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フィリエス家の内情と戦
第266話 カタリーナの謝罪
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月の魔女とよばれるまで
第266話 カタリーナの謝罪
ガーゼルベルトに促されて、現れたのはリエットと沙更たちだった。カタリーナは、娘が居るのに気付いて驚きの表情を浮かべる。ジークが守ると言っていたけれど、まさか冒険者たちだったとは思ってなかったのだ。
「ジーク、我が領の騎士にリエットの守りを任せたのではなかったの?」
「奥様、お言葉ですが騎士ゼオン以外の騎士は信用に値しません。なので、お嬢様を救い出した彼らに護衛を任せたまでです」
ジークとして、信用ならない領内の騎士に頼むよりはパウエル達の方が信用に値すると踏んでいた。それに、リエットを救い出す事自体が領内の騎士達では荷が重かったからだ。それをあっさりとこなしてみせた彼らを信用せずにどう守るというのだろう。
「カタリーナ、お前が思っている以上にあの冒険者達は優秀だ。下手な騎士では太刀打ち出来まい。ジークの判断は正しいとわしは思う」
「伯父様…」
ガーゼルベルトにしてみれば、パウエル達が冒険者をしていることが惜しいと思っていた。これだけの腕を持つ騎士は今では早々いないのだ。ゼオンはガーゼルベルト自身が育てただけにその力にも納得がいくが、パウエル達は在野に埋もれていた存在だ。
そんな存在がこれだけの力を持っていること自体が希有であり、出来るのならこの領のために徴用したいと思うほどの逸材であった。
「お母様」
「リエット、貴女はわたくしを恨んでいるのではないの?」
「どうして、そう思ったのですお母様」
リエットがそう思うのは、沙更のムーンライトによる精神治療のおかげとも言える。あまりにも精神の傷が深すぎた結果、あの場で倒れてしまった。
精神が限界だったのを癒やした結果、母親に対する恨みはすうっと消えていたのだ。いろいろと鬱屈した思いがあったのは否定しない。それでも、月の光がその思いも癒やしていた。
「貴女に辛い思いをさせてしまった。厳しくしすぎてしまった」
カタリーナとしては、そこに後悔があったようだ。唯一この家を継げる娘に、継いだ後も苦労をして欲しくないと言う一心でいろいろと教育をしてきた。それが厳しすぎてしまったのはカタリーナの思うところと違ってしまっていた。
そこに、夫や腹違いの子供達の介入が入ったことで更に混沌としてしまう。実際は、リエットが居なくなったらフィリエス家は無くなってしまうのだが、それに気付いてない。
「お母様、わたくしは怒っても恨んでもいません」
「リエット…」
リエットの凜とした受け答えに、カタリーナは我が子の成長を感じていた。そして、こういう事態を招いてしまった自分に情けなさを感じてしまう。
この家を乗っ取る気で動いているのは、夫の行動で分かっていたがそれでもここまで大がかりにやるとは思っても無かったのだ。リエットを消すと言うことで動いている時点でガーゼルベルトが出てこざるを得ないのだが、それにリエットの父親が気付いているのかが疑問であった。
ちなみに、フィリエス家はガーゼルベルト自身に子供が居ないため、カタリーナを養子として迎えて家を存続させている。それだけに、現状はガーゼルベルトにとって無視出来ない状態になっていたのだ。
第266話 カタリーナの謝罪
ガーゼルベルトに促されて、現れたのはリエットと沙更たちだった。カタリーナは、娘が居るのに気付いて驚きの表情を浮かべる。ジークが守ると言っていたけれど、まさか冒険者たちだったとは思ってなかったのだ。
「ジーク、我が領の騎士にリエットの守りを任せたのではなかったの?」
「奥様、お言葉ですが騎士ゼオン以外の騎士は信用に値しません。なので、お嬢様を救い出した彼らに護衛を任せたまでです」
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「カタリーナ、お前が思っている以上にあの冒険者達は優秀だ。下手な騎士では太刀打ち出来まい。ジークの判断は正しいとわしは思う」
「伯父様…」
ガーゼルベルトにしてみれば、パウエル達が冒険者をしていることが惜しいと思っていた。これだけの腕を持つ騎士は今では早々いないのだ。ゼオンはガーゼルベルト自身が育てただけにその力にも納得がいくが、パウエル達は在野に埋もれていた存在だ。
そんな存在がこれだけの力を持っていること自体が希有であり、出来るのならこの領のために徴用したいと思うほどの逸材であった。
「お母様」
「リエット、貴女はわたくしを恨んでいるのではないの?」
「どうして、そう思ったのですお母様」
リエットがそう思うのは、沙更のムーンライトによる精神治療のおかげとも言える。あまりにも精神の傷が深すぎた結果、あの場で倒れてしまった。
精神が限界だったのを癒やした結果、母親に対する恨みはすうっと消えていたのだ。いろいろと鬱屈した思いがあったのは否定しない。それでも、月の光がその思いも癒やしていた。
「貴女に辛い思いをさせてしまった。厳しくしすぎてしまった」
カタリーナとしては、そこに後悔があったようだ。唯一この家を継げる娘に、継いだ後も苦労をして欲しくないと言う一心でいろいろと教育をしてきた。それが厳しすぎてしまったのはカタリーナの思うところと違ってしまっていた。
そこに、夫や腹違いの子供達の介入が入ったことで更に混沌としてしまう。実際は、リエットが居なくなったらフィリエス家は無くなってしまうのだが、それに気付いてない。
「お母様、わたくしは怒っても恨んでもいません」
「リエット…」
リエットの凜とした受け答えに、カタリーナは我が子の成長を感じていた。そして、こういう事態を招いてしまった自分に情けなさを感じてしまう。
この家を乗っ取る気で動いているのは、夫の行動で分かっていたがそれでもここまで大がかりにやるとは思っても無かったのだ。リエットを消すと言うことで動いている時点でガーゼルベルトが出てこざるを得ないのだが、それにリエットの父親が気付いているのかが疑問であった。
ちなみに、フィリエス家はガーゼルベルト自身に子供が居ないため、カタリーナを養子として迎えて家を存続させている。それだけに、現状はガーゼルベルトにとって無視出来ない状態になっていたのだ。
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