月の魔女と呼ばれるまで

空流眞壱

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フィリエス家の内情と戦

第267話 カタリーナとリエットの雪解け

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月の魔女とよばれるまで

第267話 カタリーナとリエットの雪解け

カタリーナとリエットの会話に、ガーゼルベルトは呆れた顔をしていた。貴族としての体面を重んじた結果、娘との距離感すらおかしくなっていたのだから。会話をしてこなかったのが良く分かるほどに、すれ違ってしまっていた。

「カタリーナ、君らしくもないな。娘に家の事で厳しくし過ぎたか?」

「伯父様、どうして分かったのです?」

「わしとカタリーナの時はもっと会話が弾んでいた。それに、リエットの表情が硬いままなのは気を許されてない証拠だろう?」

ガーゼルベルトは確かに後継として、カタリーナを指名したが養父と養子に入った姪と言う複雑な環境下でも、会話を途切れさせることはしなかった。

それ故、カタリーナが間違ってしまったのがよく分かった。

「カタリーナ、お前が間違ったのだろう?それくらいは分かる」

「伯父様…」

カタリーナはガーゼルベルトには弱いらしい。両親を亡くしたカタリーナを引き取ってくれたから以上の思いがあるのだろう。

リエットはそんな母親を見て、もの凄く不思議な感じがしていた。何というか、感じがいつもと全然違う。何というか親に咎められた子供のようなそんな感じがしていたからだ。

「お母さんも宰相様には負けるの?」

リエットにそう言われたカタリーナは白旗を揚げるしか無い。既に、あたふたしてしまっていただけに肯定するしかなかったからだ。

そんなやりとりを見つつ、沙更はガーゼルベルトの存在がカタリーナさんの精神に大分好影響を与えている事を見抜いていた。

(親代わりの人が見舞いに来てくれた。それだけで嬉しいのはよく分かる。本当なら、もっとしっかりしたところを見せたかったんだろうけど、そうはいかなかったみたい)

「あー、もうみっともないところを見せてしまったわ」

「でも、お母さんが嬉しそうな表情してるのを見るの久しぶり」

「ずっと、貴女に跡取りとしての教育をと思っていたから厳しくしすぎてしまったのね」

ガーゼルベルトとカタリーナの違いは子供に慣れているかいないかの差だろう。ガーゼルベルトは、自分の子には恵まれなかったが辺境伯領で、孤児達を慰問したりしていた故に子供には慣れていた。

一方、伯父に立派な姿を見せようと頑張りすぎたカタリーナは領地経営に没頭していく。それ故に、子供とのふれあいはほぼ無いまま自分の子を産んでしまった。

だから、不器用すぎたとも言える。ガーゼルベルトはそれを分かっていた。

「まだやり直せるだろう?リエットと呼ぶが、カタリーナとやり直したいと思うかい?」

そう問うとリエットは素直に頷いた。精神に月の光の影響を受けたことで、今までの怒りも恨みも消えていたから。

「お母さんって自然に言ってたけど、ごめんなさい」

「いいえ、リエット。厳しくしすぎたわたくしを許して」

素直に謝るリエットを抱きしめるカタリーナ。そこに、今までのわだかまりは無かった。
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