって何処に何があるかを知っている。元々、リエットの母親のカタリーナの見舞いに来たと言う事もあり、その後にリエットとジークと共に付いていく。
向かう間に、ガーゼルベルトはリエットの姿を確認していた。元々、生まれたことは知っていてもその後のことは聞いていなかったからだ。
「君がカタリーナの娘か?」
問われたリエットは頷く。母親に、伯父がいるとは聞いてはいたがまさかシルバール王国の宰相だとは思いもしなかった。それだけに、頷くのが精一杯といった格好だ。
それはガーゼルベルトの方でも理解していた。初めて会う姪の娘だけに、どういう顔をすれば良いかがこの時分かっていなかった。そう言う当たりは不器用と言える。
ジークはそんなガーゼルベルトを見つつ、そこも変わらないなと思っていた。
しばらく歩いていると大きい部屋が見えてきた。そこが、今の辺境伯であるカタリーナが横になっている部屋。ジークが先に部屋の扉を開けるとガーゼルベルトが先に部屋に入っていった。
「伯父様がやってくると聞いていれば、もう少し格好に気を遣いましたのに」
「お前の身体が良くないのは知っている。無茶をしている場合では無いだろう。お前の娘も心配そうにして居る。それに、ジークが変わり種の治癒士を連れてきたそうだ」
カタリーナにそう声をかけつつもそう言って、沙更たちを部屋の中に招き入れた。
第265話 ガーゼルベルト
宰相ガーゼルベルトの答えに、ジークは昔と考え方が変わっていないことを理解していた。
(やはり、恩師様は変わらないか…。宰相になられたとは言え、苛烈なところは相変わらずである。それにしても、あの子が問うた言葉に、ああ返す当たりはあの方らしいと言えよう)
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20数年の間辺境を預かり、シルバール王国に起こった戦という戦に参戦し、その全てに生還したまさに英雄と呼ぶに相応しい男なのだから。
そんなガーゼルベルトだが、沙更の魔力がもの凄く高いことを知ってもその態度を変えるつもりは無いようだ。他の貴族達なら、確実に欲しがるだろうその力を前にして。
そこが、ガーゼルベルトが普通の貴族とは違うと言う証なのだろう。
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「はっはっは、確かにその魔力は素晴らしい物だ。が、わしが欲しいとは思わん。ただそれだけの事よ。ジーク、その娘にカタリーナを診せるのだろう?そろそろ行こうではないか」
ガーゼルベルトは、この屋敷に昔住んでいただけあって何処に何があるかを知っている。元々、リエットの母親のカタリーナの見舞いに来たと言う事もあり、その後にリエットとジークと共に付いていく。
向かう間に、ガーゼルベルトはリエットの姿を確認していた。元々、生まれたことは知っていてもその後のことは聞いていなかったからだ。
「君がカタリーナの娘か?」
問われたリエットは頷く。母親に、伯父がいるとは聞いてはいたがまさかシルバール王国の宰相だとは思いもしなかった。それだけに、頷くのが精一杯といった格好だ。
それはガーゼルベルトの方でも理解していた。初めて会う姪の娘だけに、どういう顔をすれば良いかがこの時分かっていなかった。そう言う当たりは不器用と言える。
ジークはそんなガーゼルベルトを見つつ、そこも変わらないなと思っていた。
しばらく歩いていると大きい部屋が見えてきた。そこが、今の辺境伯であるカタリーナが横になっている部屋。ジークが先に部屋の扉を開けるとガーゼルベルトが先に部屋に入っていった。
「伯父様がやってくると聞いていれば、もう少し格好に気を遣いましたのに」
「お前の身体が良くないのは知っている。無茶をしている場合では無いだろう。お前の娘も心配そうにして居る。それに、ジークが変わり種の治癒士を連れてきたそうだ」
カタリーナにそう声をかけつつもそう言って、沙更たちを部屋の中に招き入れた。
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